2012年08月01日

判定と組み合わせ順の陥穽


先の週末から巷では
当然のごとくロンドン五輪の話題が多くなっている。

ここまでの数日で気になることが二つ、ある。
むろんリアルタイムでフェイスブックに掲載しているが、
その二点とは以下だ。

◆判定問題(誤審からの再判定/ジュリー出現)
◆トーナメントの組み合わせ(めぐりあわせ/クジ運)

まず、前者。
リアルタイムでテレビで目撃しただけでも多い。
とりわけ柔道、そして体操。
いずれも日本絡みだ。
これが日本国内での放送で日本選手を映している
一部の中でさえ多いのだから、
全体で見ればもっと起こっているのではないか
とさえ思えてくるほど、アグリーだ。

技有りや有効の判定取消が度重なった上に、
とりわけ目に余る事象が、
柔道男子66kg級準々決勝の
海老沼選手と韓国のチョ選手の試合で起こった。

そもそも最初の旗判定で
主審・副審全員がチョ選手に挙げて
3-0でチョ選手の勝利になった自体、
What !?と言わざるを得ない判定だったが、
それに対して日本側が猛抗議。
ジュリーが登場し、協議。

そして驚愕のシーンが訪れた。
何とまあこの審判団、旗判定のやり直しをした。
びっくり、である。
そして何と今度は逆に3-0で
全員が海老沼選手に旗を挙げた。
口あんぐりである。
何をしとるのか、と。
チョ選手の肩を持つわけではないが、
これはいくらなんでもアグリーであろう。

この主審・副審合計三人の
存在証明とレスポンシビリティとは一体、何なのか、と。
どういう意識で判定を下しているのか、と。

厳しいようだが、一生に一度あるかないかの大舞台。
選手はまさにSINK or SWIMの状況で
闘いに臨んでいるのだ。
審判も、それなりの<覚悟>をもって
その任務にあたらなくてはならない。

極論すれば民間航空機のパイロットと同じである。
乗員乗客の命を預かり、覚悟を持って
操縦席に座っているはずだ。
そのくらいの覚悟を持たなければ
厳しいようだが、審判をやる資格はない。
簡単に覆す判定を下すのは、けしからん!
とダモシは率直に思うわけである。

且つそれが生む弊害が、ある。

このジュリーの存在強化と
判定の取消は、度々、試合を止める。
流れを阻害するのである。

それは、
歓喜と失意という
スポーツにおける闘う者が表現する
特有の美:<モーメント>を
度々阻害しているということである。

瞬間の美。瞬間の歓喜、失意。
ひとたび歓喜したのに、
それが取り消される。
これはどういうことだろうか?
気持ちの持って行き場がなくなるだろう。
選手は。

もちろん誤審や恣意的な判定を
正常化させる意味でのジュリーの存在は否定しない。

アントニオ選手の空手でも
度々、不可解且つUnacceptableな判定で
決勝で負けにされたケースが複数回ある。
明らかに誤審だろうというケースで
後にそれを認めたということも実際にある。
そして、どう考えても"恣意的"な判定も度々。

スポーツマンシップやらアマチュア精神などで
昔は審判に抗議することは認められなかった。
今も高校野球はもとより
子供の空手も同様だ。

だが、審判の質の低下は全体的に否めない。

だからこそそれを正すジュリーの存在や
ビデオ判定は必要性を増している。

だが、
正常化を図るためのジュリーは良いとしても、

・スポーツの機微である歓喜や失意の
 モーメントを阻害し、やり直させることで、
 "どっちらけ"をもたらしている現実

・では、そもそも主審と副審の
 存在とはなんぞや?という大いなる疑問

を、
ジュリーの存在(あるいは)
審判の質の低下が、
皮肉にも生んでいると言わざるを得ない。

はっきり言って、「しらける」わけだ。
スポーツの絶対的な魅力の一つである
<モーメント>を取り消して
なかったことにしてやり直させるという所作は、
Sink of Swimの闘いをしている
選手たちには酷である。

男子体操団体も同様だ。
これも日本絡み。
日本側の猛抗議によって判定は覆され
辛うじて、「結果銀メダル」に輝いたが、
内村選手を筆頭に
何とも後味の悪い結末を感じただろう。
見ている側も同様だ。
覆って銀になったとて、歓喜はない。
逆にひとたび結果を受けて歓喜にいたった
イギリスとウクライナを応援していた人々と
選手、関係者の心中を察すると
たいへん残念な事象と感じるわけである。

<判定>競技は大変難しいのは分かっている。
アントニオのそれで身に染みている。
だが、或る一定レベル以上になれば、
勝ったか負けたかは分かるものだ。
贔屓目抜きで、負けてるかな、と感じた場合は
負けと判定されても納得がいく。

不思議なもので、
互いに技有りなしの
紙一重の判定勝負になった
これまでの試合で、
<負けかな・・・>と感じた場合、
100%負けの判定になっている。
だが、
<こりゃあどう見ても勝ったな>と感じた場合でも
負けにされるケースも多く、
<微妙だな>と感じた場合は、
ほとんど負けにされている。

ラッキー勝利が一度もないのだが、
相手にはそういう意味でのラッキー勝利は多い。
実際、主催者の息子だのが相手の時はそうなっている。
さらに相手選手の道場の先生が主審をやっていたり、
主催者と関係のある団体の選手が相手の場合に
往々にしてこういう判定になっている。
ある意味で、短絡的な判定というか、
分かりやすいほど恣意的な判定は、
現実にあるのだ。

それが子供の、しかもドメスティックの試合ですら
あるのだ。

国際試合や五輪になれば、よりあり得る
という前提がダモシの中にはあって、
そもそも判定競技における審判に対する信頼は
まるでないといっても良いのだが、
図らずもウクライナの監督のコメントが
すべてを表していると思う。

<陸上の100mは、100m。
 でも体操だとそれが95mや105mに
 なることがある>

皮肉とエスプリの利いたコメントといえるし、
リアルな現実を表している。


*****


後者。

トーナメントにおける組み合わせ順。
クジ運あるいは
操作された組み合わせのめぐり合わせの悪さ。

これもまた厳然と闘いには存在する。

だから結果としての優勝と一回戦負けは、
常に表裏一体なのである。
むろんそれは選手の実力が一定レベル以上
であることが大前提だが。

そしてもちろん、
強い馬はどんな馬場でも強い
という理想論的格言があるように、
強い選手はどんな組み合わせでも勝つ
とスーパー・ポジティブにモノを言うこともできる。

だが、実際に闘いという舞台で
常在戦場で
SINK or SWIMの闘いをしていると
そこまで言い切ることはできないのである。

トーナメントの場合は、
<組み合わせ>が大きく結果に影響を及ぼすのは
明らかなることである。

直近では、卓球女子シングルス。
福原選手と石川選手揃ってベスト8。

が、準々決勝のそれぞれの相手は、
福原選手が世界ランク一位の選手で
石川選手が自身より下の同十一位の選手。
福原選手は破れ、石川選手は勝ってベスト4。

結果だけ見れば石川選手の方が上になる。
仮に石川選手が準決勝も勝てば
銀メダル以上になる。
破れても三位決定戦に勝てば銅メダルだ。
石川選手が上となる。

が、事はそう単純ではない。
ベスト8で闘いを終えた福原選手がダメなのか
ということにはならないのである。

女子柔道52kg級の
金メダル候補だった中村美里選手も同様。
あまりにも組み合わせ順が
悪かったとしか言いようがない。
もちろん勝てば良いのだが、
前述の通り、それは酷だ。

よりによって中村選手にとっての一回戦
(=初戦:実際には二回戦)で
金メダル候補のアン選手(北朝鮮)と
当たってしまったわけである。
アンは既に一回試合をして充分暖まっている。
アンが勝利。
結果的には中村選手は初戦敗退となった。

が、これを指して中村選手がダメなのだ
とはならない。

これもまたアントニオ選手で身に染みている。

アントニオ選手は直近の空手の大会で、
よりによって一回戦でチャンピオンと
当たった。当欄に掲載した<ザ・ショット>の
試合である。

残り二秒での
大技ナイアガラで大逆転勝ちしたのだが、
その一番にある意味で
すべての集中力を使った。
で、二回戦の対戦相手は
一回戦で普通に楽な相手に勝って消耗していない。
しかもアントニオ選手はインターヴァルなし
で二回戦を迎えざるを得なかった。
で、延長の末に結局判定で破れたわけだが、
普通にやれば負けないと素直に感じるわけだ。
且つその選手は最後まで勝ち上がった。
要するに、こういうものである、と。
これがクジ運、組み合わせ順の陥穽なのである、と。

