2012年06月29日

三議案まとめ


しつこいようだが、
例の関越道バス事故を受けた後の
ダモシの寄稿と提言。

ポイントは以下。

◇◇◇
ダモシの現場体感では、
先般記載の通り<400km強>がK点である。
自家用車でさえ、である。
430kmになると厳しい。だから400km強である。
バスに関しては"強"という曖昧さを消して
<400kmまで>というK点設定に見直した方が良い。
◇◇◇

である。

<400km>という提言をしていた。何度も。

そして結論。
一昨日の報道だ。
以下。

◇◇◇
有識者による国土交通省の検討会は27日、
関越自動車道で7人が死亡したバス事故を受け、
高速ツアーバスの運転手が夜間に
1人で運転できる距離を原則400キロまでとし、
違反した場合は行政処分とする緊急対策を了承した。
◇◇◇

事故後からダモシは提言していた。
有識者が会議をする前から。

結果的に提言通りのぴったりの数値になったことを
評価する次第である。
阿呆な霞ヶ関もたまにはマトモな所作、か。

まあダモシ的には初めから言っているわけで、
そもそも670kmという数値自体が
霞ヶ関的おたんこなすなだけで、
今さら正当な数値をようやくか?といったところだが、
いずれにせよマトモな=ダモシの提言通りの
数値を導き出した"有識者たち"と霞ヶ関どもには
一定の評価を下したい。

これはこれで済み。


*****


タカハシの件。
これも当欄で推理をしていた。
その中の論のひとつに、「品川」と入れていた。
要するにホームである川崎への愛着を考えた場合、
近辺も考えられる、と。

結果は、蒲田。
論理的には合っていた。

だが、あの逮捕には拍子抜けした人も多かっただろう。
ひとつには、一千万円を狙っていたフシもあったからだ。
かくいうダモシもその一人。
空手の館長もその一人。
館長はその際の技も決めていた。
もちろん空手技だ。

ダモシも決めていた。

ダモシの場合は、すべて背後から。
ひとつは、
あの秘技100m助走つきジャンピング・ニーパット。
だが、確保を前提とするため
100mの助走はかえって獲物を逃す。
だからせいぜい5m助走つき。
5mであれば、疲れないできちんとジャンプもできるだろう、と。

もうひとつは背後から銅に両腕をまわして
そのまま投げっぱなしジャーマン。
先に起き上がり馬乗りになって
マウントパンチ連発か、
腕をとってアームロック。

考えた末、
最終的には組み付く方が逃げられにくいと判断。
胴に両腕をまわした上での
投げっぱなしジャーマン

素早く馬乗りになってマウントパンチ

精神的ダメージを負わせた上でアームロック。

このパターンを決めていた。
アームロックをかけたら動けない。逃げられない。
かけた瞬間に、誰かに携帯で110番させる。
警官が到着するまでアームロックは解かない。
写真も撮らせて確保したのはダモシだということの
プルーフを残しておく。

これらをやる余裕がない場合

タカハシが抵抗力ありそうだと感じられた場合

は、ただひとつ。

背後からスリーパー。
そのまま後ろに倒れて胴締めスリーパーに移行。
これだけに徹する。
もちろんスリーパーはチョークスリーパーである。

などと、イメージをしていたわけだ。
確保=一千万に向けて。
ところが、だ。

しょぼかった。しょっぱかった。タカハシは。
蒲田の、しかも漫画喫茶にいた。
あまりにも情けない。
苦々しいくらい芸がなかった。
そもそもこの人間の仕業に対する怒りはあるわけで、
このしょっぱさを知り、
さらに怒りが沸いた上に、
逮捕後のコヤツの言うことや所持品ときたら
呆れるのだが、未だにアサハラを信じていることも分かるに至り、
今度は、コヤツを長きに渡って逮捕できなかった
警察への怒りにも転嫁。
いったい、なにをしとるのか、と。

今回の逮捕とて、一般市民の情報なくして
あり得なかっただろう。
警察の捜査力がガタ落ちしていると
言わざるを得ないのではないか。

タカハシが仮に、
(もちろん行った仕業が言語道断だが)
既に「ふざけるなアサハラ!』ととっくに見切りをつけ、
己が行いも恥じた上で、
しかし「己が生への執着」と「逃避する己への倒錯」
の中でライフを進めていて、
その逃避・逃亡に並々ならぬ執念と、
逃亡することで得られるであろう自己肯定。
これを追求し、何が何でも逃げるのだという強い意思
のもとで、それこそ釧路湿原のジャングルのような
木々の中に潜んだり、否、青木ヶ原樹海でもいい、
そういうようなところに逃げていたり何なりとしていた
ならば、もっと違う世界観が漂ったはずだ。

あるいはそういう道のプロとして、
プロらしい所作で誰もが想像し得ない地に
逃げている等々。

悪い人間だからこその、破天荒。
それがあっても良いのだが、
まるっきりそれがなくて、
極悪非道なことをした悪人のくせに
逃げ方〜しかも逃亡の最終局面なのに〜が
あまりにも現実的で、且つ小さい。

だから、そういう意味では
仮に我々が一千万円を狙っていたとしても
逆に品川や横浜あたりで
タカハシと遭遇しても
かえって投げっぱなしジャーマンをやる気が失せた
かもしれないのだ。

こんなところに逃げやがって、この阿呆・・・

と。そう感じて、取り逃がしたかもしれないのだ。

これが例えば前述の通り、
(ダモシはもう行かないが)
釧路湿原で遭遇したりしたら、
それこそ遠慮なくシュートできるし、
しがいがあるというものだ。

何も釧路でなくとも、関東近県でも良い。
白糸の滝でも袋田の滝でも華厳の滝でも
吹割の滝でも良い。
いくらなんでも蒲田はないだろうよ、という
ことである。言いたいのは。

まあ、いい。
タカハシも死刑になるがいい。
死刑ですら刑は軽い。
タカハシに限らず、
人の命を故意に奪った人間は、
己の命をもってしか償うことはできない。
それでも本来は償ったことにはならない。
奪われた命は戻ってこないからだ。

死刑廃止は絶対に許されない。


*****

そして、民主党。小沢。

ぼんくらメディアは案の定、
小沢を悪者扱いだ。
そもそもなぜメディアは揃って
意図的に増税の正当性を表したい記事を
無理矢理書いているのか。
みな、グルだからだ。
経済界の妖怪ジジイどもや霞ヶ関、永田町、
低次元メディアども全員がグルだから、だ。

そして、小沢陣営のマイナス点を列挙するメディア。
離党して新党を旗揚げしても
助成金が得られない等々での資金不足や
そんなに多くの議員がついていかないだろう等、
根拠のない読み(という名の情報操作)をしている。

よほどメディアは小沢が嫌いなのだろう。

相変わらずへんてこりんなのが、どじょう野田。
"造反"というなら処分すれば良いではないか?
反対票を投じた者や棄権者を処分すれば
良いだけの話だ。

だが、それら全員を離党処分にしたら困るから
出来ないのだろう。見え見えだ。
で、輿石に小沢問題を一任するという逃げ。
いったい、何者だ、野田は。
ベビーフェイスの仮面をかぶった独裁者。
最初から野田のことはこう言っている。
その通りになった。

ああいうふうに庶民っぽくし、腰を低くし、
顔もそもそも冴えないから
己をどじょう呼ばわりして
ベビーフェイス、B級ぶっておいて
実際は違うのは、ハナからバレていた。
ダモシには。

ほれ見ろ、と。
こういうのが最も厄介なタイプなのだ。
男として絶対に信用してはいけないタイプ。
それが野田のようなタイプだ。

スッカラ菅もそうだったが、
こういう男を国のトップにしておいては
たいへん危険である。

まったく"顔"じゃないし、
二流、否、三流のくせに
舞い上がって
ポジションが麻薬となり
勘違いして、どんどん暴走する典型的なタイプ。
国民新党を乗っ取った下地も
人間の種類としては同類だから用心だ。

いずれにせよ民主党は、解党だ。
小沢一派が離党云々だけでは
絶対に済まない。

これも予測しておくが、
必ずや中長期的に見て民主党は分裂する。
そもそもからして自民党は自由民主党なのだ。
だから民主党が分裂した後は、
どじょうらを軸とする残留民主党の面々は、
同じく割れる自民党の残党と合流し、
最悪のニセ自由民主党になるだろう。

民主党、自民党それぞれから出た面々が
異なる党としてそれぞれ合流。

もちろん自見や下地は
残党班の自民党+民主党で作られる
ニセ自由民主党に入るだろう。
それしか甘い汁の呪縛で見境なくなった
自見&下地コンビには、道はない。

きっとこのニセ自由民主党が人数は多くなるだろうが、
選挙になれば議席に関しては分からない。
もうおそらく最大与党云々は消滅し、
各政党から数人ずつという世界観の議会になる
のではないか。かえってその方が良い。

政党のしがらみを超えて、法案ごとに
賛成したり反対したりあってしかるべき。
政権も今後は政党ではなく、「個」の集団になる。
大臣職も政党(政権与党)云々ではなく、
超党派で適材適所を配する。
こういうふうに移行せざるを得ないのではないか

と、思うわけである。



posted by damoshi at 22:53| R-246 ダイアリー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年06月27日

造反?悪?


民主党が遂に崩壊寸前だ。

消費増税。
小沢一郎、鳩山由紀夫ほか57人が
反対票を投じ、欠席・棄権を交えれば72人が
どじょうと執行部が血眼になっている
消費増税法案に賛成しなかった。

当たり前だ。

政治家として、ヒトとして、
最低の良心が残っていれば「賛成」しないだろう。

基本。
民主党は、消費税は上げないと吠えて票を得た。
そして政権を奪取した。

だが、これに限らず民主党、否、「執行部」及び「内閣」は
ことごとくマニフェストで吠えたことを
実現出来ないだけではなく、
その逆をやっている。

歴史上でも最悪の部類に入る政党及び政権だ。
あの東日本大震災への対応と
その後の復興に関しても、最低レベルのしょっぱさだ。

この政党と政権の人間は、
一体何のために日々生きているのか。

政治家=国民のために血眼になって働く。
これが根幹だ。
だが、彼らは悪しき自民党の面々と同じく、
己が保守に血眼になっている。

この国のメディアの多くもそれに加担。

ダメなものはダメと言わず
己が保守のために論調をコロコロ変える。
理にかなっているのはどちらなのかを
国民にフェアに伝えずに、
好き嫌いで、己がイデオロギー提示だけをしている。
そこにメディアとしての矜持は何一つない。

政治家にも矜持が何もない。

ヤワラはどうした?田村亮子よ、どうした?
一体、あなたは何のために政治家になったのか?
小沢に恩義はないのか?
武道家としての田村は
選挙に立候補した瞬間に死んだが、
武道家の魂すらも失ってしまった。
パッションなく、ただ国会に存在しているだけだ。

なぜ、どじょうが公約を破り、
ウソをついていることをメディアは問わないのか。
消費増税がメディアにとって都合良いからだ。
霞ヶ関もメディアも反対政党も、皆、談合。

小沢こそ、筋が通っていると
なぜメディアは誰一人として言わないのか。
不思議でならないのである。

おかしくないか?ほんとうに。

<造反>なのか?<悪>なのか?
賛成しなかった議員は皆、造反したのか?悪なのか?
正しくないか?こちらの方が。

国民新党のW亀井vs.下地の際もそうだが、
W亀井の方が正しいぞ?
筋が通っているぞ?
下地なんぞ、単に与党の甘い汁とポジション保守に
走っただけではないか。

鈴木宗男にしてもそうだが、筋が通っているぞ?

小沢の会見。

『増税だけが先行する。
 これは国民に対する背信行為であり、
 嘘つきといわれても仕方のない行為だ。
 われわれは国民との約束をまず全力で実行する。
 行政の無駄を省き、
 いろんな戦後の長い間のひずみを是正する。
 年金・医療についても改革案を掲げて政権交代を実現した。
 そういうことを一切棚上げにして、
 消費税増税だけ先行するのは国民が許さない行為だ。
 そういう信念の下で先ほどの(衆院)本会議で
 反対の意思表示をした。
 同じ思いで行動してきた多くの仲間とともに
 意思表示できたことは大変良かった。
(法案が)衆院で通過したので、
 参院での審議を通じても国民の気持ちを体して、
 なんとか消費税増税を阻止できるよう努力したい』

まったく筋が通っている。
おかしいことはひとつも言っていない。
なのに造反だの、小沢が悪いだの、何なのか一体。

別に小沢が好きで言っているのではない。
さすがの鳩山でさえ今回はブレなかった。
鳩山なら土壇場で賛成しかねないなと思っていたが、
さすがに「ヒトとして」認めるわけには
いかないほど、
本性を剥き出しにした悪魔のどじょう野田には
NOを突きつけるしかなかったのだろう。

野田。あなたは間違っているよ。
大飯原発の再稼働決定もそう。
YESかNOの判断について間違いと言っているのではない。

大飯原発の再稼働にしても消費増税にしても
それを決める過程とその方法論が
完全に誤っている。間違っている。

ダモシは以前、ここに書いたではないか。

一度でいいから、
アメリカの大統領の演説のように
ゴールデンタイムに全国ネットで
官邸から(目の前にいるマスコミにではなく)
国民に向けて国民ひとりひとりの目を見るつもりで
テレビカメラを見て、語れよ、と。
そう言ったはずだ。

・大飯原発の再稼働の必要性の説明
・消費増税の必要性の説明
・マニフェストの多くを反古にしたその理由と謝罪
・震災復興の進捗具合の報告
・福島原発事故対応の進捗具合の報告

などを、プレスルームでマスコミを見て喋る
のではなく、上記のような米大統領スタイルで
なぜ、やらない?
なぜ、できない?
なぜ、それが必要だと思わない?