優勝という最高の結果は、
これらも含めてすべての要素が完璧に
絡み合わなければ成り立たないということである。
特にこれに判定という微妙な世界観も介在してくる
競技の場合、その部分も鍵になってくる。

だからこそ、今年既に四度優勝を得ている
アントニオ選手はラックも多くあるということであり、
同時にまたこのような敗北や、
初戦負けというバッドラックも多くあるということである。

こういうふうにトーナメントの難しさは
厳然とあるのだ。
それを理解しなければならない。
金メダルを獲得した者だけをチヤホヤしていては、
物事の本質は何も見えてこない。

アントニオ選手の<ザ・ショット>の試合の後の
二回戦での敗北は、では、これが「二回戦負け」
と短絡的に言えるのかどうか、
ということであり、
中村選手のそれも「初戦負け」と単純に
消し去って済むのかということである。

ダモシは、アントニオ選手にこの時、
優勝と同等の価値を認めた。

中村選手も今回の五輪においては、
メダルに届かず
形としては初戦負けであるが、
決勝戦といっても良い組み合わせだったわけだから
悔しいのは大いにに分かるけれど
ちゃんと理解している人もいるのだから、
これを糧に次回に臨んで欲しいです。

仮にアン選手に勝ったとしても
アントニオ選手のように
次の試合で負けた可能性とて、あるわけなのだし。

必ず毎回組み合わせ順の悪い
アントニオ選手でリアルに身に染みているので、
特に中村選手には感情移入してしまったのである。

そのアントニオ選手の
よりによって天敵ともいえる
チャンピオンとの一回戦での激突を制した後の
二回戦での敗北。

これと同じ構図が、
ロンドン五輪フェンシング男子の太田選手と
いえようか。

これもまた、
よりによって初戦(二回戦)で
北京五輪の金メダリストとの対決となった太田選手。
しかしこれを打ち破った。

アントニオ選手と同じ構図だ。

が、次の試合で敗れてしまった。

まさにアントニオ選手と同じ構図である。

で、この選手が金メダルに輝くかもしれない。

ふたたび「要するに」ではあるが、
要するに、こういうことである。

これが闘いの機微である、と。

いわば、究極は
<(結果として)勝った者が強いのだ>
ということなのだろう。

そして言うべきこととしては、
やはり勝負は時の運も大きいということであり、

<時に勝ち、時に負け、時に雨が降る>
に行き着くのである。


*****

さあ、アントニオ選手の
ボクシング全国大会が刻一刻と迫っている。
今週末だ。

相手は皆、専門。
アントニオ選手は空手からの
異種格闘技参戦にして
初のボクシング試合。

どうなるか。
相手は学年上の公算が高い。
ボクシングだから体重階級別の闘いだから、
学年上との対決を覚悟しなければならない。
となれば、リーチでは圧倒的に不利だ。

戦法は、ひとつ。

マイク・タイソン型でいく。

正直、彼の格闘センスは高い。
そのセンスと、負けん気の強さに期待だ。

先週末、
マウスピースとボクシングシューズを買った。
そして今日、トランクスが届いた。
来年はムエタイにも臨み、
今後はレスリングや柔術も視野に入り、
本人は「プロレスもやりたい」と言い出している。

女子柔道の松本選手同様、
闘いになると目が変わるアントニオ選手。
ふだんのベビーフェイスは消える。

勝っても負けても元気よくガンガン闘って欲しい。

明日は通常の空手道場での空手稽古。
明後日の稽古は休み
別途施設を借りてボクシングの最終調整で、
ウィークエンドの闘いに臨む。

それが終われば来週は、
富士山に続く登山修行第二弾。
画像の山へ往く。

常在戦場、である。

闘いは、良い。
緊張感は、リアルにしびれる。

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posted by damoshi at 00:16| スポーツ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年07月04日

1972→1976→2012


今夜は二編。もう一編の主題はプロレス。
久しぶりの長編で、
久しぶりのダモログ王道路線の<考察>モノ。

:::::

1972。
これはアントニオ猪木率いる新日本プロレスと
ジャイアント馬場率いる全日本プロレスが
旗揚げした年。

2012。
今年だ。共に創立40周年のメモリアルイヤー。

間の1976。
これはダモシが初めて生でプロレス観戦した年。
父親と最初で最後の一緒に行ったプロレス。
ところは、札幌中島スポーツセンター。
レアだ。
団体も超レア。国際プロレス。
ラッシャー木村の金網デスマッチ。

もう一回、2012。
今年の7.1。
ダモシが初めて己が直系遺伝子アントニオと
一緒にプロレス観戦へ出かけた年月日。
新日本&全日本の創立40周年記念イベント。
ところは、両国国技館。

DSC10414.jpg

(パンフレット)

:::::

直系遺伝子="息子"と共に行く。

野球。
これはメジャーリーグが先。
ニューヨーク・ヤンキースのゲームを
旧ヤンキー・スタジアムで観た。
アントニオ三歳のバースデイ。
2006年、秋。

厳密には、それより先の
アントニオが一歳になる前の夏。
スタッテン・アイランドで執り行われた
マイナーリーグでのダモシ始球式の日が
アントニオにとっての<野球観戦>デビュー。
2004年のことである。

プロ野球は、何とまあ
ダモシのプロレス初観戦同様に
レアな札幌ドームでのゲーム。
その翌年には西武球場での西武vs.巨人戦。
ダモシが学生時代にバイトした
西武球場へ共に行くことができた。

大相撲は09年初場所。両国国技館。
横綱・朝青龍の晩年。

空手も極真館を手始めに、
緑代表率いる新極真会の東京体育館での
全世界大会の観戦も済んでいる。

競馬はやはり米国時代が先。
ニュージャージーの競馬場で。
ハーネスレースも共に観ている。
札幌競馬場、東京競馬場へも既に行っていて、
東京競馬場では幼児年長時に初馬券的中も
果たしている。

その他、もろもろ。

とりわけ野球、そしてプロレス。
この二つは特に、
ダモシにとっては己が直系遺伝子と共に
観戦に出かけることの至福は
尋常ではない。

野球は、それこそ
あの旧ヤンキー・スタジアムで経験出来た以上の
感慨は今後ないだろう。
何が何でも旧のうちに
NY在住のうちに
彼自身が記憶に残る年齢として、
ヤンキー・スタジアムに連れていきたかった。
だから、平易にいえばもう"最高"だったのである。

東京ドームの巨人戦にその感慨は皆無だ。

そしてプロレス。
遂に連れていく機会を見出したのだ。

なにしろ新日本と全日本の40周年記念合同大会だ。
出場する選手は現代のレスラーがほとんどで、
ダモシ自身も遠ざかって久しいが、
それでもテーマが「40周年」ということで、
それに対するノスタルジックな世界観が想起され、
行くならまずは今回だ、と。

そして、行ったのだ。この日曜日に。

以下、本編である。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


7.1.2012:::::

7.1 両国国技館。
新日本プロレスと全日本プロレスの創立40周年記念
合同イベントの観戦に出かけてきた。

個人的には、自身の直系遺伝子と初めてのプロレス観戦。
己が"息子"とプロレス観戦へ
一緒に出かける日が来たことへの嬉しさは
ハンパではない。

DSC1406.jpg


Summer, 1976:::::

時は1976(昭和51)年。
所は札幌中島スポーツセンター。
自身が初めて生でプロレス観戦したときだ。
ウルトラの父にねだって連れていってもらった。

当時第三の団体だった国際プロレス。
ラッシャー木村の金網デスマッチを観た。
その日、上田馬之助も登場した。
中島スポーツセンターから
ウルトラの母方の祖父母宅で待機していた
ウルトラの母と合流し、遅い時間に帰宅した。

父親とプロレスを一緒に観に行ったのは、
この一度きり。
父親自身はプロレスに興味はなかったからだろう。


4.4.1998:::::

以降は、一人で、あるいは時代時代の友人と、
アントニオ猪木引退試合(98年4月/東京ドーム)
まで適宜、観戦に出かけていた。

新日本、全日本問わず。UWFも観た。

98年4月の猪木引退をもって、
自身もプロレスからやや離れた。
世はそれと同時に総合格闘技ブーム。
プロレスラーがことごとく総合格闘家に破れた。

猪木引退時の、あの
<迷わず往けよ、往けば分かるさ>が
不安を感じていたダモシに
渡米への勇気を奮い立たせた。

あの4.4で、ダモシ世代の多くの
猪木ファン&プロレスファン(新日ファン)は
卒業した。ダモシもその一人。

次世代の長州力、藤波辰巳、ジャンボ鶴田、天龍源一郎。
さらにその後の
闘魂三銃士(武藤敬司、橋本真也、蝶野正洋)、
三沢光晴、川田利明、獣神サンダーライガー、
高田延彦などで世代的にはギリギリだろう。
既にベテランである
現・三冠王者の秋山準の試合を観た
という記憶はない。

1.4.2006:::::

ダモシはニューヨーク在住。

新日本の1月4日の東京ドーム興行は、
ダモシがヤングボーイ時代からのルーティン。
恒例のイベントとして毎年出かけていた。
それも98年まで。

2006年正月。
ダモシは余儀ない東京出征で、
その前年末から東京に来ていた。

取材名目のもと、
タダで観戦に出かけた。
だが、当時の新日本はガタガタ。
観客も、昭和の時代の日本ハムvs.南海戦の後楽園球場
がごとく、ガラガラを超えて、千人くらいしかいない
最悪の状態だった。

『厳しいな、こりゃ・・・』と
新日本並びにプロレスの衰退を嘆いたものだ。

メインは、中邑真輔vs.ブロック・レスナー。
この試合もしょっぱかったが、
その他の試合もどうしようもなかった。


Spring, 1994 / Summer, 1987:::::

公式にチケットを買って一般客として
純粋なプロレス観戦に出かけたのは、
4.4.1998以来、何と14年ぶり。

両国国技館でのプロレス観戦ともなれば、
記憶を絞りに絞り出して出てきた
マニアックなWARという団体の興行で、
メインで
大仁田厚&ターザン後藤vs.天龍源一郎&阿修羅・原
というレアな試合が行われた
(ちなみにこの試合は素晴しかった)
1994年3月以来、実に18年ぶりのことになる
(国技館来場は朝青龍時代の大相撲観戦=
 2009年1月以来、3年半ぶり)。

そして、7.1の大会名。
<サマーナイト・フィーヴァー in両国>。
これは紛れもなく、
新日本プロレスがまだ全盛期で隆盛を誇っていた頃、
二日間連続で両国国技館で行われた
<サマーナイト・フィーヴァーin国技館>を
想い出させるのは容易だった。
それが、8.19&20.1987。
あの時、二日間連続で国技館へ出かけた。
そして、熱狂した。
<サマーナイト・フィーヴァー>括りでの
+<両国国技館>で考えた場合は
その1987年以来だから、25年ぶりになる。

ある意味で、何だかなぁ・・・である。
要するにダモシ自身、
言いようのないくらい齢を重ねたのである。

まとめてみる。

◆14年ぶりのまっとうなプロレス観戦
◆18年ぶりの国技館でのプロレス観戦
◆25年ぶりのサマーナイト・フィーヴァー
◆自身が子として父親と共に生観戦してから、
36年の月日を経て
今度は自身が父親として己が子を伴っての
プロレス観戦

ものものしい年数の「〜年ぶり」が並ぶ。
新日本と全日本はそして、それぞれ
創立から40年。

今や重鎮の武藤敬司(全日本プロレス会長)は
25年前のサマーナイト・フィーヴァーでは
若手で頭角を現した頃で、
メインで猪木軍に抜擢されたスター候補生。

14年前の猪木引退試合時に出ていたレスラーで
7.1にも出ていたのは獣神サンダーライガーや
永田裕志など数えるほど。

バリバリにUWF戦士でパンクラスや総合で鳴らした
総合系の船木誠勝が今や全日本の一員として
プロレスラーとして出てきていた。

その他、メイン含めてすべて現在旬なレスラーが
大勢を占めた。当然のことであろうが。


そして本題の、7.1。


7.1.2012:::::

DSC10403.jpg

<猪木、来ますかね>

隣に座る二人組が
〜明らかに同世代だということを〜
確認した上で、問いかけの声をかけた。

<いやぁ、どうっすかねぇ。
 僕らも来ないかなぁって思ってるんすけど>

<僕は猪木世代なんでね。
 そもそも猪木が好きだったので>

と語る二人組。

<僕もそうなんですけどね>とダモシ。

言わんとすることは、
互いにそれだけで良い。

左隣の二人組も
40代あるいは50代と思しきカップル
(おそらく夫婦)。

猪木世代なのは、間違いない。
猪木全盛期あるいは
長州の維新革命、
ぎりぎり闘魂三銃士まで、だろう。

"そこらへん"は、ダモシと同じだ。

周りを見れば、
仮面ライダー映画の上映館内のように
親子連れの姿も目立つ。

小さい子と両親が多い。

バトル・オブ・ジェネレーション。

仮面ライダーも競馬も、プロレスも。
もちろん野球も。
それらにあって、サッカーにないもの。

これまでの
(もしかしたら今もまだ)サッカーが
保持し得ていない特権。

それはこのジェネレーションである。

世代ごと紡がれてきたヒストリーである。

音楽にも映画にもアイドルにも、
そして鉄道にも、それはある。

連綿と脈打たれてきたヒストリーの構築。連鎖。
親から子へ。

いわゆる、あの日、あの時。
いまここに或る「現在」。
一方で同じくいまここに厳然と在る「過去」。
ノスタルジー。松明は次の世代に受け継がれつつも、
ヒストリーはしっかりと息づいている。

文化としての「昭和」へのノスタルジーが
多くの人々の心にあって、
それを提示された時の心の動きが高いことは
映画「Always三丁目の夕日」シリーズの
ヒットでも証明済みだ。

サッカーの場合、ひとつには、
釜本や奥寺でそれは難しかったが、
キング・カズが唯一、可能性がある。
あるいはドーハの悲劇。

Jリーグ発足時に若かった世代
すなわちダモシ世代だ。
この世代とキング・カズの年齢も一致する。

そう遠くない将来、
サッカーにもようやくカズを媒介として
他の文化やスポーツが持ち得る
ヒストリーに裏づけされたノスタルジーの享受が
新たな楽しみとして付加され、
ひいてはそれがそのジャンル自体の奥深さへと
つながっていくだろう。
まだ、サッカーにはそれがない。

あの時の猪木、長州、タイガーマスク、
あの時のオグリキャップ、あの時の松田聖子、
あの時の本郷猛・・・。
これと同等に
あの時のキング・カズ、
あの深夜のドーハの悲劇となる日が
やがて来るだろう。
サッカーにはもう少し時代が必要だが。


だが、いくら何でも
プロレスはノスタルジーや過去に頼り過ぎた。
観る側のマインドも切り替えが出来ていなかった。

未だに
<猪木、来ますかねぇ>と
それに期待している自分。
己が直系遺伝子に
棚橋弘至よりも猪木を見せたいと願う父親。

それはイコール、今のプロレスには
興味がないことを表している。
ならば、なぜお金をスペンドするのか、と。

だが、
結果、ノスタルジーに頼っていたのは
己自身であり、
そうであってはいけないのだなという区切りを
淡々とした中で示されて、
叩きのめされたダモシがいた。

<ん?>と。

<あれ?>と。

総力を挙げて『今』の集大成を見せるのが、
この7.1に賭けた
新日本&全日本双方の戦略だったのだ。

第一試合から、
何の脚色(合間の余計な演出)なしに
試合だけが淡々と進んでいく。

しかもその第一試合から観客のノリも良い上に、
レスラー全員が素晴しい組立てで
スイングした試合を提供する。
第一試合から沸き上がったのである。

愕然とした。

明らかに、昭和のプロレスよりも
今のプロレスの方のレスラーに
エッジがある。

正直なところ、昭和のプロレス興行は、
アントニオ猪木、ジャイアント馬場以下の
スーパースターとスターの試合がある
メインイベント以外は、
極論すれば
しょっぱい試合が多かったのである。

いわゆる前座といわれた試合の中には
当然、玄人ファンを唸らせる試合はあったが、
必ず1試合か2試合は
ため息が出てしまうような
つまらない試合、しょっぱい試合があった。

だから毎回、そういう試合の際に
休憩タイムを個々が設けたり
喫煙タイムに充てていた。

要するに、昭和の音楽(レコード)アルバムになれば
必ず、しょうもない曲が1〜2曲入っていて
そこが休みどころ
(何でこんな曲入ってるのだろう的な)
だったように、

興行の中においては
前座の第一試合からメインイベントまでの
約10試合程度の構成(音楽でいうところのアルバム)で
息抜きあるいは見るに耐えない(聴くに耐えない)
ものが1〜2は必要悪として存在していたのである。

それがある意味で「間(ま)」にもなっていた。

ところが、
善し悪しは別だが、
7.1で現在のプロレスを観て
第一試合から目の離せない試合が続いたのである。

『ふぅ・・・』とため息が漏れる試合や、
よしここで喫煙タイムだと
席を離れることができそうな試合は
ひとつもなかった。

これは驚くべきことだ。

akebono.jpg

(曙が登場したアジアタッグ選手権も、
 間断なく盛り上がった。"しょっぱい"代表格ともいえた
 曙でさえ、自身の味の出しどころを覚えた上に、
 周りもまたそれを思う存分に生かしている。
 曙のスーパーヘビー級は分かりやすぎるほどの説得力が
 技に込められている)