まったく、この男から真摯さを感じない。

小沢はさらに言った。

『私は今まで、
 民主党があの総選挙のときに訴えた
 原点にかえることが最善の策と申し上げてきた。
 消費税増税が強行されたことにより
 最善の策をとる可能性は非常に小さくなってしまったが、
 最後の努力として
 本来の民主党にかえることを
 政府あるいは党執行部に主張していきたい』

おかしなことはひとつも言っていない。

だが、確実に明日のメディア朝刊では
偉そうな論説委員やヤングボーイ記者などが
反・小沢という好き嫌いだけで
小沢を批判する記事を書くだろう。

一紙くらい、メディアとしての矜持と誇りがあるならば、
主観や好き嫌いではなく、
<どちらの言っていることが筋が通っているか>
をフェアに書いたらいかがか。
それも出来ないなら、
そもそも認めていないが、
ニッポンのメディアと呼ばれる
偉そうなマスコミ組織は完璧に終焉への道を
今後さらに突き進むだろう。

政治家たる前に、ヒトとして。
マスコミたる前に、ヒトとして。
その部分で、個々の誇りはないのか、と。
情けない国だ、ほんとうに。

教育上も、まことによろしくない。

消費税だけをとっても、
<消費税は上げない>と公約をしたのだから、
せめて上げるならば、
先に謝罪しろよ、と。
これはウソをついて他人を騙した場合には、
ごめんなさいするというヒトとしての
基本的なことなのだが・・・。

どじょうよ。ひとことで言いから、
<ウソをついて、ごめんなさい>
<結果的に騙したことになりました。
 申しわけありません>と、言うべきですよ。
冗談抜きで。頼みますよ、というレベルだ。

そもそも野田は会見での言い方が偉そうだ。
何様だ、と。
これだけ賛成しない議員が同じ政党から出たのに
反省の欠片もない。これが異様だ。
賛成しない者が悪いと思っている。
なぜ賛成させることができなかったのか。
なぜ多くの人が自分を支持して信頼して
賛成票を入れてくれなかったのか。
ここの反省がない。
反省なく何でも決めていくのはただの暴走である。
こういう男こそ、悪い意味での独裁者という。
己の器を勘違いしてしまった男は
こういうふうに暴走してしまうという
ティピカルな症例をものの見事に見せてくれている。
だが、本人がまったくそれに気づいていない。
完全に病にかかっている。

ヒトとして、
幼児ですら分かる/出来る
基本的な行為が出来ない。

そんな人間がトップにいるこの国は一体・・・。
そしてそれを咎めず、
明らかに作為的な絶縁状を一斉に報じて
小沢を追い落とそうとするマスコミのていたらく・・・。

ヒトとしての民度と精神性において
ニッポンは
いつから発展途上国以下になったのか。

政治家、霞ヶ関、マスコミ。
この人種のていたらくを見ていると
とてもまともな教育を受けて育ってきたとは
到底思えない。異常だ、これは。

少なくとも、
東京タワーを天に伸ばしていた頃や
東海道新幹線を走らせた頃は夢に溢れ、
誰もが真摯に前を向いて必死に生きていた気がするのだ。

どうか田中角栄の二の舞にならずに
小沢には、がんばってほしい。

明日からまたマスコミはこぞって
小沢=ヒール
という構図を繰り返し垂れ流して
国民に対して情報操作をするだろう。

だが、もう時代は変わっているのだ。
多くの人がもはや
マスコミのことは信用していない。
一般大衆もバカではない。

マスコミが今のアグリーな底辺から
這い上がらない限り、
誰も新聞をとらなくなる日がいつか来るだろう。

少なくともダモシ国では新聞はとっていない。
新聞を時々買って読むが、
彼らの伝えることの多くは信用していない。
テレビも同様。単なる事故のレポートだけでも
信用出来ない。

明日の朝刊は買ってみよう。
注文通り、彼らは単純だから、
小沢批判に終始するだろう。
悪い意味で期待に応えてくれるニッポン・メディア。
ほとほと、愉快であり、
ゆえに、芸がまったくない、と言い切れるのである。

ひとつの新聞の中で、
記者それぞれのヒトとしての良心と
マスコミとしてのプライドがあるならば、
論調が異なっていてしかるべきなのに、
なぜ揃いも揃ってずっと小沢嫌いで一致するのか、と。
これ自体がもう、まずおかしいのである。

白と黒があれば、黒一色だけではなく、
白サイドの論もあって、そこでぶつかり合う。
双方を提示する。

さらに白と黒以外の、赤や青も提示する。

それこそが、
お金をとってお客様に買ってもらう
新聞等のメディアがやるべきことであり、
それでこそお客様/消費者は便益を感じるのだ。

ひとつの論調だけをこれでもかとキャンペーン的に
垂れ流すだけのアグリーな所作はもう
それは情報操作なのである。
国の方向性をいじるという権力的遊戯所作。
それこそ、お前ら何様だ、という世界である。

たかがマスコミが、
一国の方向性を操作するなんぞ許されることではない。


posted by damoshi at 01:55| R-246 ダイアリー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年06月17日

ノヴェル『ガッツ』


あの大会が終わってまだ一週間か、と。
あれからの一週間も濃密で、
時の経過の感覚が鈍っている。

時間がダモシに追いつかないのは昔から。
同じくそれがアントニオのスピードに
まったくついていけていない。
アントニオが先へ先へと進むスピードは凄い。
デイリーで進化と変化。新たなニュース。
そういった部分で、気を緩めていると情報さえ
フォロー出来なくなってきている。
だから、フェイスブックなのだろう。

昨晩はホテル・ニューオータニでの某タレントの
パーティに出席。
ファイティング原田氏とアントニオは記念撮影して
頂いたり、フランス料理を頂いたりと、
そういったデイリーの進捗、そして彼自身の初体験が
毎日のようにある。フェイスブックでなければ
フォローし切れない。

整骨院も引き続き通っている。靭帯損傷以降のケア。
それに伴い整骨院のフェイスブックともリンクしたり等、
広がりも出てくるわけだ。

さて、当欄。先週日曜日から一週間経って、
ようやく「ガッツ」のあの闘いを
ノンフィクション・ノヴェル風に掲載する所存である。
全試合のビデオ映像は不可能(ブレていたり、
途中で興奮のあまり切れていたり等)で数試合分の動画
からキャプチャした画像も込みでストーリーを展開したい。


*****


ノヴェル『ガッツ』::::::::::::


『この怒りを、メインのフルコンにぶつけろ』

伝統系防具付ルールのトーナメントで
破れた後、ダモシはアントニオに言った。

大会は、午前が伝統系防具付、午後はフルコンタクト。
ダブル・エントリー選手はいない。
前者に出る道場と選手はそのルールでしか経験がない。
後者もほとんどが、しかり。

アントニオ自身は、双方経験があり、
既に前者においても幼児時代に関東大会での
準優勝経験が二度あり、
一度は明らかなる誤審で破れているだけで、
そのルールにおいてもトップクラスであることは
分かっている。

何度か上位で直接対決のある選手は、
二年間、アントニオが
そのルールでの大会に出てこないことに
安堵していたのは言うまでもない。

しかし今年の四月末、
そのルールの大手(国際団体)が主催する大会に
久しぶりに参戦し、このルールへの復帰も図った。
その関東選手権で二年ぶりの同ルールに対応し、
優勝を飾った。

そして迎えたのがこの日のダブルエントリー。
この日の大会には、かつて幼児時代と小一年時に
別の団体主催の関東大会で相見えたライヴァルが
出てきていた。

幼児時代は相手が、一年時はアントニオが勝っている。
一勝一敗のまま、その後アントニオはフルコンで
オールジャパンになるなど
フルコンが主戦場になったため、
対戦する機会はなかった。

しかしダモシもワイフもアントニオも、
いずれもその相手を忌々しい敵と見ていた。
なぜならば、いわゆる御曹司だからである。
相見えた大会は親が主催する大会で、
明らかなるホームタウン・ディシジョンが見られた
からである。

『ナメるなよ』

ダモシの怒声も飛んでいた。

一年時の関東大会準決勝の対決前、
その相手は居眠りをしていた。
そして主催者であり親である代表はあろうことか
審判を務めるという不遜なるアンフェアな所作を
見せている中で、その団体の親御さんたちが、
『〇〇ちゃんが寝てま〜す』
『ねえ、起きてねぇ』などとやっていたから
ワイフがぶち切れていたのである。

『ナメんなよ』と。

その試合前、ダモシがアントニオに激を飛ばす。

『ああいうナメた野郎は、叩き潰せ!』

その試合、アントニオは怒濤のオフェンスで
手も足も出させずに完勝。

試合後、御曹司は
お坊ちゃんで
何でもいいよいいよで
育てられている者特有の、
思うようにいかなかったことを相手のせいにする
アグリーな所作で口を尖らせて
アントニオを睨みつけていた。
アントニオはさらに次の試合があったため
相手にしていなかった。

そして昨年の東日本大震災。
当欄にも記載したが、その直後に、
その大会があってエントリーしていたのだが、
例のダモシ・ブチ切れ事件が起こり、
大もめにもめた末、出場を拒否した。

それ以来、関わりはなかった。

トーナメント表を見る。
その御曹司が出てきている。
しかも主審をその親が務める。
(またか・・・。勝ちゲームをやるのだな)。

「優勝させる」というシナリオが既に出来ている。
いわゆるブックである。

通常の一回戦以外に一試合だけ
一回戦前の一回戦といった感じで
因縁のアントニオvs.御曹司戦が組まれている。

『よく組んだな、と・・・』ダモシは感じていた。

『あいつにとっては諸刃の剣だ。
 アントニオには負ける危険性が高い。
 アントニオと当たらなければ
 引き分けに持ち込めば
 全部ホームタウン・ディシジョンで勝って
 優勝できるのに』

現実問題、御曹司は
毎度の如く同ルールの大会で優勝か準優勝している。

別ブロックにヘビー級選手C。
調べれば、御曹司が昨年、別の大会で負けている選手。
これで力関係が分かる。

異種ルールで臨んできているが
先般このルールで優勝を果たして
登場してきた侮れない実力者アントニオ。
9対1ほどの判定操作で勝ちをもらえる本命・御曹司。
ヘビー級で他の同ルール大会で優勝経験がある対抗・C。

主にこの三選手が、重い印がつけられる。

いずれに、本命◎、対抗〇、単穴▲がついても
おかしくはない。

通常の一回戦以外に、裏一回戦的に一試合だけ
なぜか組まれたアントニオvs.御曹司、
二年ぶりの対決。過去一勝一敗。

あの当時よりも当然一発の破壊力も場数も
アントニオに分がある。
一方の御曹司は威力はまったくないものの、
カウンターでちょこんと入れてポイントをとる
技術は一日の長がある。

そして、アントニオは右足首後ろの靭帯を損傷している。
絶好の身体アクションは望めない。

その背景があった中で、因縁の対決はゴング。

ゴングが鳴ると、
どうしたことか
アントニオが、異様な、
まるで黒人が乗り移ったかのような
流麗なフットワークと、
まったく怪我をしているとは思えない動きを見せる。

しかも四月の大会で
伝統系防具付専門の選手、セコンド、会場中が
驚き歓声をあげた華麗なる技を披露する。

対応し切れない御曹司。
だが、ずっとフットワークを駆使することが
できないアントニオ。

互いに動きを止めて、間合いを計り合い、
一発勝負を賭ける神経戦に入る。

さすがに同ルールで一日の長がある御曹司。
打ち合いやパワー勝負、スピード勝負、
あるいはフルコン的なせめぎ合いは不得手だ。
自分の得意な神経戦に持ち込む。

だが、神経戦も心得たアントニオは、
フェイントを仕掛ける。
それに乗らず、さすがに逆にフェイントを
仕掛けてくる御曹司。

レベルの高い、静かなる闘いが続く。
先に動くか、相手を引き寄せるか。

『待て待て、引き寄せろ。焦るなよ』
ダモシが静かに声をかける。

『来させろ』

そして、中盤、
痺れを先に切らせたのは御曹司。
御曹司らしからぬ焦りを発露させて
先に動いてしまった。

入ってきた瞬間、
アントニオがボクシング流の高速ワンツーで、
上段を決める。まずは先手の一本をとる。

セコンドのダモシが思わず
『よし入った!上手い!』と叫ぶ。

『勝ってるぞ、勝ってるぞ』
ダモシがセコンド席から諭すように声がけする。

このまま逃げてもいい。そうすれば先行逃切で勝つ。
それを言いたかったのかもしれない。
あとは勝負を避けて勝ち逃げしろ、と。

しかしオフェンシブなアントニオは攻めつづける。
それでも前回の反省点を生かし、
ダモシが
(これは相手は一本もとれないだろう)
と思える絶好の動きを見せる。

オフェンスの手を緩めず、場外へ出す。
場外へ出た場合は注意が宣告される。
御曹司に注意1が入る。

技有り1&注意1で完全リード。

残りは十数秒。
しかし御曹司は冷静に好機を待っていた。

至近距離でのパンチの打ち合いになる。
微かにアントニオがもう一本とりにいってしまった
瞬間を最後の好機として御曹司は狙っていた。
かする程度でも自分はポイントをとってもらえる
という算段もあっただろう。

だがアントニオの高速パンチが上回る。
自身はしっかりと顔面のディフェンスもしている。

ところが、まったく当たっていない
御曹司のパンチを
アントニオがしっかり腕でディフェンス
しているにも関わらず、技有りをとる審判。

『ガードしてるでしょうよ』とダモシ。

試合続行。そのままポイントでは技有り1同士で
引き分け。だが、相手には注意が一つある。
普通はそのポイント差でアントニオの勝ちになる。

だが、奇妙なことに副審の一人が御曹司を挙げた。
もう一人は引き分け。
すると主審(親)が御曹司を挙げて
2-0で御曹司の勝利が宣告された。

毎度ある、ホームタウン・ディシジョンである。

フルコンの大会でこの春、
三回戦負けと判定された試合の後、
ダモシが諭したのと同じことが起こった。

『俺たちはすべてアウェイだ。
 判定なら負けと思え。
 判定を操作出来ない勝ち方、すなわち
 全部KOをとるのだ、くらいの気持ちでやれ』

というダモシの格言がそのまま、出た。

無理に行く必要はなかったと思われたが、
アントニオのエキセントリックな性質と、
思った以上に動ける自分に
試合中、自信を深めたのだろう。
果敢にもう一本とりにいったその姿勢は
否定されるものではない。

だからか、判定後、
ダモシはめずらしく怒らなかった。
引き上げてくるアントニオに
『いいよ、勝ってるから。八百長は無視でいい』
と告げた。

実際、サッカーW杯予選などで見られる
ホームタウン・ディシジョンや
不可思議なレフェリングどころではない
レベルのミステリアスでユニークな判定は、
キッズの空手大会でもままある。

『ほれ、あんなヘナチョコパンチも技有りとってるし(笑)」

観客席でその後の試合を観ていて
明らかに御曹司優位の判定に笑うダモシ軍。

四月末の同ルールの他の大会では、
強烈な一撃が入らなければ技有りを
とらなかった。
そのあたりも作為が明らかに見られた。

決勝は御曹司とヘビー級C。
圧倒的に押すCだが、
ヘナチョコパンチ(触れただけ)も
技有りをとられてしまっては勝てるわけがなく、
ストーリー通り御曹司の優勝で幕を閉じた。

『ね。そうなっているのだよ』と館長も失笑した。

『そもそも、自分のところの選手の主審やらんでしょう』。


*****


メインは午後のフルコンである。
大会の開会式自体も、
伝統系防具付のトーナメントが終わった後に
行われることになっていた。

数時間、待つことになる。

アントニオの顔には珍しく怒りがあった。

『あの野郎、フルコンに引っ張り出してやろうか』
『フルコンならローキック一発でKOだろう』

と息巻くダモシ。

伝統系防具付きは胴に防具をつける。
そしてローキックは禁止。
つまり直接打撃でローキックやミドルキック、
さらには顔面もセーフ面といわれる
宇宙飛行士がかぶるようなヘルメットゆえ
上段蹴りをまともに受けることもない。
だから受けの部分ではとりわけ弱い。

フルコンで鍛えられている選手とはやや異なる。
ゆえに四月末の同ルール大会で、
アントニオは
防具付にも関わらず
上段蹴りで相手をKOすることができるほど
強烈な蹴りを持っているのだ。

待ち時間にダモシが声がけした。

『この怒りを、メインのフルコンにぶつけろ』


*****


前日、アントニオは稽古中に負傷した。
稽古途中で抱えられてリタイア。
病院へ直行した。

整骨院→病院の整形外科→整骨院
と回った。

結果、右足首の後靭帯損傷。
整骨院でも病院でも
ドクターストップがかかった。

だがダモシもアントニオも欠場は頭にない。
頭を切り替えた。
右脚が使えない中、どう闘うかを考えた。

同時にダモシは
『奇跡的に明日になれば動けるようになれば・・・』
『あるいは途中で立てなくなるかもしれないな・・・』
等々、様々なオプションを立てて
戦略と戦術を練っていた。

伝統系の試合前のウォームアップで
ゆっくりと右足首に負担をかけていくと共に
軽めにミット打ちをしている際に
(ある程度は動けそうだ)という感触をつかんでいた。

そして、試合に入ってから無意識のうちに、
怪我を忘れた中での
これまで以上のフットワークを見せるアントニオを見て
結果としては仕組まれた試合で破れたとはいえ、
フルコンである程度動けそうなという感触を得たことで
またそこで戦法を切り替えた。

『そういうのはもう、感覚的なもの』と言うダモシ。

『本人の顔色や目の強さを見て感じるものだし、
 本人のマインド、内面がまた投影されるから、 
 これまでも多くの闘いの場を共にくぐっているから
 感覚で分かるものですよ』

まずは<怒り>。

これがアントニオのマインドに付加された。

『伝統系防具のおかげ。アレでああいう所作で
 負けにされたことで火がついたのは確かだ』
(ダモシ)

アントニオは闘志を表に出すタイプではない。
クールなタイプだ。
だからともすれば「気合」が足りないのではないか
と見えなくもない。

顔もベイビーフェイスゆえに、強そうに見えない。
身体も毎回、最軽量/最低身長である。

だが内面の、負けん気。
母親譲りの、「勝ち気」とは種類が違う「負けん気」
を大いに秘めている。

『かなり動けると思った。
 テーピングがすごくいい』
(アントニオ)

右足の負傷を考えずに、
フルコンでローも放てるかどうか。
且つ放っても大丈夫だろうか。
(伝統系防具付きはローが禁止)。

そして、その懸念を払拭するのは、
動き方やフットワークが伝統系防具付の試合で
かつてないほど良かったという直近の実績
(かえってそれが試合前のスパーリングになった)。

さらには、
『ある程度動けそうだ。
 蹴りをやっても大丈夫かもしれない』と感じたが最後、
懸念を払拭する所作としてはもう<気持ち>以外にはない。

その<気持ち>を後押ししたのが、
まずは伝統系防具での、結果としての敗戦であった。

フルコンのトーナメント表を見る。
同じ小三年階級に
ある特定の団体の選手が大挙としてエントリーしている。

ふとアリーナを見ると、
伝統系防具付のトーナメント開催時にはいなかった
真っ黒のTシャツで統一された団体が100名規模で現れた。

『柄の悪い連中がわんさか来たと思ったら、
 対戦することになる選手たちの道場だった。
 やつらが大挙として登場してきて、
 さらに闘志が沸いた。こちとら単独乗り込みだからね』


その中にはアントニオよりも頭ひとつ分は身体の大きさが
違うヘビー級が小三で何人もいた。
どうやらこの団体は昨年の同大会
(昨年はアントニオは出場していない)で
フルコンにおいて団体賞を受賞し、
中でも小三の選手が大会MVPにも輝いていることが
開会式で分かった。

(そうか・・・。かなり強いのだな。
 しかも大きいな)

トーナメント表を見れば、
勝ち上がれば準決勝で当たることになる。
むろん、それ以前、一回戦の相手も当然、
アントニオより大きい。

アントニオは今回も、最軽量/最低身長となった。

手負い。最軽量/最低身長。
100名規模の大応援団がいる敵側から
同階級(小三)に五人も出てきている。
一回戦からそれと当たる。
しかも勝ち上がっても昨年のMVPがいる。

ディスアドバンテージの山が、
バルサン後のゴキブリのように
うじゃうじゃと姿を現していた。

試合開始が近づく。

『そろそろアップするか』

ダモシはアントニオに声がけ。

アリーナの隅で、足首のチェック。
そして激しいアップはできないため、
動きのイメージの繰り返し。

あとは、向かい合っての語りに徹した。

心なしかダモシの顔が引きつっている。
いつもと違う。

『もしデカイのと当たったら、
 徹底的に回ってロー。それに徹しろ。
 で、上段などはワンチャンスで。
 そうしないと脚がもたない』

『もしイケると感じたら、上段かナイアガラを
 一気にやっていい。でもワンチャンス。
 集中して一発で仕留めろ。
 乱発するな。それ以外は徹底的に回ってローでいい』

『デカイのとやったら、苦しいなと途中で感じたら、
 無理しなくていいから、引き分け狙いに行け。
 最悪でも引き分けに持ち込め』

などなど、ふだん言わない台詞が出た。

『今日はダディが、いきなり、
 ふつうのお父さんになっていた』と
アントニオが言った。

ダモシはもはや
己が子供の身体を心配する父親になっていた。

『正直、一回戦から相手はデカいし、
 他にもMVPがいるわ、スーパーヘビー級がいるわで
 厳しいなと感じたよ・・・。だから思わず・・・』

思わずダモシは、

『優勝したら、子猫。いいぞ』と耳打ちした。

アントニオの顔色が変わったのは明らかだった。
紛れもなくこの瞬間、
アントニオの顔色がまた変わった。

<怒り>にプラス、予期せぬ<ご褒美>が加わったのである。

ヘミングウェイの家のように、
ワイフの友人とそのネットワーク内には
100匹レベルで猫の世話をしている家がある。
猫好きやきちんと育ててくれる家庭に
子猫を送り出しているのだ。

今年の初旬から
アントニオは子猫が欲しいと言っていたが、
ダモシのOKが出なかった。
ダモシも出さなかった。

それを突然、このタイミングで出した。

『感覚で。フィールで。
 フィールでそう感じた。
 この闘いはまさにSINK or SWIM。
 毎回そうだけれど、
 いろいろな心の部分の問題が多く懸かっていた。
 今回は。負傷を軸として。関わる人も含めて。
 しかも不利だ。一回戦負けも当然覚悟する中、
 後は本当にもう気持ちしかない、と思った。
 だから、子猫を持ち出さなくても頑張ったろうけれど、
 ここで不意に出すことでの、
 本人のモチベーションというか、
 そういうものも含めてね。感覚的に出した、というか、
 自然に出ていましたね。"優勝したら子猫いいぞ"と』


*****


ミット打ち等、通常の試合前のアップはできない。
足の状態を確認しながら
基本的な、アントニオの特徴的な動きの
リコンファーム作業のみ。

『苦しいのは分かる。
 途中で痛くなっても絶対に痛がるな。
 それで負けになるから絶対に耐えろ。
 あと何秒とか言うから。
 試合の間だけ耐えろ。気持ちだけだよ、あとは。
 イケる、動ける、蹴れると感じたら、やれ。
 そして一回戦だけでも何が何でも勝て!』

出番の直前まで隣にいて、声がけするダモシ。

出番を迎えて、セコンド席につくため、共に前へ出る。

後の結果にもつながるポイントが
この一回戦終盤で出た。

互角の攻防の中で勝敗を分けたのは、
日常的に繰り返し練習していた技だった。

飛び後ろまわし蹴りだ。
突つき合いの中で、
一瞬やってきた好機に
アントニオは左上段蹴りを出す。
相手はそれをブロックする。
ブロックしたことで、相手はすかさず
右ストレートを打とうという体勢に入る。
しかしアントニオはハナから
左上段蹴りからそのまま回って
飛び後ろ回し蹴りを出すつもりでいた。

右ストレートを打ち込もうと
頭部のガードががら空きになった
相手の右側頭部に
目にも留まらぬ速さの飛び後ろ回し蹴りがヒット。
首がねじ曲がると同時に
副審の旗があがり、主審も試合を止めた。

06106.jpg

<飛び後ろ回し蹴り!技有り!>

だが、相手の頭部にまともにヒットしたことで、
且つそのヒットした部分が
負傷箇所だったことから、
アントニオは右足を押さえて
しばし停止。
手でおさえながら、
顔をしかめながら
けんけんのようにびっこを引いて開始線に戻る。

(うわぁ・・・)という顔をするダモシ。

『やってしまった、と。
 やはり無理か、と』感じたダモシは、
後ろにいる館長を振り返る。

06105.jpg

周りや大挙としてきている相手陣営は
そのキックによって足を痛めたと錯覚する。
錯覚であっても、
アントニオがそこを痛めていることが
これで分かってしまった。

(いかん・・・)

ダモシが振り返った瞬間、館長もダモシを見る。
館長も(あぁ・・・無理かな・・・)
という顔で見る。
目を見合う中、ダモシも「タオル投入か?」と考える。
二人とも、「もうダメか」「タオル投入か」と
顔に書いてある。