もちろん40周年記念大会ゆえに
現在のメンバーで考え得る好カード
(ノスタルジー派のダモシには、
 そそられるカードは事前にはひとつも
 なかったのだが)をラインナップしたといえるが、
それでもメインイベンターではない
レスラーの試合も含めて、
いずれも間のとり方も上手く
見せ方も心得ていたために、
目を引きつけたのである。

そして、この日、唯一といっても良い
ノスタルジーの登場。

40周年ということで
過去のレスラーや関係者が登場して
セレモニーがあることを想定していたのを、
淡々と「現在のプロレス」の試合だけが
進行していくだけの
〜試合内容で魅せる世界に徹していた〜
時間の中で、

全体の進行が中盤に差し掛かった頃、
突然、スタン・ハンセンのテーマ曲が館内に
鳴り響いたのである。

一斉に沸き上がる大歓声とハンセン・コール。
昭和のダモシも、周辺の観客は大喜び。

昭和の、あのハンセンならば、
このテーマ曲に乗って
カウベルを振り回しながら
勢い良くダッシュで出てきて
そのまま滑るようにリングイン。

リングインするや、右手を高く突き上げて、
人差し指と小指を天高く指し示して
大きな叫び声で

<ウィーッ!>とやる。

我々は、それを期待した。
ところが、だ。

hansen.jpg

(ハンセン、リングイン)


6.30.2012:::::

空手道場。

アントニオのスパー相手を務める。
周知の通り、
スパーといっても
ダモシは手は出さない。
いわゆる受け手である。

道場ではアントニオがエース。
アントニオより学年下がほとんどで、
昔は上ばかりだったから
アントニオ自身も稽古でのスパーでは
向かっていくことで磨かれた。
だが、下相手になると
どうしても受けがメインになる。

そうなると
アントニオ自身の鍛錬において
プラス面もある一方で
マイナス面もある。

そこで、アントニオのためにも
ダモシが起ち、自らの肉体を、
まるでサンドバックのような形で
生身の肉体をもってして「受け」るのである。
ハイキックもミドルキックも、ローも。
ナイアガラの滝のような大技も
その他の細かい技も。
実際に的確に強い打撃を当てる。
そして同学年の相手よりも大きいダモシの
上段にそれを入れられるようにすることで
プラス面の多い練習になる
ということから、だ。

063012b.jpg

<よし、来い!>と。

063012a.jpg

<300%ぶつけてこい。 
 すべて受けとめてやる!>と。

さふ。
これまでは受け切れていた。

その日の二日前から風邪をひいていた。
風邪は酷く、
風邪で病院へ行くことなど
十数年、否、何十年ぶりかという世界で
近所の内科へ行った。

そこからの回復途上にあることで
絶好調ではないという割引はあるにせよ、
この日、受け切れなかった。

脚がもつれたわけでもなければ、
流れの上で(危険回避の上で)倒れる
ことはあっても、
リアル・ダウンというのは、
いくら打撃強度が日に日に増している
とはいっても未だ小学三年生のアントニオの
それを受け切れないわけはない。

だが、受けるごとにキックの強度が増していて
肉体ダメージは蓄積されている中で
この日、ミドルキック左右の連打を
食らっている最中、突然、脚がガクッとくる感じで
ダモシはダウンした。

正真正銘の、これはダウンだ。

アントニオのオフェンスの勢い、スピード、キレ、
打撃の強度についていくことができない。

最後も、ナイアガラの滝を、予期せぬところで
出されて頭頂部にモロに食らい、ダウン。

ダモシはたいへんブルーになった。
もちろん直系遺伝子がそうして
日に日に強くなっていることを
肉体で実感出来る喜びがある一方で、
己自身の肉体の衰えを感じることは
やはりブルーになるわけだ。

<衰えたか・・・>と。

その日、整骨院で肉体ケアを施してもらう最中、
ドクターにも呟いたのだ。

<衰えを感じますね・・・>と。

063012.jpg

上段左から右へ。
下段の左端から右へつづく。
脚にきてダウンしているのが分かる。
右下のヨコ長画像は、
大技ナイアガラの滝をモロに食らいダウンの図。

年齢的には、抗えないもはや斜陽。
なにを強がったとしても、
ライジング・サンとは絶対に言えない。
肉体はもう斜陽なのである。
その斜陽の中、いかに凌いでいるか、
衰えの速度を遅くさせるか、騙せるか、という世界だ。

対富士山という部分は、
己が衰えの斜陽の中で
経験や根性などを付加させることで
肉体をカバーして、
<まだまだ元気だぜ>と心のヨリを戻す
ある意味で格好の挑戦になっているのだが、
空手のそれも同様なのだ。

現実的には、
いくら小学三年生といっても
悪党の大人がいたとして
アントニオが素で本気で蹴りを入れたら
失神させることはできるくらいには
なっている。
遊びや習い事としてではなく
「選手」としてやっているから当然でもある。

そんな蹴りや突きを、
ノーガードで防具なしで受けていることは、
己が肉体の強靭度をアピールすることにも
つながるわけだが、
一方で衰えをも感じさせられるという点で
二律背反がある。

二律背反。セザンヌと蛙は、富士山にも空手にも
潜んでいるわけである。

<俺もやはり歳をとっているのだな・・・>

<動きがやはり落ちてきているか・・・>

<脚も痛むし、なにより身体が重い。
 脚に来てるね>

と嘆く現実。

ライジング・サンのアントニオ。
斜陽のダモシ。
この構図が、顕著だ。

特に肉体を直接コンタクトする分、
微妙な、わずかな衰えをも
逃さずに襲いかかってくる。

ダモシ自身、歳をとり、衰えたベテラン。
あるいは、過去の動きは望めない
昭和のレスラー。

そんな感覚が取り巻いていたタイミング。


7.1.2012:::::


もう入ってきても良さそうな頃合い。
だが、ハンセンはまだ来ない。

と、人垣を縫うように、
ゆっくりと、のっそりとリングに
歩を進めるハンセンの姿が見えた。

まだ老人という年齢ではないが、
62歳だ。
猪木と激闘を繰り広げ、
後に全日本へ移籍しても暴れ回った
ハンセン自身の全盛期は80年代で、
年齢も30代とピークだった。
あれから30年、歳をとっていることになる。

だから、しょうがない。
しょうがないのだ。

しかし、<不沈艦>あるいは
<ブレーキの壊れたダンプカー>と呼ばれて
怖れられたあのハンセンのイメージが
あまりにも強烈であり、
せめて入場時のパフォーマンスくらいは
負担がないだろうから、
当時のままやってほしいという/
やってくれるだろう/
ハンセンはまだ元気でしょう/という
期待は、あった。期待を持っていた。

というよりも、静かなハンセンは想像していない。

リングにゆっくりと近づいたハンセンは、
脚が悪いのか、あるいは身体が重いのか、
動きがかなり緩慢だ。
のっけからもうかつてのイメージがない。

否。リングインしたらいきなり
大声で<ウィーッ!>を元気よくやってくれるだろう。
まだ淡い期待を持っていた。

だが、リングに上がるのもやっと
という感じで、
緩慢な動作のままエプロンに上がると
そのまま、あろうことか、
ロープの間を普通にまたいで
リングインしてしまった。

<あぁ・・・>。

失望が漏れる。
周りも『あれっ?』という雰囲気だ。

それでもまだ、
リングインした後、
勢い良く<ウィーッ!>をやるだろうと
期待を残していた。

しかし、リングインした後も、
すぐに右手を挙げることをしないハンセンは
「普通に」ゆっくりと歩き始めた。
大歓声が終わりそうになる。
キョトンとしているのだ。観客は。

<ウィーッ!>を、やらないのか?と。

と、微妙な数秒感の「間」があって、
<あっ、やるかな?>的な
身体アクションが一瞬見られた。

その直後、促されるように
ハンセンは、
〜決して勢い良く、ではなく〜
緩慢な動作で右手を"慎重に"掲げて
<ウィーッ!>をやった。

ハンセン自身のその叫び声は、
超満員の国技館の大観衆の
<ウィーッ!>によってかき消された。

かつてのハンセンのそれは、
大観衆のそれがあってもなお
声が轟いていた。

かつての勢いと威勢が
まるで感じられないハンセンを眼下に、
久しぶりに生で見た嬉しさ
(2.10.1990/東京ドームでの
 ビッグバン・ベイダーとの
 IWGPヘビー級選手権試合以来、
 22年ぶり=IWGPは第一回の猪木vs.ホーガンも
 旧蔵前国技館でナマ観戦している)もあるにせよ、