事前に
『タオル投入かストップは判断する』
と言っていた。

主審が歩み寄る。
一本をとったのに大丈夫か、と。
『足、だいじょうぶ?』と主審が声がけする。
このままではダメだ。

ダモシがひと際大きな声を
アントニオの背中にかける。

『しのげ!耐えろ!もう少しだよ。
 勝ってるぞ。もう少し耐えろ!踏ん張れ!』

主審の問いかけに
アントニオはファイティングポーズをとり
首をタテに振る。

大きな大きな分水嶺がいきなり
一回戦でやってきた。

試合再開。
一本とっている。
このままいけば勝ちだ。

『時間が経過するのが遅くて、
 30秒が5分に感じた』

手にするストップウォッチに時々目をやりながら
声がけするセコンドのダモシ。
イスに座っているが中腰だ。

『あと30だから!』

『あと15だよ!』

そして、ラスト10で逆惜しした。
イケると踏んだのだ。
足がもつ、と。

『ラスト10。ラストだラスト!攻めつづけろ!』

ゴング。

痛みを隠そうとするが
びっこを引きながら
アントニオはラインに立つ。

当然、アントニオの勝利だ。

引き上げてくるアントニオに、
『ゆっくり歩け』
『下りる時、気をつけて』
『急いで取って氷で応急で冷やすか』
と言う。

興奮しているワイフも駆け寄り、
『テーピングはとれない。
 このままやるしかない』と言う。

そうだな、分かったとダモシはアントニオに言う。

『このままいくしかない』


*****


モチベーション、モメンタム、
そしてそれらがあるにも関わらず
フローまで引き寄せた。

だが、それは「勢い」というものではない。

「勢い」と「モメンタム」は微妙に意味合いが異なる。

「勢い」と言うのは、手負い過ぎた。

さらにそれよりもシンプルな、<ガッツ>である。

三つ目のポイントが、<ガッツ>だ。

試合を重ねるごとに調子の上がる
いつものアントニオ。
今回はしかし、それに比例して
足のダメージ蓄積も増してくる。

それを凌駕するのはもうこのシチュエーションでは、
<ガッツ>以外にはない。<根性>といっても良い。

ここ最近の2大会、
風邪をひき、それに起因した
鼻のアレルギー(鼻づまりと鼻水)、
喘息とそれに伴う喉のイガイガも影響して
まったく本来の動きが出来なかったアントニオ。

だが、その一方で、
ある意味で気持ちの部分で「受け」に回っていた
ところもある、とダモシは感じていた。

『道場でもエースで、学年下とスパーしたり教えたり。
 私がだからあえて立ってスパー相手になるのだけれど、
 大会でも、実績や実力的に
 ある程度は負けないだろうという
 どこか構えている部分があって、
 それは私自身もそうだけれど、
 これくらい楽勝だろう、と。
 優勝争いして当たり前みたいなところがあった。
 それが良い面もあるけれど、
 それの悪い面もあって、
 チャレンジャー魂というか、向かっていく
 ガムシャラさがいささか欠けている気もした。
 やはり実績できる、例えばオールジャパンになる前、
 幼児時代や小一年時などは全員が格上で強い
 という前提の中で向かっていったわけで、
 あのガムシャラさが一番彼の持ち味だった。
 それを取り戻す必要はあった。
 闘いにおける甘さなどが出ていた、と。
 勝っているのに判定で操作されて負けにされたり、ね。
 でもそれはKOしないから悪いんだよ、と』

相手がヘビー級だろうが、どんなに格上だろうが、
勇猛果敢に自分の闘い方をして、
奇想天外な動き含めて
ガムシャラに向かっていっていた幼児時代と一年時。
そして根幹的な得意技で誰もやらない
『回ってロー』の精度が落ちたというか、
他のアクロバティックな技なども多彩になった分
〜"ここぞというときの"大技の種類が増えた分〜、
且つ力もそれなりについてきて
ヘビー級とも真っ向勝負でも力負けしなくなってきた分、
アントニオの根幹を成す
徹底的な『回ってロー』への意識が下がっていた。
スピードとキレが若干、落ちていた。

負傷したのがその右足だったことも、
示唆、あるいは矜持への序曲だったのかもしれない。

手負いになった。それにより、大技乱発せず、
『一発勝負でいけ。イケるその時に大技狙え』
という、これも伝統系防具付の闘いを
先般二年ぶりにしたことで、図らずも意識下に甦った。

それらの蓄積が重なり合って、
いざという時に該当する
今回の右足負傷の状況下において、
土壇場でそれが甦ったのである。

ローを打つ右足は、脛である。脛でローは蹴る。
負傷した右足踝後ろの靭帯に直接当たらない。
且つ中途半端にローを蹴ると
足首や足背(表)、つま先で蹴ってしまう。
その場合、音は響くかもしれないが、
あまり相手にダメージを与えない。

<回ってロー>をきちんとしっかりと脛で蹴る。

これが皮肉にも甦ったのである。

そして、怪我の分、中途半端な動きや攻めをせず、
一発一発しっかりヒットさせ、
一つ一つの身体アクションもまったくムダがない。

さらには得意技のもう一つ、左ミドルキック。
これも右足を地に着けて踏ん張ったり
捻ったりできない分、
ジャンプして蹴り、
しかもそれがしっかり脛で打撃し、
足首から先を背面へ食い込ませる
しっかりした蹴りになった分、
相手のレバー(肝臓)とキドニー(腎臓)へ
ダメージを与えた。


結果、
『過去最高の動きと一発の的確さ』
とダモシが絶賛して驚くほどの動きを見せたのだった。

それにモメンタム、フローが付加されている。

ガッツ。

それらに加えて、
試合前から何度もタイミングを見て
ダモシがアントニオに伝えていた

『ハートを熱く、頭をクールに』で、
アントニオには
戦況と技を見極めて闘う冷静さも
このシチュエーションで発揮された。

それらが重なって、単なる「勢い」や
異なる意味の「モメンタム」では括ることのできない
進撃をさらに続けることになる。

06102.jpg

高速ローの連続と
レバーへのミドルキックが相手の動きを止める。
高速ローのキレと、
点を中心に円を描く動き、
さらには早送り的アクションに相手はついてこられなくなる。

06104.jpg

この片足状態で、
なぜ絶好調時を上回るような
得意の動きが出来たのか。

06103.jpg

仮に相手たちが徹底的に右足首を
狙ってきたとしても
この日の動きには対応出来ず、
右足首に的確な蹴りを入れることは難しかっただろう。

『逆に致命傷の部分があって、
 そこをやられたらマズいと自分で分かっていた。
 だからこそ、絶好の動きをすることで
 それを封じ込めたのではないか。
 無意識のうちにそこを守るための攻め。
 攻撃こそ最大の防御なり、と示したともいえる』

とダモシが分析した。


*****


激戦を経て、準決勝。
相手はやはりあのヘビー級。
昨年の同大会の優勝者にしてMVP。
この日の参加選手の中でも最重量/最高身長。

アントニオとは頭ひとつ分丁度背丈で差がある。
ヨコや厚みの差は推してしかるべし。

06108.jpg

この体格差だ。格闘技では致命的。
他のこの日の試合の相手も皆、当然大きいが、
この相手が最も大きく、
頭ひとつ分は違っていた。

ダモシは事前にマークしていた。
観ていたのだ。この選手の闘うクセを。
自分がやるべきこととして
ヘビー級の闘い方を一回戦からずっと見ていた。

常々、アントニオに語っている常套句だ。

『闘いは、相手がイヤがることをするのが重要だ。
 そして相手の得意技を出させなくすること。
 それを出したら、コレをやられるからイヤだな。
 そう最初に思わせたら勝ちだよ』。

そして、

『必ず試合開始直後、いきなり左上段を狙ってくる』
と確信した。

準決勝直前。
アントニオに耳打ちするダモシ。

ダモシの中では、
アントニオに採らせるファーストコンタクトでの
動きと技は決めている。

だが、この日はアントニオに問うた。

『あいつは左上段をいきなり出してくるだろう。
 さあ、どうする?
 水面蹴りか
 フットワークでタイガーマスクやってから攻めるか。
 どっちを選ぶ?』

こういう問いかけも
ダモシ自身、初めてのことだった。

アントニオは冷静に答える。

『水面』

ダモシは頷く。

『OK、それでいけ。狙え』

向かい合う両者。主審がハジメの声を発する。

相手陣営が向こう側に見える。
負けるわけがないと思っている。
だが、恐怖の色も見える。

なぜならば、これまでの試合で
型にハマらない動きと技を出す
アントニオに
何人も同じ道場からの刺客が
破れ去っているのだ。
この選手は何をしてくるか分からない。
そんな恐怖が顔に滲み出ている。

いずれの選手も、試合中盤あたりから
気持ちが萎えた感じになるケースが
この日のアントニオの闘いでは重なった。

相手が一発蹴りを見舞うと
その間に
アントニオはスピードとキレとガッツで
三発入れている。
そうなるとダメージの蓄積も差が出てくる上に
アクロバティックな動きがあることで
何が何だか分からないという状況に各選手は陥っていた。

ハジメ!

試合開始。
右構えでアントニオがじりじりとだが、
素早く出る。
相手に、一直線に入ってきたと思わせる。
MVPは、
『バカめ、真正面から入ってきやがって。
 狙い通り、左上段で一発だ』と
定形内のフォームで左上段を繰り出す。

その瞬間、アントニオは視界から消えている。
真下に消えている。

そして、左上段を放ちにいっていることで
地面に一本足で立っている右足膝の
皿の下あたり際どい位置めがけて
平たくいえば「後ろまわし下段」的な
これも幼児時代から時々出す
<水面蹴り>を繰り出した。

MVPは何が何だか理解できない状態のまま、
誰もいない真正面に
まるで野球でいうところの素振り的に
ただ左上段蹴りを自分自身でやっているに
過ぎない状態になった。
目も顔も
その左上段蹴りをしている正面を見ているまま。

水面蹴りは惜しくも
MVPの右膝の内側を鋭くかすり
ヒットしなかったが、
アントニオはそのままものすごいスピードで
ぐるっと転がり、
その勢いのまま立ち上がり、
開始線まで悠然と歩いて戻る。

その間、MVPも主審もキョトンとしている。
相手陣営からは逆に
『おおっ!?』という声があがり、
互いに顔を見合って驚きの声をあげている。

自分らのエースがこれまでやられてことがない
動きでファーストコンタクトを制された、と。

以降、試合終了まで、
MVPは準決勝までの一連の自分の試合で
制してきた左上段蹴りを
一発もアントニオにヒットさせられなかった
ばかりか、一発も出せなかった。

出さなかったのではなく、出せなかった。

アントニオ、勝因が多くある中の、ひとつ。
相手の得意技、左上段蹴りを
一発も出させなくした、ことである。

『主導権を握れ』

ダモシが毎日のように口酸っぱく伝えていることだ。

ファーストコンタクトで、
必ず出すだろうという相手の左上段に
一か八か絞って、
それがこの後できなくなるような
恐怖を植えつけること。

『ジャストミートしなくてもいいと思っていた。
 当たり前でしょう。
 アレをやるのは、
 相手にこの試合中に限っては
 二度と左上段を出せなくさせることが
 あれを用いた最大の理由だから。
 これをやると、逆にこれをやられてしまう
 という恐怖を植えつけることが重要なのです』

とダモシは言う。

06101.jpg

ファーストコンタクトでの紙一重の攻防。
ヒットせずとも
この動きとオフェンスが明暗を分けた。

『故・橋本真也が、高田延彦とのIWGP戦で
 見せたあの水面蹴りね。あれが手本。
 幼児期から極秘練習している技ですよ。
 ここぞ、で出す、と。
 まずこれもフルコンでやる選手はいませんね』
(ダモシ談)

試合再開。激しい応酬の中、
アントニオが突然、
セコンドのダモシ、隣に館長、その後ろにワイフが揃う
少数精鋭陣営にものすごい勢いで駆け寄ってきた。

またしてもキョトンとするMVPと主審。
周囲の観客、相手陣営もまた口をあんぐりさせられる。
この日は一回戦からずっとそうだ。
そもそも飛び後ろ回し蹴りで一本をとったり、
ナイアガラの滝などをやる選手は一人もいない。

それに振り回されている。皆が。
そして、見入ってしまう。
『この子、面白い』と。

これぞ、<魅せる要素>である。

さらにこのMVPのエース相手の
ファーストコンタクトでの
おそらく全員初めて見たであろう動きと水面蹴り。

目が離せなくなってきているのが分かった。

そして、この突然のパフォーマンス。

ワイフは咄嗟に理解した。

<面だ>と。

叫ぶ。

『どうした!? 面!面!ゆるい!言って言って!審判に言って!』
とワイフが叫ぶ。

ややあって0コンマ何秒後に気づいたダモシ、館長、
揃って、マット上と主審たちに向かい
腕と指をフルに使って
何か技を決められて逃げたのではなく
面が緩くて闘いにくいから
被り直させてくれ!とアピール。

06107.jpg

もの凄い勢いで駆け寄ってきた先はダモシ。
己が父親のところへ
緊急事態に際して駆け寄ってきた。
ダモシ、館長それぞれの手も映っている。

これもまた分水嶺になった。

ダモシがこれも常々言っている
『自分のペースでやれ。自分が世界の中心でいい。
 勝つためにはそれくらいのワガママさは必要だ。
 何かを遠慮して闘うのは闘いではない。
 単なる、甘ちゃんだ』を覆す行動。