やはり
<衰え> <斜陽>というキーワードを
自身のそれにも重ね合わせて
ズシリと来てしまったわけである。

止めに入る若手を捕まえては
ロープに飛ばし、
跳ね返ってきたところに
至宝ウエスタン・ラリアートをぶっ放す。
受けた若手は皆、モロにそれを食らい失神。

このお決まりの様式美はもう見られない。



*****


貫禄の武藤敬司の
未だ色褪せないムーンサルト・プレス。

横浜文化体育館で行われた
ジャンボ鶴田vs.天龍源一郎
(10.11.1989)戦以来、
23年ぶりとなる生で観る三冠ヘビー級選手権。

そして、IWGPヘビー級選手権。

トリプル・メインイベントで締めくくられたとき、
時計の針は既に21時を回っていた。

muto.jpg

(世代ギリギリ、闘魂三銃士の武藤。
 久しぶりにムーンサルト・プレスを観た)

akiyama.jpg

("昔"なら微妙な組み合わせだろう
 秋山vs.太陽ケアの三冠戦だが、
 これも面白かったのだ・・・)

tana.jpg

(これも微妙だった棚橋vs.真壁という、
 ダモシ世代にまったく縁のない二人の
 IWGP戦だったが、不覚にも最後、真壁に
 大きな声援を贈っている自分がいた・・・)


17時からの、
脚色を排して(ハンセンの挨拶を除き)
淡々と熱い試合だけを見せてきたが、
それでも4時間。

長丁場で疲弊しかねないが、
すべての試合が沸き返り、隙のない
ある意味でパーフェクトともいえる試合内容で
全レスラー、観客を魅せた。



Summer Night, 2012:::::


昔のサマーナイト・フィーヴァーは
8月中旬の開催だった。
熱い熱い真夏だった。
国技館の二階席も熱気でむんむんしていた。
今もその感触は忘れていない。

翻って、2012年版の
サマーナイト・フィーヴァー。
超満員の観客はあの頃と同じだが、
密集度や熱気は
やはりあの頃に分がある。

しかし一方で、
現在の観客たちのプロレスへの接し方、
楽しみ方が微妙に当時と違う気がした。
その違いが何か。
これは答えが出なかった。
分からないのだ。具体的に何が?となると分からない。

分からないほど、違いがないのだ。
逆にいえば。
リング上で行われているプロレスも
やはりプロレスで、
現在/現代的に技とアクロバティックな動きは
増えているのは当たり前としても
基本的な部分では何ら進化も退化もしていない。

ひとつ、現在のそれが上回っているとすれば、
レスラー一人一人のキャラが立っていることと
観る側も好意的に
一人一人のキャラを楽しんでいることか。

それからリング上のレスラー同士の闘いを観ていると、
相手を生かす術の上手さは
現在に分がある気がした。

最も微妙で、下手打つとしょっぱい典型に
落ちぶれかねない新星・岡田カズチカのことを
観客総出で後押しし、
"メッキが剥がれないように"="メッキじゃないよ"
="本当に凄いんだよ"
をフォローしている。

okada.jpg

(ダモシの中でこの日のベストバウトは、
 中邑&岡田vs.諏訪魔&近藤のタッグマッチ)

この夜、レスラーの凄みとして
ダモシの目に最も強いインパクトを残した
諏訪魔(全日本プロレス)の厳しい攻めも、
岡田の力量を理解した上でのもので、
そのバランスが実に上手く図られていたのである。

かつての昭和のプロレスであれば、
もしかしたら現状の力量では
岡田はまだしょっぱいレベルに終わっている
可能性はある。
デビューしたての"谷津"になる
危険性が香る岡田だが、
微妙なラインで現代ゆえに生かされている。

だが、ダメな奴を無理矢理生かしているのではなく、
岡田も岡田で微妙な中でも
強烈な光彩を放っているのも事実で、
そこでは単に強い弱いだけでは計れないsomething
〜つまりそれがプロレスの魅力のひとつなのだが〜
が、やはりあると気づく。

とにかく、前座の選手からして皆、
放つ光彩が強い。
プレゼンテーションも上手だ。
魅せる要素の匙加減のレベルが高い。
その部分は、確かに現代的である。

そもそも、新日本の現在のトップ選手
(棚橋、中邑、真壁、岡田、後藤)は
いずれも結構これは微妙である。
唯一、真壁はダモシの中で評価が高いけれど、
全日本系の選手である
秋山準(三冠王者:ノア)や諏訪魔、太陽ケア、
元新日本だが今は全日本の武藤などと比べると
"強靭さ"や"強さ"としては後者(全日本系)に
エッジを感じてしまうわけだが、
それは実はもともとの新日本x全日本の構図が
そのまま現代にも連動していることを
改めて認識させてもらうことになった。

猪木x馬場の頃から一貫して変わらない世界。
新日本の方が強いと思っているのだが
なぜか全日本の選手は皆デカくてパワーがある。
対抗戦になると全日本に押される新日本
という構図がもともとあったのだが、
その部分も現代にも変わらず生き続けているわけだ。
全盛期の長州が全日本へ乗り込んだ際、
天龍はおろか大熊元司にまで押されたシーンが
甦ってしまうのである。

<強いな>と率直に感じるのは、いつも全日本の選手。
今回も、それは諏訪魔だったのだ。

そして、究極の驚き。
それは、
<今日の内容なら、猪木は必要ないな>と
自身が感じてしまったことである。
出番がなかった。
猪木が来ないのは必然だった。

同時に、新日本と全日本のNOWでは
<もう猪木じゃないんだな>を実感した。
(もちろん猪木はIGFという世界観で、
 今も生きる伝説として存在している)。

ハンセン以外は、猪木はおろか、
ザ・ファンクスやミル・マスカラスですら
来なかった40周年イベント。

それは裏返せば、現在の選手たちの
リアルタイムの、そのママを魅せてくれた
試合内容からしても、
セレモニーや往年のレスラー、そして猪木など
いずれも必要がなかったのだなハナから
と、大いに認めることが出来たのである。

松明は、遅ればせながら次の世代に引継がれた。
否、もうとっくにそうなっていたのかもしれない。
だが、少なくとも2006年1月4日の時点では
もう潰れるのでは?とさえ思えるほどの
ていたらくだったのだ(新日本は)。

それがこの7.1では完全に甦っていた。
どうやら企業としての収支も
続いていた赤字は解消されて
単年黒字にここ二〜三年はなっているようだ。

やはり最近なのだろう。

今の時代にマッチしたプロレス。
これは確かに構築されていた。
それは認めたい。
闘魂よりも今はプロレスLOVEが似合うのだろう。

だが、ひとつ苦言を呈するとすれば、
やはりスーパースター不在は否めない。

今の状況を続けた上で、
猪木や馬場、否、少なくとも初代タイガーマスク
くらいでも良いから
突出したスーパースターが登場することで
いよいよ完全復活と松明伝承は果たされるだろう。

野球に王&長嶋以降不在だった
スーパースターの地位にイチローが就いたように。

例えば、やはり
女子テニスのように
いつまでもクルム伊達ではダメなのだ。

DSC10412.jpg

最後に、
直系遺伝子へ買った
新日本プロレスの創設以来のロゴTシャツで締めたい。


posted by damoshi at 01:26| スポーツ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年06月17日

ノヴェル『ガッツ』


あの大会が終わってまだ一週間か、と。
あれからの一週間も濃密で、
時の経過の感覚が鈍っている。

時間がダモシに追いつかないのは昔から。
同じくそれがアントニオのスピードに
まったくついていけていない。
アントニオが先へ先へと進むスピードは凄い。
デイリーで進化と変化。新たなニュース。
そういった部分で、気を緩めていると情報さえ
フォロー出来なくなってきている。
だから、フェイスブックなのだろう。

昨晩はホテル・ニューオータニでの某タレントの
パーティに出席。
ファイティング原田氏とアントニオは記念撮影して
頂いたり、フランス料理を頂いたりと、
そういったデイリーの進捗、そして彼自身の初体験が
毎日のようにある。フェイスブックでなければ
フォローし切れない。

整骨院も引き続き通っている。靭帯損傷以降のケア。
それに伴い整骨院のフェイスブックともリンクしたり等、
広がりも出てくるわけだ。

さて、当欄。先週日曜日から一週間経って、
ようやく「ガッツ」のあの闘いを
ノンフィクション・ノヴェル風に掲載する所存である。
全試合のビデオ映像は不可能(ブレていたり、
途中で興奮のあまり切れていたり等)で数試合分の動画
からキャプチャした画像も込みでストーリーを展開したい。


*****


ノヴェル『ガッツ』::::::::::::


『この怒りを、メインのフルコンにぶつけろ』

伝統系防具付ルールのトーナメントで
破れた後、ダモシはアントニオに言った。

大会は、午前が伝統系防具付、午後はフルコンタクト。
ダブル・エントリー選手はいない。
前者に出る道場と選手はそのルールでしか経験がない。
後者もほとんどが、しかり。

アントニオ自身は、双方経験があり、
既に前者においても幼児時代に関東大会での
準優勝経験が二度あり、
一度は明らかなる誤審で破れているだけで、
そのルールにおいてもトップクラスであることは
分かっている。

何度か上位で直接対決のある選手は、
二年間、アントニオが
そのルールでの大会に出てこないことに
安堵していたのは言うまでもない。

しかし今年の四月末、
そのルールの大手(国際団体)が主催する大会に
久しぶりに参戦し、このルールへの復帰も図った。
その関東選手権で二年ぶりの同ルールに対応し、
優勝を飾った。

そして迎えたのがこの日のダブルエントリー。
この日の大会には、かつて幼児時代と小一年時に
別の団体主催の関東大会で相見えたライヴァルが
出てきていた。

幼児時代は相手が、一年時はアントニオが勝っている。
一勝一敗のまま、その後アントニオはフルコンで
オールジャパンになるなど
フルコンが主戦場になったため、
対戦する機会はなかった。

しかしダモシもワイフもアントニオも、
いずれもその相手を忌々しい敵と見ていた。
なぜならば、いわゆる御曹司だからである。
相見えた大会は親が主催する大会で、
明らかなるホームタウン・ディシジョンが見られた
からである。

『ナメるなよ』

ダモシの怒声も飛んでいた。

一年時の関東大会準決勝の対決前、
その相手は居眠りをしていた。
そして主催者であり親である代表はあろうことか
審判を務めるという不遜なるアンフェアな所作を
見せている中で、その団体の親御さんたちが、
『〇〇ちゃんが寝てま〜す』
『ねえ、起きてねぇ』などとやっていたから
ワイフがぶち切れていたのである。

『ナメんなよ』と。

その試合前、ダモシがアントニオに激を飛ばす。

『ああいうナメた野郎は、叩き潰せ!』

その試合、アントニオは怒濤のオフェンスで
手も足も出させずに完勝。

試合後、御曹司は
お坊ちゃんで
何でもいいよいいよで
育てられている者特有の、
思うようにいかなかったことを相手のせいにする
アグリーな所作で口を尖らせて
アントニオを睨みつけていた。
アントニオはさらに次の試合があったため
相手にしていなかった。

そして昨年の東日本大震災。
当欄にも記載したが、その直後に、
その大会があってエントリーしていたのだが、
例のダモシ・ブチ切れ事件が起こり、
大もめにもめた末、出場を拒否した。

それ以来、関わりはなかった。

トーナメント表を見る。
その御曹司が出てきている。
しかも主審をその親が務める。
(またか・・・。勝ちゲームをやるのだな)。

「優勝させる」というシナリオが既に出来ている。
いわゆるブックである。

通常の一回戦以外に一試合だけ
一回戦前の一回戦といった感じで
因縁のアントニオvs.御曹司戦が組まれている。

『よく組んだな、と・・・』ダモシは感じていた。

『あいつにとっては諸刃の剣だ。
 アントニオには負ける危険性が高い。
 アントニオと当たらなければ
 引き分けに持ち込めば
 全部ホームタウン・ディシジョンで勝って
 優勝できるのに』

現実問題、御曹司は
毎度の如く同ルールの大会で優勝か準優勝している。

別ブロックにヘビー級選手C。
調べれば、御曹司が昨年、別の大会で負けている選手。
これで力関係が分かる。

異種ルールで臨んできているが
先般このルールで優勝を果たして
登場してきた侮れない実力者アントニオ。
9対1ほどの判定操作で勝ちをもらえる本命・御曹司。
ヘビー級で他の同ルール大会で優勝経験がある対抗・C。

主にこの三選手が、重い印がつけられる。

いずれに、本命◎、対抗〇、単穴▲がついても
おかしくはない。

通常の一回戦以外に、裏一回戦的に一試合だけ
なぜか組まれたアントニオvs.御曹司、
二年ぶりの対決。過去一勝一敗。

あの当時よりも当然一発の破壊力も場数も
アントニオに分がある。
一方の御曹司は威力はまったくないものの、
カウンターでちょこんと入れてポイントをとる
技術は一日の長がある。

そして、アントニオは右足首後ろの靭帯を損傷している。
絶好の身体アクションは望めない。

その背景があった中で、因縁の対決はゴング。

ゴングが鳴ると、
どうしたことか
アントニオが、異様な、
まるで黒人が乗り移ったかのような
流麗なフットワークと、
まったく怪我をしているとは思えない動きを見せる。

しかも四月の大会で
伝統系防具付専門の選手、セコンド、会場中が
驚き歓声をあげた華麗なる技を披露する。

対応し切れない御曹司。
だが、ずっとフットワークを駆使することが
できないアントニオ。

互いに動きを止めて、間合いを計り合い、
一発勝負を賭ける神経戦に入る。

さすがに同ルールで一日の長がある御曹司。
打ち合いやパワー勝負、スピード勝負、
あるいはフルコン的なせめぎ合いは不得手だ。
自分の得意な神経戦に持ち込む。

だが、神経戦も心得たアントニオは、
フェイントを仕掛ける。
それに乗らず、さすがに逆にフェイントを
仕掛けてくる御曹司。

レベルの高い、静かなる闘いが続く。
先に動くか、相手を引き寄せるか。

『待て待て、引き寄せろ。焦るなよ』
ダモシが静かに声をかける。

『来させろ』

そして、中盤、
痺れを先に切らせたのは御曹司。
御曹司らしからぬ焦りを発露させて
先に動いてしまった。

入ってきた瞬間、
アントニオがボクシング流の高速ワンツーで、
上段を決める。まずは先手の一本をとる。

セコンドのダモシが思わず
『よし入った!上手い!』と叫ぶ。

『勝ってるぞ、勝ってるぞ』
ダモシがセコンド席から諭すように声がけする。

このまま逃げてもいい。そうすれば先行逃切で勝つ。
それを言いたかったのかもしれない。
あとは勝負を避けて勝ち逃げしろ、と。

しかしオフェンシブなアントニオは攻めつづける。
それでも前回の反省点を生かし、
ダモシが
(これは相手は一本もとれないだろう)
と思える絶好の動きを見せる。

オフェンスの手を緩めず、場外へ出す。
場外へ出た場合は注意が宣告される。
御曹司に注意1が入る。

技有り1&注意1で完全リード。

残りは十数秒。
しかし御曹司は冷静に好機を待っていた。

至近距離でのパンチの打ち合いになる。
微かにアントニオがもう一本とりにいってしまった
瞬間を最後の好機として御曹司は狙っていた。
かする程度でも自分はポイントをとってもらえる
という算段もあっただろう。

だがアントニオの高速パンチが上回る。
自身はしっかりと顔面のディフェンスもしている。

ところが、まったく当たっていない
御曹司のパンチを
アントニオがしっかり腕でディフェンス
しているにも関わらず、技有りをとる審判。

『ガードしてるでしょうよ』とダモシ。

試合続行。そのままポイントでは技有り1同士で
引き分け。だが、相手には注意が一つある。
普通はそのポイント差でアントニオの勝ちになる。

だが、奇妙なことに副審の一人が御曹司を挙げた。
もう一人は引き分け。
すると主審(親)が御曹司を挙げて
2-0で御曹司の勝利が宣告された。

毎度ある、ホームタウン・ディシジョンである。

フルコンの大会でこの春、
三回戦負けと判定された試合の後、
ダモシが諭したのと同じことが起こった。

『俺たちはすべてアウェイだ。
 判定なら負けと思え。
 判定を操作出来ない勝ち方、すなわち
 全部KOをとるのだ、くらいの気持ちでやれ』

というダモシの格言がそのまま、出た。

無理に行く必要はなかったと思われたが、
アントニオのエキセントリックな性質と、
思った以上に動ける自分に
試合中、自信を深めたのだろう。
果敢にもう一本とりにいったその姿勢は
否定されるものではない。

だからか、判定後、
ダモシはめずらしく怒らなかった。
引き上げてくるアントニオに
『いいよ、勝ってるから。八百長は無視でいい』
と告げた。

実際、サッカーW杯予選などで見られる
ホームタウン・ディシジョンや
不可思議なレフェリングどころではない
レベルのミステリアスでユニークな判定は、
キッズの空手大会でもままある。