少しでもやりにくいと感じたアントニオは
有無を言わせぬアクションで
タイムをとったのだ。勝手に。

すぐにワイフが乱入。
被り直させる。この際のワイフの動きは速い。
面が合うか合わないか等はワイフの担当だから、だ。

何度も被り直す。しっかり合うまで。

主審が急ぐよう促す。

だが、ここで遠慮して「すいません」とやって、
ジャストフィットしないまま闘うと
危険度が増す。

徹底的にセルフィッシュになるべきだ。

ダモシが悠然と言う。

『急ぐな。慌てるな。完璧に合うまでやれ。
 テイク・ユア・ターイム!』

誰にも何も言わせんぞ。
そんなオーラがダモシからは自然に溢れ出ている。

勝利への執着。アントニオから、それが露骨に出た。

また試合再開。

怪我しているのはウソ?とさえ思える
映像の早送り的な動きでMVPを翻弄する中、
的確な回ってロー、
レバーとキドニーに食い込むミドルを打ち込み、
さらには疲弊してジャンプ力は既に失われているのに
ナイアガラの滝まで繰り出すガムシャラなアントニオ。

見ればセコンドのダモシの目は潤んでいる。
嗚咽一歩手前だ。

体格差もろともせず、
前へ前へ、とにかく前へ。
相手が場外へのぎりぎりのラインまで
防戦一方で下がっていく。

ダモシが叫んだ。

『出せ!場外まで出せ!』

相手陣営が声を荒げる。

『下がるな!逃げるな!』

笛がなり、旗が振られる。
主審が両者を分け、両者、開始線に戻る。

主審がMVPを指差して言う。

『場外、注意1 !』

残り時間も減ってきている局面で
アントニオにとっては
大きな大きな「注意1」がやってきた。

試合再開。

ワイフが叫ぶ。

『ディフェンス!あとはもうディフェンス!』

そう。
勝っている。このままいけば勝ちになる。

ダモシは叫ぶ。

『徹底的に回ってロー!』

残り20秒。

『勝ってるぞ!しのげ!』

引いたふりをして
ラスト10になって再び声がけするダモシ。

『ラスト10。回ってローいけ!
 そしてイケると感じた瞬間にアレ行け!
 最後にもう一回、ナイアガラ-1いけ!』

ラスト3秒。

この日、何度もやっている、
そしてもう既に跳べない身体で
ナイアガラ-1を敢行したアントニオ。
だが、まったく跳べず、
形にもなっていない。
失敗。

主審はアントニオに注意した。
無茶しないで、という感じだった。

その瞬間、ゴング。

全員がアントニオを挙げ3-0で判定勝ち。

もう既に一本をとる余力はない。
足もぎりぎりの状況だ。
アントニオは
この試合、上段蹴りは一本も出せないほどだった。

そして徹底的に回ってローとミドルで攻め、
ワンチャンスで一気呵成に攻め立てて
相手を場外に押し出して
致命的な「注意」を奪った。

涙は落としていないが、既にダモシの顔は泣いている。
館長も、恐れ入ったという顔で
この日はもう何も言わない。

ダモシが誰にともなく言う。

『よく、しのいだ。よく、しのいだ・・・』


そして、何とまあ驚くことに
休憩なしでそのまま一分以内に一気に決勝戦となった。

決勝の相手もまた出てきたその道場だ。

ここで明かせば、それはK真系である。
フルコンの雄。

それらをことごとく打ち破って決勝へ進んだアントニオ。

気づけば、準決勝から
相手陣営の大軍団の中に
他の道場の子供が混じり、
アントニオに声援を送り始めたのだ。

試合中も
『〇〇番の方、がんばれ!』と他の道場の子供が言えば、
決勝でも
また別の団体の女の子が
アントニオを応援している。

『聞こえていたよ』とアントニオ。

それだけ、冷静だったのだろう。
そして、大軍団の嬌声に対して
ダモシ一人の声が
しっかりと耳に入ったという。

これも通常では珍しいケースだ。

得てしてうるさい試合の場合、
セコンドの声が聞こえない。
今回は大軍団がいる中でのダモシ一人だったにも
関わらず、しっかりとアドバイスが耳に届いていたという。


だからあの台詞、

『ダディが今日は、いつの間にか、
 普通のお父さんみたいになっていたよ』

につながるのだ。

ダモシも
『足、だいじょうぶか?』
『勝ってるよ?』
『そこでヒザ入れてみよう』
『ほら、がんばれ!』
『もう少しで終わるよ』
『あと少し、がんばれ』
などと、ふだんとは異なる声をかけていた。

それだけ手負いだったからだ。


ポイントがここでまた付加される。

遂にアトモスフィアも支配した。
決勝を前にして、
場のアトモスフィアはすべてアントニオに味方した。

ダモシももう、勝ち負け無視だった。
勝てるだろうだの、難しいかなだの
一切の考えや想像はなかった。

ただただ、足が持つかということと、
アントニオが見せている
ガッツに感動していたのである。
もうそれを少しでも背中から押してあげよう、
そして勝利出来るよう
自分ができること=
アトモスフィアの支配や的確な技のアドバイスなどを
全力で行おう、と。

『珍しく決勝戦の前は、勝ち負け無視だった。
 勝つか負けるか云々はまったく頭になかったね。
 こんなに集中したのは久しぶりだった。
 これが、おそらくフロー状態なのだろうね』

また相手は大きい。
『いや、もう毎度のこと』と笑うダモシ。


*****


ゴング。

ファーストコンタクト。
正面から入らないアントニオ。
冷静にアントニオの動きを見ている
最後の刺客。

同じ道場内の選手が何人もやられている。
最後の砦として出てきた刺客は、
強烈なローキックを
アントニオの負傷箇所を狙って蹴ってきた。

だが、強烈なそれを受けても
足がガクッとならずに
瞬時に同じローを打ち返すアントニオ。

互いの意地がぶつかり合う
ローキック合戦になった。

ローの打ち合いでアントニオが負けることはない。
しかも得意の回ってローは専売特許。
刺客が一発ローを蹴る間に二発蹴る。
右に動き、左に動き、
その度にローを入れ、タイミングを見計らって
左ミドルをレバーに入れる。
直線的な動きしかない刺客は次第に焦る。

パンチを顔面に五発入れたところで
副審が大きく笛を吹き、旗を振る。
主審は大きくかぶりを振って「止め!」と吠え、
両者を開始線に誘導した後、
刺客に向かって
『顔面殴打!注意。赤、技有り!』と宣告した。

勝負という意味では、
大きな大きな<技有り>がアントニオに入った。

意図して顔面に入れさせたわけではないが、
この大会のルールを調べていたダモシは
これもまた前夜に手負いのアントニオに告げていた。

『皆、大きい。だから、
 こちらにパンチを入れにくいはず。
 相手のパンチが高くなる可能性があるぞ。
 顔面に、だ。顔面パンチは注意になって技有りになる。
 最悪の最悪は高めのパンチが来たら
 顔に当てさせろ』

手負いの中、最悪の場合を想定し、
何が何でも勝つという局面になった場合をも
想定し、そうダモシはアントニオに告げていた。

<顔を出せ>と。

野球でいうところの、最悪の場合の、死球である。
死球すれすれの球をぎりぎりまでよけないで
当たる策もある、ということだ。

だが、アントニオがこのとき、
意図的に顔を出したわけではない。

『五発も入ったのに、止めないんだもの』
と試合後、語ったアントニオ。

ローの攻防の果て、
アントニオの動きに
思うような打撃が出来ず焦った刺客が
アントニオを止めるために
思わず出してしまった顔面パンチ。
しかも五発。

最初の数発は大目に見た審判だが、
さすがにやり過ぎだと判断したのだろう。
しかもそれが<技有り>になった。

アントニオが同じく顔面パンチをやってしまい
技有りが相手にいくか、
刺客が自ら上段蹴りなどの一本を決めて
技有りをとらなければ
追いつくことはできない。

『勝ってるぞ?勝ってるぞ!』
と大きく叫ぶダモシ。

相手陣営は盛んに
『ロー!足を狙え!』と叫んでいる。

刺客はさらにローを連発する。

ダモシはさらに大声でアドバイスを送る。
その声と台詞は相手陣営にモロに聞こえる。

『ローしか来ないぞ。ローが来るのが分かるから、
 ローが来るから、全部左に回れ、
 ローを打たせるな、逆にその三倍ローを打て!』

もはやアントニオに大技をやる余力は残っていない。

最後は気力で、どつき合い。
正面を向き合っての拳の突き合い、
ローキックの打ち合い、
手数と精度で上回るアントニオ。

残り時間も、わずか。

一瞬、アントニオの動きが止まる。
危険な時間帯だ。
真正面で動きを止めると危険だ。
そこで膝蹴りを食らうと一発KOの危険性もある。

この日、最大の大声でダモシが叫んだ。

『ほらもう終わるぞ!あとちょっと!
 回れっ!回れっ!』


と、突然
アントニオが、
ナイアガラ-IIIをものすごいスピードを繰り出した。
この日最速のナイアガラ。
相手顔面の横をすり抜けたため
ヒットしなかったが、
相手はその間、棒立ちで
何があったのか分かっていない。
仮にそれがナイアガラ-Iだったら
完璧にヒットしてKOに至っていただろうスピード。

ビデオを撮影しながら声援を送っていた
ワイフが思わず叫んだ。

『キャーッ!あーっ!惜しいっ!』

セコンド席のダモシも

『うわぁっ惜しいっ!』

さらに残り10秒の
互いに足を止めての打ち合いで
これが最後だと思ったのか、
この日最高ともいえる
角度を変えたKO狙いのローキックが炸裂。
ぐらつく相手。

技有り1がなくての判定でもストレートだった
であろう完璧な手数と有効打で
アントニオの勝利は見えていた。

両者、正面を向いて判定を待つが、
立ち位置に戻る刺客は
息も絶え絶えでうなだれている。
対するアントニオも堂々と
立ち位置に戻ると、
正面の本部席に向かい
かつてない気合の大声と十字を切って

『オースッ!(押忍)』と叫んだ。

まるで故・橋本真也が
フィニッシュに向かう際の咆哮のように。

あるいはその時、
自分たちも正面にいて
その顔を見ることが出来ていたならば
あの貴乃花の負傷を押しての優勝の時のような
般若の形相をしていたであろう。

副審らの旗判定を待つまでもなく、
主審が『赤の勝ち!』と告げた。

静まり返る相手陣営。

この瞬間、セコンド席にいて、
勝ったときも負けたときも
勝負が決した後はセコンド席を離れるまで
冷静を装うダモシが、
これまでにない
周囲にアピールするかのように
大きな拍手をした。

06109.jpg

『そりゃあ、そうですよ。
 100人とかそんなレベルで応援している
 相手がいてさ。こちとら単騎だよ。
 小さいしさ、怪我もしているしさ。
 見てよ、このガムシャラ。
 俺が、"どうだ! 見たか!"ってやってやって、
 で、俺が賞讃の拍手を大きく派手にせんで
 誰がするのよ、ほれ見たか、と。
 そういう世界。意地ですよ、意地』

準決勝→決勝が間髪入れずに休憩なしで
連続で行われたことも
アントニオに味方した。

アントニオの方が不利なのだが、
そのディスアドバンテージをも
アドバンテージに変えるラックと気の強さがあった。

モメンタムだ。

モメンタム、最高潮になったところで
間髪入れずに決勝も闘うことができた。
ここで決勝前に数時間あるいは数十分挟まれていたら
身体だけではなく、せっかく持ちこたえている足が
冷えてしまい、痛みも増幅してくる危険性があった。

だから、この点は大きなラックがあった。
モメンタムが最高潮になっていたその時、
それが途切れる間もなく
試合が続いたこともまた大きなポイントとなった。


*****


最後のポイント。

それは闘いの舞台である。
通常フルコンの場合は、
ジョイントマットというマットを組み合わせて作られた
上で闘う。

伝統系防具付きの場合、体育館やアリーナの床の上だ。

ところがこの日の会場は武道館になっていたため、
柔道を闘う武道畳の現代版になっていた。
すなわち地面が柔らかかったのである。
ふだんのジョイントマットよりも柔らかかった。

これが負傷している足に負担とならなかった。
床あるいはジョイントマットでは
武道マット以上に動けなかったはずだ。
今まで多くの大会に臨んでいるが、
武道マット上での闘いは初めてだった。

これは大きな救いとなった。

『もちろん負ける時の運の悪さ、
 勝つ時の運の良さ、双方必ずある。
 勝因は今回のグッドラックはもとより、
 やはりアトモスフィア、モメンタム、フローの
 三位一体が構築されたことと共に、
 今回は最大のポイントは、気。
 "気持ち"の部分。
 どんなときもどんな相手でもガムシャラに。
 これがこれまでの中でも最高に強かった。
 最大のポイントが、それ』

とダモシが言うように、
幼児時代や小一時に毎回見られた積極性、
破天荒さ、ガムシャラさが甦ったことが
最大の勝因といえるだろう。

技術面と精神面。
いずれも重ならない限り、ラックだけでは勝てない。
また、それらが重なっても、
ラックが向いていなければ、勝てない。

そして、<魅せる要素>。

ダモシが口酸っぱく言っている点だ。

今回は全試合を通して、
無意識のうちに結果的に
存分に<魅せた>。

観客、関係者誰もが、あっと言った。

関係者の各団体の長なども表彰後、
個々にアントニオに
<良かったね!>と声がけしていたことに
それは表れている。

ただ強いだけではない。
ただ相手に勝つためだけではない。

それだけではない矜持が、
闘いの中に存分にあったことが大きい。

まだまだ闘いは終わらない。

ダモシとワイフは語り合った。
『やっぱり二冠はさせなかったな。
 防具付で負けた時点で
 フルコン優勝というストーリーになっていた
 のかもしれないな』と。

闘いにおけるイデオロギーの観点から
ダモシが標榜している武田信玄。
そしてダモシのニッポン復帰後の仕事上も
縁深い山梨と武田信玄。
この日の会場も山梨。

『信玄の後押しがあった』とダモシは真顔で言う。

『信玄の名言はやはり得ている。
 軍勝五分を以て上となし、七分を以て中となし、
 十分を以て下と為すという、ね。
 まさにその通りになる。
 年初の大会では二冠獲ったけれど、
 三冠狙っていた型試合で忘れるという
 前代未聞の失態を演じて破れている。
 これも十分勝たせてはいけないという
 信玄がやはり後ろにいたわけですよ。
 そういうのは、ありますからね。
 そもそも山梨は、仕事でもそうだけれど、
 武田神社へ何度も参拝したり、
 信玄と心で対話してきた。
 そういうのが絶対に生きているはず』と
ダモシは言う。
 
最後にまたダモシが言った。

『何はあっても、どうであれ、
 やはり
 Sometimes you win, sometimes you lose,
sometimes it rains. だよ、オールウェイズ』。


posted by damoshi at 22:00| スポーツ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年06月11日

ガッツ


長い長い一日。疲れた。
だからもう今夜は素直にこのまま休む。
さもなくば、朝までやることがいっぱいある。
<余韻に浸る>ことである。

結果的には、今年四つ目のタイトル。
すなわち、何とこの逆境で、優勝。

腑抜けにならず、手負いの虎と化したアントニオ。

ダモシは泣いた。
そして小泉首相→貴乃花のとき
(日本にはいなかったが)の台詞、
『痛みに耐えてよく頑張った!感動した!』
とアントニオに言った。

ガッツ。もうこれ以外に、ない。

検証その他ディープな記載は明日以降にするとして、
今宵はフェイスブックにLIVE掲載していた部分からの
転載としたい。

:::::
(午後4時頃)

準決勝くらいから、
セコンドにいても既に込み上げていた。
理屈抜き、掛け値なしに
アントニオ選手、過去最高のガッツと死に物狂いで
なんと優勝。

長い一日、詳細多彩なドラマは帰宅後。

私は泣きましたね。
:::::

(午後5時半頃)
痛みに耐えて良く頑張った。
感動した。
ただいま表彰式。
:::::

(午後10時頃)
ようやく田園都市エリアに
もどり、ご褒美を買って
サイゼリヤで祝勝会。

:::::
(午前0時50分頃)
6時発、23時戻り。
その間、17時間。
スポーツにおけるコンペティション、
ゲーム、バトルには
様々な要素が複雑に絡み合っている。
行き帰りの道路事情や天気、
気温も含めて、だ。

それらすべてが、
SINK or SWIMの闘いにおいては
微妙な影響を及ぼす。

17時間の中で時々刻々と変化する状況、
心理状態、相手関係、空気・・・。

事前に起こる事象とその他、
本人や直に関係する者を取り巻く状況も含め、
プロスポーツ、五輪スポーツ、
キッズスポーツまで種目を問わず、
「結果」は、あくまでも一つの結末に過ぎない。
結末はまた、次なるストーリーへと連鎖する。
もとより、その日の闘いもまた、
それ以前のストーリーからの連続ドラマ。

連続するストーリーの中における、
単一の或る一日の今日だけの闘いを捉えても
その17時間の間には、
ラストシーンをいかようにも変化させる
仕掛けが潜んでいる。

常に、「望むべく最高の結果」を誰もが目指す。
だが、何をやってもうまくいく人以外は、
そうはならない。そして勝負に常勝はあり得ない。
「望まない結果」に終わった場合でも、
それが連続しているストーリーである限りは
「望むべく結果」に至るときもある。
その逆もしかり。

しかし、
「望むべく最高の結果」や
「望む以上の結果」になった場合は、
より多くの要素が複雑に絡み合い、
まさにケミストリーが如く
それらが良い方向に
マグネタイズドしたことが
大きな要因の一つになる。

あくまでも一つのそれである
今回の<負傷>。

ある意味で、もしかしたら負傷がなければ、
今回の結末はなかった可能性も大いにある。

<闘い>というテーマを軸に、
あまりにも多くの要素が複雑に絡み合った
一日を、
スポーツ・ノンフィクション的に考察し
ノンフィクション・ノベル的に記載し
単なる「やったーっ!」ではない、
矜持あるものとして/記録として残すには、
フェイスブックの
一般的な持ち味=短文/リアルタイム性では
描き切れない。

だからそれは「スポーツを描く者」として、
ブログにディープに記載することにしたい。
そして今日はもうさすがに疲れた。
明日に響くため、毎試合後に必ず行っている
ビデオ映像を見ての検証
(良い部分の確認と悪い部分足りない部分の
 反省作業と相手分析作業)も写真の整理等も
明日にしたい。

「親」としては、
一刻も早く、
ひとりの仕事部屋兼個室で横になり
目を閉じて、眠りに落ちるまでの数分間、
今日の余韻に浸りたい。

:::::


ということで、ダモログ限定で
明日にでもディープに
ダモシ主体ではなく、
ダモシもあくまでも登場人物の一人として
今宵の様々なドラマを
スポーツ・ノンフィクション・ノベル風に
掲載したい。

忌憚なく、ダモシも今日はリアルに勉強になった。
アントニオはまた一つ壁を突破した。

大きな大きな付帯要素=負傷。
これがキーポイントとなったのだが、
我々以外の登場人物もまた多彩で
多くの事柄、人が絡み合ったまさにドラマとなった。

もう、眠い。Good Nightである。


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posted by damoshi at 01:41| スポーツ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年06月09日

手負いの獅子か腑抜けか


明日の大会を目前にして、
初めての厳しい事態に陥った。
アントニオが今日の稽古で負傷した。
スパーリング中、
マットと床の境目の段差で足を踏み外したのである。

以下、フェイスブックに掲載した内容を。

:::::

厳しい事態。
アントニオ選手、負傷。

稽古でのスパー中、
マットと床の境目で足を踏み外し。
応急で私が通っていた整骨院へ。
ここはレスリング等、格闘技の選手が
多く来ているところで頼りになる。
触診と電波、アイシングを施してもらった。

足首うしろの靭帯の可能性もあり
小児ゆえ骨が小さいから骨折も否定出来ない
ということで
これから整形外科へ行くところ。

最悪でも靭帯と骨だけでも問題なければ
夜にまた整骨院へ戻り、
明日の大会のためのテーピングをしてもらう。
「明日はやめたほうが」
という示唆はあったが、
状態を見つつではあるが現状では明日の参戦は強行。

いずれにせよ右ローキック、右上段は使えず、
右で踏ん張れないから左ミドルも厳しい。
夕方、片足での戦法を練るしかない。
異種二部門ごとの、それを。

調子が良いときに限って・・・
とは、こういうことでしょう。
起こったことは仕方がない。
ここからどうするか。それが重要。

(その数時間後のフェイスブックへの寄稿)

今日は一日、
アントニオ選手の負傷の件で終わった。
整骨院から病院の整形外科。
そしてまた整骨院。

レントゲン等の結果、骨折は免れたが
後距腓靭帯の損傷ということで、
断裂ではなかったのが救いだが
『しばらく固定安静』
『明日の試合はNG』
というドクターの見解に至った。

だが、明日は参戦だ。

本人のマインドが落ちておらず、
むしろこの状況を楽しんでさえいる。
もしかしたら逆境に陥り
モメンタムが沸き立ったのかもしれない。
あるいは、開き直り。

『怪我は男の勲章だぜ?』
『ロス五輪で山下泰裕は・・・』
『ピンチを楽しむというもあるぜ?』

などという無意識の呼びかけが効いたのか、
小三になり<男>というものへの意識も
高くなっている中、
このシチュエーションにおいて
何かしらのストーリーを見出したか。

18時過ぎに再び整骨院。
スタッフもコンタクト系格闘技を知っている。
明日の大会用に一日もつテーピングを施してくれた。

『この怪我の場合、〇〇だから、〇〇をつかって
 やったほうがいい』と
施術中にアドバイスされたようだ。
それが私からのそれと同じだったという。

就寝前、二人で確認し合った。
構えや動きで、どうすれば負担がかかり、
どうすればかからないか。

それはいつもの大会前夜とは明らかに異なる。
負傷したまさにナマの状況での明日へ向けた
<どうするか>のミーティングである。

よりによって明日は、
伝統系防具付とフルコンの2部門参戦だから
笑えてくる。

ルール上、ポイントを発見した。
前者においては四月に優勝した大会では
禁止されていた技が明日はOKになっている。
そしてその技は実は十八番でもある。

『あ。明日は〇〇が使えるぞ』

そう言うと、アントニオ選手はニヤリ。

ナイアガラも出せない。
ローも出せない。動けない。
だけれど、
足を使えないというハンデを相手に与えよう。
これくらいの強気で行きましょう。

そして、リアルに『楽しもう』となる。
この状況を。

今夜も最後に言ったし、
明日も直前に言うであろう言葉は、
こういうシチュエーションではただ一つ。

『あとはもう、"気持ち"だよ』

である。

:::::


といった具合だ。

手負いの獅子として燃えるか、
あるいは腑抜けになるか。

明日は結果以上に内容に期待したい。
"男"としての
アントニオがまた試される良い機会。

なにごとも経験と勉強である。

手負いの中でいかに彼自身が魅せるか。

親としてはハラハラドキドキ落ち着かないが、
スポーツマン、武道家、
あるいは格闘競技者の"同志"としての立場で
あるいは<男同士>としての立場で
考えれば、

大いに楽しみである。

むろん精神的・技術的両面での全面バックアップは
いつもの通りだが、
心理面でいつもとはまた異なる部分を
ダモシ自身がアントニオに伝えられるかどうか。
ダモシ自身も試される。

己が直系遺伝子だ。腑抜けであるはずは、ない。

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posted by damoshi at 22:36| スポーツ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年06月08日

タカハシは今、どこに。


やたら警官が多かった今日。
帰宅時、最寄り駅の改札を出たところ
にも警官が二名いた。
(この駅には来ないでしょうよ・・・)。

タカハシは今、どこにいるのだろう。

今回の逃亡ストーリーの始発点は川崎。
いま読んでいる「最悪」の舞台がちょうど川崎。
さきごろ読んだ
「ゴールデンスランバー」のような
(中身は違うが)逃亡劇なのか。
贅肉や筋肉を抜きに
単純に今回のみのストーリーとして
見た場合、どこに逃げるのか、
捕まるとしたらどこで捕まるのかにも
人間の興味は少なからず向く。
過去の関連ストーリーを抜きにしたとすれば、だ。

推理小説的に、仮説を立ててみた。

川崎からタクシーに乗って<横浜市>で
降りたかもしれないというところまで
情報は公開されている。

では、仮に川崎駅前からタクシーに乗り、
都内中心部ではなく、(横浜方面だから)
北西に上がるか西へ行くかとなると、
R-15かR-1で横浜中心部へ向かうか、
R409で北上し、R-246に入って西へ向かうか。
これら3パターンからその後の足取りを推測してみた。

長くなるため、本編はブログで記したい。


*****

とフェイスブックに記載した。

そのつづき。本編をこちらに記載したい。

冒頭、
ダモシの拙宅最寄駅の改札を出たところにも
二名の警官がいたと記載し、
しかし
(この駅には来ないでしょうよ・・・)
と感じていたダモシだったが、
そうとも言い切れない。

タクシーを降りたのが<横浜市>と報道されているだけで、
どことは書かれていないからだ。
横浜市といって、誰もが想起するような
観覧車やランドマークタワー、あるいは山下公園など
だけではなく、広いからだ。
ダモシ拙宅エリアも横浜市。

その前提をまずは取り入れた上で
憶測と推測を始めたい。

前提として存在する情報は、

〇川崎からタクシーに乗り、
 <横浜市>で降りた"かもしれない"