『ほれ、あんなヘナチョコパンチも技有りとってるし(笑)」

観客席でその後の試合を観ていて
明らかに御曹司優位の判定に笑うダモシ軍。

四月末の同ルールの他の大会では、
強烈な一撃が入らなければ技有りを
とらなかった。
そのあたりも作為が明らかに見られた。

決勝は御曹司とヘビー級C。
圧倒的に押すCだが、
ヘナチョコパンチ(触れただけ)も
技有りをとられてしまっては勝てるわけがなく、
ストーリー通り御曹司の優勝で幕を閉じた。

『ね。そうなっているのだよ』と館長も失笑した。

『そもそも、自分のところの選手の主審やらんでしょう』。


*****


メインは午後のフルコンである。
大会の開会式自体も、
伝統系防具付のトーナメントが終わった後に
行われることになっていた。

数時間、待つことになる。

アントニオの顔には珍しく怒りがあった。

『あの野郎、フルコンに引っ張り出してやろうか』
『フルコンならローキック一発でKOだろう』

と息巻くダモシ。

伝統系防具付きは胴に防具をつける。
そしてローキックは禁止。
つまり直接打撃でローキックやミドルキック、
さらには顔面もセーフ面といわれる
宇宙飛行士がかぶるようなヘルメットゆえ
上段蹴りをまともに受けることもない。
だから受けの部分ではとりわけ弱い。

フルコンで鍛えられている選手とはやや異なる。
ゆえに四月末の同ルール大会で、
アントニオは
防具付にも関わらず
上段蹴りで相手をKOすることができるほど
強烈な蹴りを持っているのだ。

待ち時間にダモシが声がけした。

『この怒りを、メインのフルコンにぶつけろ』


*****


前日、アントニオは稽古中に負傷した。
稽古途中で抱えられてリタイア。
病院へ直行した。

整骨院→病院の整形外科→整骨院
と回った。

結果、右足首の後靭帯損傷。
整骨院でも病院でも
ドクターストップがかかった。

だがダモシもアントニオも欠場は頭にない。
頭を切り替えた。
右脚が使えない中、どう闘うかを考えた。

同時にダモシは
『奇跡的に明日になれば動けるようになれば・・・』
『あるいは途中で立てなくなるかもしれないな・・・』
等々、様々なオプションを立てて
戦略と戦術を練っていた。

伝統系の試合前のウォームアップで
ゆっくりと右足首に負担をかけていくと共に
軽めにミット打ちをしている際に
(ある程度は動けそうだ)という感触をつかんでいた。

そして、試合に入ってから無意識のうちに、
怪我を忘れた中での
これまで以上のフットワークを見せるアントニオを見て
結果としては仕組まれた試合で破れたとはいえ、
フルコンである程度動けそうなという感触を得たことで
またそこで戦法を切り替えた。

『そういうのはもう、感覚的なもの』と言うダモシ。

『本人の顔色や目の強さを見て感じるものだし、
 本人のマインド、内面がまた投影されるから、 
 これまでも多くの闘いの場を共にくぐっているから
 感覚で分かるものですよ』

まずは<怒り>。

これがアントニオのマインドに付加された。

『伝統系防具のおかげ。アレでああいう所作で
 負けにされたことで火がついたのは確かだ』
(ダモシ)

アントニオは闘志を表に出すタイプではない。
クールなタイプだ。
だからともすれば「気合」が足りないのではないか
と見えなくもない。

顔もベイビーフェイスゆえに、強そうに見えない。
身体も毎回、最軽量/最低身長である。

だが内面の、負けん気。
母親譲りの、「勝ち気」とは種類が違う「負けん気」
を大いに秘めている。

『かなり動けると思った。
 テーピングがすごくいい』
(アントニオ)

右足の負傷を考えずに、
フルコンでローも放てるかどうか。
且つ放っても大丈夫だろうか。
(伝統系防具付きはローが禁止)。

そして、その懸念を払拭するのは、
動き方やフットワークが伝統系防具付の試合で
かつてないほど良かったという直近の実績
(かえってそれが試合前のスパーリングになった)。

さらには、
『ある程度動けそうだ。
 蹴りをやっても大丈夫かもしれない』と感じたが最後、
懸念を払拭する所作としてはもう<気持ち>以外にはない。

その<気持ち>を後押ししたのが、
まずは伝統系防具での、結果としての敗戦であった。

フルコンのトーナメント表を見る。
同じ小三年階級に
ある特定の団体の選手が大挙としてエントリーしている。

ふとアリーナを見ると、
伝統系防具付のトーナメント開催時にはいなかった
真っ黒のTシャツで統一された団体が100名規模で現れた。

『柄の悪い連中がわんさか来たと思ったら、
 対戦することになる選手たちの道場だった。
 やつらが大挙として登場してきて、
 さらに闘志が沸いた。こちとら単独乗り込みだからね』


その中にはアントニオよりも頭ひとつ分は身体の大きさが
違うヘビー級が小三で何人もいた。
どうやらこの団体は昨年の同大会
(昨年はアントニオは出場していない)で
フルコンにおいて団体賞を受賞し、
中でも小三の選手が大会MVPにも輝いていることが
開会式で分かった。

(そうか・・・。かなり強いのだな。
 しかも大きいな)

トーナメント表を見れば、
勝ち上がれば準決勝で当たることになる。
むろん、それ以前、一回戦の相手も当然、
アントニオより大きい。

アントニオは今回も、最軽量/最低身長となった。

手負い。最軽量/最低身長。
100名規模の大応援団がいる敵側から
同階級(小三)に五人も出てきている。
一回戦からそれと当たる。
しかも勝ち上がっても昨年のMVPがいる。

ディスアドバンテージの山が、
バルサン後のゴキブリのように
うじゃうじゃと姿を現していた。

試合開始が近づく。

『そろそろアップするか』

ダモシはアントニオに声がけ。

アリーナの隅で、足首のチェック。
そして激しいアップはできないため、
動きのイメージの繰り返し。

あとは、向かい合っての語りに徹した。

心なしかダモシの顔が引きつっている。
いつもと違う。

『もしデカイのと当たったら、
 徹底的に回ってロー。それに徹しろ。
 で、上段などはワンチャンスで。
 そうしないと脚がもたない』

『もしイケると感じたら、上段かナイアガラを
 一気にやっていい。でもワンチャンス。
 集中して一発で仕留めろ。
 乱発するな。それ以外は徹底的に回ってローでいい』

『デカイのとやったら、苦しいなと途中で感じたら、
 無理しなくていいから、引き分け狙いに行け。
 最悪でも引き分けに持ち込め』

などなど、ふだん言わない台詞が出た。

『今日はダディが、いきなり、
 ふつうのお父さんになっていた』と
アントニオが言った。

ダモシはもはや
己が子供の身体を心配する父親になっていた。

『正直、一回戦から相手はデカいし、
 他にもMVPがいるわ、スーパーヘビー級がいるわで
 厳しいなと感じたよ・・・。だから思わず・・・』

思わずダモシは、

『優勝したら、子猫。いいぞ』と耳打ちした。

アントニオの顔色が変わったのは明らかだった。
紛れもなくこの瞬間、
アントニオの顔色がまた変わった。

<怒り>にプラス、予期せぬ<ご褒美>が加わったのである。

ヘミングウェイの家のように、
ワイフの友人とそのネットワーク内には
100匹レベルで猫の世話をしている家がある。
猫好きやきちんと育ててくれる家庭に
子猫を送り出しているのだ。

今年の初旬から
アントニオは子猫が欲しいと言っていたが、
ダモシのOKが出なかった。
ダモシも出さなかった。

それを突然、このタイミングで出した。

『感覚で。フィールで。
 フィールでそう感じた。
 この闘いはまさにSINK or SWIM。
 毎回そうだけれど、
 いろいろな心の部分の問題が多く懸かっていた。
 今回は。負傷を軸として。関わる人も含めて。
 しかも不利だ。一回戦負けも当然覚悟する中、
 後は本当にもう気持ちしかない、と思った。
 だから、子猫を持ち出さなくても頑張ったろうけれど、
 ここで不意に出すことでの、
 本人のモチベーションというか、
 そういうものも含めてね。感覚的に出した、というか、
 自然に出ていましたね。"優勝したら子猫いいぞ"と』


*****


ミット打ち等、通常の試合前のアップはできない。
足の状態を確認しながら
基本的な、アントニオの特徴的な動きの
リコンファーム作業のみ。

『苦しいのは分かる。
 途中で痛くなっても絶対に痛がるな。
 それで負けになるから絶対に耐えろ。
 あと何秒とか言うから。
 試合の間だけ耐えろ。気持ちだけだよ、あとは。
 イケる、動ける、蹴れると感じたら、やれ。
 そして一回戦だけでも何が何でも勝て!』