である。

が、これより以前に
憶測と推測として前提に存在するものが

〇東京首都圏/中心部より、西へ逃げるだろう

という憶測である。
これを大前提といっても良いだろう。
だからこの大前提がそもそも誤っていれば、
これからする推測はまったく意味をなさなくなる。

しかし、この「憶測」と
その前に提示されている「情報」は
合致している。

だから、まずはこれを大前提とする。
心理的に「西へ」逃げるであろうという推測から、

A. <川崎から横浜市へタクシーでまずは向かった>
B. <そしてそこから西へ向かうだろう>
が、スタートである。

まずは、A。
<横浜市>のどこか。
警官が駅にいっということは、
東急田園都市線沿線ということも
可能性はゼロではない。

フェイスブックに記載したように、
仮に川崎の駅前からタクシーに乗って
<横浜市>方面へ向かうルートで
代表的なものは以下の三つだ。

R-15とR-1のいずれかを用いて
どんどん西へ下っていく。
<横浜市>の中心部に行くことができる
最短距離だ。

神奈川区、保土ヶ谷区、中区、西区、南区など。

一方、北上するパターンもある。
川崎から電車でいえば
例のダモシが嫌うJRタテラインの南武線の世界。
川崎駅前からR-409を走り
武蔵小杉を過ぎて溝の口へ。
ここからR-246に出る。
これを西へ進めば
たまプラーザなどが登場する
横浜都民のエリアである青葉区になる。
もしくは溝の口でR-246に出るより先に
第三京浜に乗る手もある。
第三京浜に乗れば
やはり<横浜市>のニュータウンである
都筑区や港北区などのエリアに出る。

<横浜市>で降りたタカハシ。
その降りた場所は、以下が候補になる。

Z:あくまでも一般的なイメージの横浜
 (中華街を含むランドマークタワー周り)
 (JR、東急東横、横浜地下鉄沿線含む)

Y:青葉区、都筑区、港北区などの横浜都民エリア
 (主に東急田園都市線とブルーライン等の
  田園都市エリア)

プラスαで新幹線駅のある

X:新横浜周り

<横浜市>という括りで<逃亡>を考えた場合、
且つ始発点が<川崎駅前>で
タクシーで行く
ことを考えた場合、
ダモシの中では
オールモースト横須賀市/オールモースト鎌倉・逗子
に該当する金沢区
(八景島や金沢文庫等があるエリア:京浜急行)は
あまり考えられない。

ただし、この世界観は、
頭が瞬時に回転し、
旅行業取扱主任者資格を少なくとも取得できるくらい
地理や各都道府県の位置関係、交通機関に詳しければ
可能性としては生まれてくる。
したがって、わずかにこれを残してみる。

X-Y-Z以外の、Ex.として。

Ex:横浜駅前で降りて、京急に乗り久里浜まで行った。

整理する。

Z:あくまでも一般的なイメージの横浜
 (中華街を含むランドマークタワー周り)
 (JR、東急東横、横浜地下鉄沿線含む)

Y:青葉区、都筑区、港北区などの横浜都民エリア
 (主に東急田園都市線とブルーライン等の
  田園都市エリア)

プラスαで新幹線駅のある

X:新横浜周り

そして
Ex:横浜駅前で降りて京急で久里浜へ行った

この四つだ。

それぞれでは、その後、どう動くのか。
最もイメージしやすいのが、逆にExになる。

<西へ逃げるだろう>
<横浜方面だからその後、静岡へ行くだろう>
という捜査方針は容易に想像出来るから、
その逆を突くのだ。

横浜から南へ下がり京急に乗って三浦半島へ行く。
久里浜で京急を降りる。
久里浜にはフェリー乗り場がある。

フェリー乗り場まで駅からは2km強。
充分歩くことができる距離だ。
ここでタクシーを用いてしまうミスは犯さない。
バスも用いない。
徒歩で久里浜港へ出る。
そして船に乗る。行き先は、千葉の房総。
船は千葉の金谷港に着く。
そこから内房線に乗って南へ行けば館山、
館山から先、東へ進めば鴨川、
そのまま外房線にテイクオーバーして勝浦。
行こうと思えば延々と乗継いで東端の銚子まで行ける。
ダモシ的には<銚子>は見つかりにくい気がする。
まさか<銚子>まで行くとは考えにくいこともある。
自ら仕事で<銚子>に行った際、そう感じた。
『逃亡するのに良い場所だな』と。

金谷から北上すればどうなるか。
もちろん千葉だ幕張だと行き着くが、
比較的近い木更津はどうか。
そして木更津で内房線を降りて
意表をついてそこで品川行きのバスに乗る。
逆転の発想で、首都圏入りするのだ。

捜査の裏をかくヴァージョン「Ex.」での
逃亡の果ての初動潜伏先候補として、
まずは<銚子>と<品川>を挙げたい。

一見、品川は危険な気はするが、
品川の異様なまでの人の多さは
「紛れ込む」のに丁度良い。
長く住んだであろう川崎に
何一つ愛着がないとも考えにくい。
<川崎>に何かしらつながりを感じられる
<品川>に迂回して戻ってきても
まったくおかしくはない、とダモシなら考える。

*****

次にX-Y-Zだ。
最も簡単なXから。

新横浜。これはもう新幹線だ。
東海道新幹線。
乗継ぎを重ねれば鹿児島まで行くことはできる。
だが、新幹線は相当ハードルが高い。
新横浜にせよ直行でない場合の乗り換え駅・新大阪、
あるいは博多などではカメラに収まる可能性は高い。
名古屋はもとより、途中の下車駅も危険度は高い。
おそらく<新横浜からの新幹線利用>は
逮捕されたくなかったら
まずは避けるだろう。
ここで、このXを消す。

Z。横浜中心部周り。
これをこの先、移動することを前提に考えれば、
<横浜駅>と断定しても良いだろう。

横浜駅からは様々な可能性が考えられる。
だが、Yに絡み重なってくる
横浜地下鉄で北上する
東横線で渋谷方面に戻る
あるいは
JR横浜線で北上して長津田へ出る
などは消去する。
そしてXで出てくる京浜急行で南下も消す。
(中華街等を包含する横浜高速鉄道も消し)。

残るのは

・JR
・相鉄

だ。

横浜駅に関わるメインの鉄道=JR。
・東海道線
・京浜東北線
・根岸線
そして
これが可能性を広げるのだが、
・横須賀線/湘南新宿ライン
・スーパービュー踊り子号
が、ある。

中途半端な距離感の京浜東北線、根岸線は消し。

スーパービュー踊り子号。
これに乗って逆方向へ行けば
<大宮>まで行くことができる。
そして<大宮>まで行けば、
東北新幹線という線が出てくる。
ロシアと関わりがあったタカハシのこと。
東北新幹線で青森まで行ってから
フェリーで北海道入りもあり得なくない。

ここで<函館>〜<札幌>間も浮上する。
おそらく<大宮>まで行ったら、
北海道まで行くだろう。
途中のエリアはすべて消し。

このスーパー踊子号は伊豆急下田まで行くが、
逃亡先として伊豆は相応しくない。
<逃げ場がない>印象が濃く、
逃亡するならダモシは行かない場所だ。
消し。

湘南・新宿ライン。
これも厄介だ。
宇都宮(栃木)だ高崎(群馬)だと
絡んでくるがいずれも中途半端なロケーション。
ここでも出てくる<大宮>を
やはり無視出来ない。

このラインから<大宮>を軸とした
<北海道>はかなりラインが濃くなる。
もちろん<大宮>から高崎の上越新幹線、
さらにそこから長野方面の長野新幹線も
視野に入ってくる。

<長野>が登場する。
そして上越新幹線の果て<新潟>も出てくる。

ここまでで、

〇品川(東京)
〇銚子市内(千葉)
〇北海道
〇長野市(長野)
〇新潟市(新潟)

が、残っている。
北海道は函館まで行けば
東も北も列車で端まで行くことは容易い。
だから最北端の稚内市、最東端の根室市も充分ありだ。
〇函館、札幌、旭川、帯広
〇稚内市
〇根室市
が北海道をセグメントさせた。
稚内市内、根室市内
いずれも逃亡には適している。
札幌近郊でも小樽はまずい。
逆に石狩市内、あるいは旭川へ向かう滝川市内
などは案外、盲点というか、
無頓着ゆえ気づかれない可能性は高い。

残るは<東海道本線>。
この軸はもう、静岡県だ。
潜伏する地を決めるまでの時間的猶予はない。
とことこ東海道線などローカルを乗継いで
静岡以西(名古屋、大阪、神戸等)まで行かないだろう。

静岡県。
当然ながら誰もが思う強力な逃亡先、潜伏先候補だ。
まずは東日本管内の東海道線で
逃亡先として適するのは、どこか。

<熱海>だ。

果てに行きたい心理が働くだろう。
JR東日本の東海道線の最後は、熱海だ。
ここもまた紛れることは可能だ。

JR東海管内。まさに静岡県内を
メインストリームとするエリア。
ここでで見ると、どうか。
沼津は目立つ。ここは見つかってしまうだろう。
由比、興津など案外知られていないが、
ここは歩いていると住民がちらちらと
見知らぬ人のことを見る。経験上、逃亡は無理だ。
草薙も厳しい。もちろん静岡駅周りや富士駅周りも。
小さい駅はむろん、ダメ。

ダモシが旅した中では、このエリアでは、<清水>を採る。
ここは夜も早い。
駅周りは人を"見にくい"
そして地元民が、一見の者に興味を示さない。
<清水>は逃亡先としては、一時的なら可能だ。
<清水>はイキ。

浜松はおろか、愛知県に入った豊橋は無理。
やめておいた方が良い。

ざっとこんなところか。

まとめたい。

いずれの地名は広義でのもの。

A. 品川(東京)
B. 銚子市内(千葉)
C. 北海道内
  主には、
  稚内、根室、旭川、帯広、札幌、函館
D. 長野市内(長野)
E. 新潟市内(新潟)
F. 熱海市内(静岡)
G. 清水市内(静岡)

と、いう
タカハシの逃亡先/潜伏先の
ダモシ署による推測である。

ただしA-D-E-F-Gは逃亡先だ。
潜伏先へ辿り着く前の。
既に潜伏しているとすれば
北海道が実に目星としては興味深いエリアであるが、
まだ逃亡中とすれば
上記のいずれもが可能性はイーブンにあると考える。

もちろんC-D-Eの三つに絡む<大宮>も
大いに考えられる逃亡先である。

さて、いかに。

タカハシは今、どこに。


posted by damoshi at 23:49| | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年06月03日

latest news


5月もまあ、低調な掲載回数だった。
史上三番目に少ない月間掲載数「5」。
ここまでくると
<フェイスブックの影響はない>とは
言えなくなってきている気がする。

リアルタイム、そしてライヴ感としては、
デイリーな部分でフェイスブックに奪われている。
それは否めない。

だが、嘘偽りは書いていないにせよ、
言葉や取り上げる素材に自制というか
アンガーマネージメントをかけている点は
もちろん、ある。
そのあたりはうまく線引きというか、
実際には線引きが明確にはなっていない。まだ。
フェイスブックといえども、
そもそもダモシ流でいえば
ショートストーリー的なものも出てくるから、
一般的に多く見られるフェイスブックへの記載
(例:「どこそこナウ」的な)は、
ほとんどない。

フェイスブックなのに、フェイスブックにしては
「長文」も結構ある。しょうがないだろう。
長文はすぐに書けてしまうのだから。

同じものをこちらに書いても、罰は当たらない。
フェイスブックを見ていない人には、
ここでのそれが初めてになるからだ。

ただ、フェイスブックに書いているライヴ感の
デイリーネタやそれの進捗過程は
過ぎた後ではこちらに書けなくなる。
そのあたりのバランスが難しい。
こちらに唐突に書くと、「あれ?」となるだろう。
受け手が。

過程も常にフェイスブックに書いているから、
送り手は一連のストーリーを分かっていても、
起承転結が1〜10あれば、
7くらいからダモログに書いても、
さっぱり受け手に届かないだろう。
そのあたりを、今後どうするのか。
思案しなければならない。

久しぶりでもあり、長く書きたい。
いわゆる近況だ。

その前に、
今宵まずは、今朝のフェイスブックに書いた
ショートストーリーを。
昨日の出来事を書いた。
ダモログだけに関連写真も掲載したい。

まずは以下、転載。

:::::

都電荒川線とJRが重なる某駅。
チャージするため精算機にPASMOを入れて
千円札を差し込むが、戻ってくる。
一回、二回。
ポケットから別の札を取り出して
差し込むが、どうしても戻ってくる。
札は折れているわけではない。

右となり至近距離、まるで寄り添うように、
あるいは急かすように女性の姿が見える。
(待っている人がいる。もう一回だけやろう)。

戻ってくる千円札。

右手を上に広げ肩をすくめながら
左手でそれを引き出し、
女性をちらっと見て
「だめだね。お先にどうぞ」と言うと、
吉高由里子似を
さらに優しくしたような顔をした
痩身で背が高い色白の
二十代前半と思しき女性が、
絶妙の音量でクスクスと笑う。

まさにクスクスという感じで。
そして耳にした方が癒されるような、
何となく繭の中に
いるかのような気分になる。
耳障りではなく、かさばらず、
適度にか弱い声色で、
こちらに寄りそうかのように
『お札が
 ぐにょぐにょなのではないですか・・・』
と言いながら、
自分の財布から千円札を別に取り出した。

『千円札、つかいますか?』

顔と声だけではなく、
ミニスカートから覗く
ベージュのニーハイソックスに包まれた
長く細い脚とわずかに見える
白い肌の太腿に
目を奪われていたせいで、
余裕がなくなっていた。

だからその申し出に耳を貸すことができず、
『どうしてかな。先にいいですよ』
と促した。

奇妙な親近感というか、
甘えたくなるような女性だったからか、
彼女が精算機に通している間、
逆にこちらが服が触れ合うくらい近寄って、
『どうして戻って来るのかな』と呟くと、
精算機に目を向けながら
クスクス笑いながら言う。

『お札がぐにょぐにょ・・・』

『折れていないけれど・・・』

顔も笑いも声もすべて。
かさばっていない彼女は
財布からきれいな張りのある
千円札を取り出し、
今度は差し出しながら申し出た。

『千円札、つかいますか?』

躊躇したのか、どぎまぎしたのか、
いずれかは分からないけれど、
やや間があって、
今度はその申し出を受けることにした。
千円札のトレードだ。

その段になって初めて気づいた。
(あぁ、たしかにぐにょぐにょだ・・・)。

だから、トレードしにくい気分になった。
割に合わないトレードだな、と。
しかも相手は女性だ。

自分が手にする千円札を見て、
バリバリ現役で本塁打40発の
メジャーリーガーと
せいぜい3発くらい打てればいい
ロートルの、トレードに思えた。
(これでは割に合わない)。

私は財布を持たない。昔から。
財布を持つほどお金を持たないし、
持っていない。
米国時代は特にドル札の紙の質からも
ポケットに
無造作に入れる方が合っている。
1ドル札があるから、
「札の感覚」が鈍いのかもしれない。
バーでカウンターに
1ドル札を二枚投げるように差し出して
酒とトレードする。そんな感覚だ。

千円札もポケットに入れている。
しかも昨日は
いっぱい歩いたから汗をかいた。
スーツのパンツの右ポケットは汗ばんでいた。

その中に無造作に入れられていた千円札。

(ぐにょぐにょだ。恥ずかしい・・・)。

ためらいがちに差し出して、交換した。

千円札を受け取った彼女は言った。

『ぐにょぐにょですよ・・・』

そして、くすくす笑った。

:::::

というものである。

かつて記載したことがあると思うが、
米時代、NYの或る場所のフェデックス事務所で
受付の黒人女性がダモシに言い放った台詞を
想い出した。

「How are you?」
「Fine」
という社交儀礼のやりとりの後、
黒人女性がダモシの顔を覗き込みながら
「Really?」と言ったのだ。

ダモシがそこでso soだよ、でもwhy?
と聞くと、
顔を見れば分かるのよ、
いつも見ているからねと言った後で
<I Like Your Face>と臆面なくその女性が言った
という件である。

要するに、こちらを気分良くさせてくれる所作、言葉。

特にそれが日本人女性であり、
〜ややもすると昨今、横柄な女性が多いな〜
と批判的だったところで、
"しっかりした"、そして"しとやかな"
"わきまえた"
"かさばらない"女性で、しかもそれが
二十代前半と思える若さというところで、
率直にいえば<感激>したわけだ。

もう昨日はその一件があった夕方以降、
上機嫌であったわけである。

捨てたもんじゃないな、と。

やたら自己主張が激しく、他者への敬意もない
といった具合に
いわゆる<キィーッ系>が目立つ昨今。

久しぶりに、正調大和撫子を見た、と。
まったくもってそう言っても過言ではないわけである。

060212a.jpg

昔懐かしい、都電。いまも走っている。

上機嫌ダモシは昨晩、
オフィシャル事案からの帰宅途中下車して
Book-Offへ立ち寄って本を買った。
しめて315円。

060212c.jpg


*****


さて、正調大和撫子の次は、ザ・マミーである。
あるいはキラー・ワイフ。
こちらは<昭和>もしくは<ニューヨーク流>。

遂にワイフが、
アントニオ共々、空手の大会に参戦する。
6.24。あと一ヶ月を切った。
もちろん組手ではなく、型だが、
組手に同じくトーナメントでタフな闘いとなる
(やってみれば分かるが、型も相当体力的に厳しい)。
相手は、高校生をメインとする一般。
通常35歳以上あるいは40歳以上となれば
シニア階級があるが、
その大会はない。

<高校・一般>となる。
だから現役バリバリの高校生とそれ以上の若者。
ワイフが最年長かもしれない。

だが、出る以上、勝ちにいく。
それが経済小国&軍事大国のダモシ国の
イデオロギーである。

<やる前に 負けること考える バカいるかよ>
というエキセントリックな思想をもつ
ダモシ国の本質は、
至るところで各国民が発揮しているが、
いよいよザ・マミー参戦、と相成ったわけである。

その旨をワイフの両親に電話で告げた時のこと。
両親は電話の向こうで絶句し、
しばし沈黙が続いたという。
正直、リアルに理解していないかもしれない。
ワイフの姉もキョトンとしているという。

おそらく、リアルに理解していないだろう。

まあ、ある意味で、
これまでもそれぞれがエキセントリックな所作が
多くあるため、絶句は度々されているわけで
〜そもそも「渡米」することを告げたときは、
 おそらくワイフの実家とその世界においては
 超絶的な絶句だったであろう〜、
今さらの感はあるが、
いくつになるまでキョトンとさせるのか
という部分はあるだろう。

一般的に考えれば、<負け戦(まけいくさ)>である。
だが、昔も何かで書いたが、
<負け戦にあえて飛び込んでいく気骨>。
これが人間にとっては必要なのである、と。

そして、戦(いくさ)における勝敗の
パーセンテージは、すべて、常に、フィフティ・フィフティ
という米で学んだ訓示が根底に横たわる。

今週、道場に夜かけつけたダモシ。
大会へ向けた型の稽古に余念がないワイフ。
その型を見た瞬間、
<あ、これは勝ち負けになるぞ>と直感した。

アンダードッグ側にあるのは当たり前。
決して、<フェイヴァリット:本命>側でもないし
対抗(大いに優勝もあり得る)
単穴(優勝もあり得る:その可能性が高い)
連下、連穴(ベスト4やベスト8くらいは来るかも)
にすら入らない無印だろう。

だが、ダモシ国の流儀的にも、
ワイフの性格的にも、
何が何でも<勝ち負けするレベル>(優勝を争えるレベル)
にまで、ぎりぎりまで仕上げるだろう。
それを感じたのである。

当たり前だ。

ダモシと共にいる女性である。
しょっぱいことはしない。しょっぱい闘いはしない。

その大会、アントニオは逆に
本命◎あるいは対抗〇、悪くとも単穴▲
という印がつくだろう。
むしろ「へたに負けられないぞ」という世界だ。

そういう意味では、どうなるか。大いに楽しみである。
かくいうダモシは周知の通り傍観者ではない。
れっきとした指導者でありセコンドである。
共に闘っているのである。

いつも大会に臨むモチベーションへ、
アントニオの大会ポスターをオリジナルで作成し
当欄にもそれは右側に掲載しているが、
今回はワイフ単独のも作った。
こういうものでまた楽しみを増やし、
刺激を付与し、観ている人へのインタレスト喚起も促し、
それが<魅せる要素>につながり、
なにをやるにも、
今年の年賀状でしたためた標語である、

<何をするにも、自分がすることを愛せ>

ということにつながってゆくのである。

己が真摯に取り組むことを愛さないで、
何を愛するのよ、と。

大会のテーマを、
<The Battle Of The Ages>とした。
いわば世代の闘い、世代間の闘いに臨む、と。

これは、ジョージ・フォアマンが不惑で再起し、
現役バリバリのヘビー級王者
イベンダー・ホリフィールドに挑んだ試合の
キャッチである。

シンプルに捉えれば、
ワイフのチャレンジも何かしら
<魅せる要素>として
同世代に勇気や楽しさを与えられたら、それは良い。
既に、同じ道場で稽古する70歳代中盤の女性も
ワイフの参戦に刺激を受けて
<次は私も一緒に出たい>と申し出られた。
早速、効果が出ているわけだ。

可能な限り、そういう意味でも、この話題は
フォローしていきたい。
できれば当欄読者の方も是非フェイスブックに
登録して、フェイスブックも見て頂きたい。
フェイスブックのダモシページが分からなければ
メールを送って頂ければご案内したい。
メールは、以下へ。
materialtaro@yahoo.co.jp
そして、「友だち」になりましょう。

ポスターは、これだ。おおいに笑って頂きたい。

060212b.jpg

一昨日、ワイフはバースデイだった。
一緒に過ごす21回目のそれだったが、
そこはアントニオが加わっての9回目のこと。
夜、二子玉川でアメリカンなごはんでささやかにお祝い。
(アントニオはこの日、紙媒体のモデルの最終オーディション。
 終了後、オフィシャル事案から戻るダモシと
 二子玉川で待ち合わせした)。

060212g.jpg


*****

型は、アントニオがコーチしている。
館長はワイフに言った。

<アントニオと同じように出来れば優勝だ>。

アントニオの型は最上級だから、
もちろん、それが難しいのだが、
次第に彼女のそれにスピードとキレが出てきた。
「年の功」「昭和の意地」「NY流のプライド」
などなどを、気合良くぶつけて、
己が内面の投影を存分に見せつけてほしい。

アントニオは、その6.24の前に
今週6.10にまた大会である。
6.10はフルコンと伝統系防具付の二部門参戦。

最近は、毎日の筋力トレーニングと
体幹トレーニングも施し、
肉体バランスの調整や筋力アップ的なフェーズUPも
取り組んでいる。まだまだ実験段階だが、
闘い方における技、動きも各種マイナーチェンジ中。
そこで大会に出ることで、勝敗は別としたところに
おいても、長期的なつながりを図る、と。
だがむろん、勝ち負けするレベルで常に出るのは
変わりはない。

その上で、体調というものも重要になる。
4.29の優勝の後、2大会不調に終わったが、
明らかに体調不良があった。
風邪と、それによる喘息、鼻のアレルギー。
肉体不良となれば、さすがに闘いにおけるキレや
集中力は落ちる。

"近所の"いわゆる、町のドクターをどうこう
ということはないが、
効果が出ないとやはり信用出来なくなる。
そこで、NY時代からの友人に紹介してもらい、
(ボクシングライセンスのためのMRI検査を
 先般、宮内庁病院を紹介してもらい
 受診してきたが、それにつづき)、
秋葉原にある大きな病院を紹介してもらい、
今朝、受診してきた。

医療機関及び医療は、ニッポンにおいては
格差が激しいように思える。
最先端医療を行うそういった病院へ行ってみると
「へぇ」が満載である。まさに米的。

人間のライフにおける根幹をなす「肉体」に関する
メインである医療は、最先端が望ましい。
たっぷりと一時間近く診察をしてくれた。
あらためて血液検査をして、
アレルギーの原因を突き止め、治療方針を決める、と。

鼻がつまる、鼻水が出る。それにより呼吸が苦しくなる。
咳が止まらなくなる。
これらは闘いにおける致命的な部分であり、
それを抱えて闘ってきている中でさえも
好成績を残しているアントニオは尊敬するが、
<万全>で取り組ませてあげたいという願いは
ずっと最初からのことである。

<万全>で闘いに臨めるようにしてあげたいのである。
そのために出来る最善を尽くしたい。

060212d.jpg

(宮内庁病院に行った際の写真)。

そしてそのNY時代からの友人
〜細君同士はちょくちょく逢っているようだ〜の
厚情により、めったに経験出来ない宮内庁病院での受診。
それにより、二年前からの計画であった
ボクシングのライセンスをアントニオは得た。
そして同じく二年前からの狙いである
ボクシングの全国大会(二ヶ月後)への出場も決まった。

明日、その地区大会があるため、敵情視察に出かける。

空手選手が、ボクサーのリングでボクシングで闘う。
一月の空手大会で、
フルコンだけではなく、
グローブ・ルール
(K1のように顔面をグローブでパンチするのも有り
 =キックボクシング系)にも出場し、優勝したが、
そこでも隠密に対ボクシングの実験は既にしていたし、
密に二年前からボクシング練習もしているのである。
どこまでそれが"本家"に通用するか。
いずれにせよアントニオにとってはデビュー戦が
いきなり全国大会となる。

(密かな練習は、プロレスや総合も家でやっている。
 同学年であれば腕ひしぎ逆十字とアームロックは
 決められるくらいにはなっているし、
 受け身は6割方出来てきている)。

実に夢がある。
<異種格闘技戦>という
少年ダモシが憧れたアントニオ猪木の世界観を
直系遺伝子アントニオが体現している。
こんなにうれしいことはない。
だからこそ、出来る最善を尽くす。

いずれ対中国(カンフー)、対韓国(テコンドー)、
対ロシア(サンボ)などと異種格闘技戦というプランも
浮上してくるだろう。

空手でもフルコンからグローブ・ルール、
そして先般、初優勝した伝統系防具付など
あらゆるルールに対応出来るように過程を踏んできているのも
それらへの布石である。

まずはキッズのボクシング全国大会でも
当該体重階級で勝ちたい。
病院を紹介してくれた友人の厚意にも報いなければならない。

060212f.jpg

*****

その他もろもろ、である。書き切れない。

最後にダモシ近影。
アントニオの運動会における、
例の綱引きで、当然ながら勝った際の画像。

<子供の運動会の綱引き>だって、絶対に負けたくないのである。
勝って気分は最高である。

060212e.jpg


posted by damoshi at 00:17| R-246 ダイアリー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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