出番の直前まで隣にいて、声がけするダモシ。

出番を迎えて、セコンド席につくため、共に前へ出る。

後の結果にもつながるポイントが
この一回戦終盤で出た。

互角の攻防の中で勝敗を分けたのは、
日常的に繰り返し練習していた技だった。

飛び後ろまわし蹴りだ。
突つき合いの中で、
一瞬やってきた好機に
アントニオは左上段蹴りを出す。
相手はそれをブロックする。
ブロックしたことで、相手はすかさず
右ストレートを打とうという体勢に入る。
しかしアントニオはハナから
左上段蹴りからそのまま回って
飛び後ろ回し蹴りを出すつもりでいた。

右ストレートを打ち込もうと
頭部のガードががら空きになった
相手の右側頭部に
目にも留まらぬ速さの飛び後ろ回し蹴りがヒット。
首がねじ曲がると同時に
副審の旗があがり、主審も試合を止めた。

06106.jpg

<飛び後ろ回し蹴り!技有り!>

だが、相手の頭部にまともにヒットしたことで、
且つそのヒットした部分が
負傷箇所だったことから、
アントニオは右足を押さえて
しばし停止。
手でおさえながら、
顔をしかめながら
けんけんのようにびっこを引いて開始線に戻る。

(うわぁ・・・)という顔をするダモシ。

『やってしまった、と。
 やはり無理か、と』感じたダモシは、
後ろにいる館長を振り返る。

06105.jpg

周りや大挙としてきている相手陣営は
そのキックによって足を痛めたと錯覚する。
錯覚であっても、
アントニオがそこを痛めていることが
これで分かってしまった。

(いかん・・・)

ダモシが振り返った瞬間、館長もダモシを見る。
館長も(あぁ・・・無理かな・・・)
という顔で見る。
目を見合う中、ダモシも「タオル投入か?」と考える。
二人とも、「もうダメか」「タオル投入か」と
顔に書いてある。

事前に
『タオル投入かストップは判断する』
と言っていた。

主審が歩み寄る。
一本をとったのに大丈夫か、と。
『足、だいじょうぶ?』と主審が声がけする。
このままではダメだ。

ダモシがひと際大きな声を
アントニオの背中にかける。

『しのげ!耐えろ!もう少しだよ。
 勝ってるぞ。もう少し耐えろ!踏ん張れ!』

主審の問いかけに
アントニオはファイティングポーズをとり
首をタテに振る。

大きな大きな分水嶺がいきなり
一回戦でやってきた。

試合再開。
一本とっている。
このままいけば勝ちだ。

『時間が経過するのが遅くて、
 30秒が5分に感じた』

手にするストップウォッチに時々目をやりながら
声がけするセコンドのダモシ。
イスに座っているが中腰だ。

『あと30だから!』

『あと15だよ!』

そして、ラスト10で逆惜しした。
イケると踏んだのだ。
足がもつ、と。

『ラスト10。ラストだラスト!攻めつづけろ!』

ゴング。

痛みを隠そうとするが
びっこを引きながら
アントニオはラインに立つ。

当然、アントニオの勝利だ。

引き上げてくるアントニオに、
『ゆっくり歩け』
『下りる時、気をつけて』
『急いで取って氷で応急で冷やすか』
と言う。

興奮しているワイフも駆け寄り、
『テーピングはとれない。
 このままやるしかない』と言う。

そうだな、分かったとダモシはアントニオに言う。

『このままいくしかない』


*****


モチベーション、モメンタム、
そしてそれらがあるにも関わらず
フローまで引き寄せた。

だが、それは「勢い」というものではない。

「勢い」と「モメンタム」は微妙に意味合いが異なる。

「勢い」と言うのは、手負い過ぎた。

さらにそれよりもシンプルな、<ガッツ>である。

三つ目のポイントが、<ガッツ>だ。

試合を重ねるごとに調子の上がる
いつものアントニオ。
今回はしかし、それに比例して
足のダメージ蓄積も増してくる。

それを凌駕するのはもうこのシチュエーションでは、
<ガッツ>以外にはない。<根性>といっても良い。

ここ最近の2大会、
風邪をひき、それに起因した
鼻のアレルギー(鼻づまりと鼻水)、
喘息とそれに伴う喉のイガイガも影響して
まったく本来の動きが出来なかったアントニオ。

だが、その一方で、
ある意味で気持ちの部分で「受け」に回っていた
ところもある、とダモシは感じていた。

『道場でもエースで、学年下とスパーしたり教えたり。
 私がだからあえて立ってスパー相手になるのだけれど、
 大会でも、実績や実力的に
 ある程度は負けないだろうという
 どこか構えている部分があって、
 それは私自身もそうだけれど、
 これくらい楽勝だろう、と。
 優勝争いして当たり前みたいなところがあった。
 それが良い面もあるけれど、
 それの悪い面もあって、
 チャレンジャー魂というか、向かっていく
 ガムシャラさがいささか欠けている気もした。
 やはり実績できる、例えばオールジャパンになる前、
 幼児時代や小一年時などは全員が格上で強い
 という前提の中で向かっていったわけで、
 あのガムシャラさが一番彼の持ち味だった。
 それを取り戻す必要はあった。
 闘いにおける甘さなどが出ていた、と。
 勝っているのに判定で操作されて負けにされたり、ね。
 でもそれはKOしないから悪いんだよ、と』

相手がヘビー級だろうが、どんなに格上だろうが、
勇猛果敢に自分の闘い方をして、
奇想天外な動き含めて
ガムシャラに向かっていっていた幼児時代と一年時。
そして根幹的な得意技で誰もやらない
『回ってロー』の精度が落ちたというか、
他のアクロバティックな技なども多彩になった分
〜"ここぞというときの"大技の種類が増えた分〜、
且つ力もそれなりについてきて
ヘビー級とも真っ向勝負でも力負けしなくなってきた分、
アントニオの根幹を成す
徹底的な『回ってロー』への意識が下がっていた。
スピードとキレが若干、落ちていた。

負傷したのがその右足だったことも、
示唆、あるいは矜持への序曲だったのかもしれない。

手負いになった。それにより、大技乱発せず、
『一発勝負でいけ。イケるその時に大技狙え』
という、これも伝統系防具付の闘いを
先般二年ぶりにしたことで、図らずも意識下に甦った。

それらの蓄積が重なり合って、
いざという時に該当する
今回の右足負傷の状況下において、
土壇場でそれが甦ったのである。

ローを打つ右足は、脛である。脛でローは蹴る。
負傷した右足踝後ろの靭帯に直接当たらない。
且つ中途半端にローを蹴ると
足首や足背(表)、つま先で蹴ってしまう。
その場合、音は響くかもしれないが、
あまり相手にダメージを与えない。

<回ってロー>をきちんとしっかりと脛で蹴る。

これが皮肉にも甦ったのである。

そして、怪我の分、中途半端な動きや攻めをせず、
一発一発しっかりヒットさせ、
一つ一つの身体アクションもまったくムダがない。

さらには得意技のもう一つ、左ミドルキック。
これも右足を地に着けて踏ん張ったり
捻ったりできない分、
ジャンプして蹴り、
しかもそれがしっかり脛で打撃し、
足首から先を背面へ食い込ませる
しっかりした蹴りになった分、
相手のレバー(肝臓)とキドニー(腎臓)へ
ダメージを与えた。


結果、
『過去最高の動きと一発の的確さ』
とダモシが絶賛して驚くほどの動きを見せたのだった。

それにモメンタム、フローが付加されている。

ガッツ。

それらに加えて、
試合前から何度もタイミングを見て
ダモシがアントニオに伝えていた

『ハートを熱く、頭をクールに』で、
アントニオには
戦況と技を見極めて闘う冷静さも
このシチュエーションで発揮された。

それらが重なって、単なる「勢い」や
異なる意味の「モメンタム」では括ることのできない
進撃をさらに続けることになる。

06102.jpg

高速ローの連続と
レバーへのミドルキックが相手の動きを止める。
高速ローのキレと、
点を中心に円を描く動き、
さらには早送り的アクションに相手はついてこられなくなる。

06104.jpg

この片足状態で、
なぜ絶好調時を上回るような
得意の動きが出来たのか。

06103.jpg

仮に相手たちが徹底的に右足首を
狙ってきたとしても
この日の動きには対応出来ず、
右足首に的確な蹴りを入れることは難しかっただろう。

『逆に致命傷の部分があって、
 そこをやられたらマズいと自分で分かっていた。
 だからこそ、絶好の動きをすることで
 それを封じ込めたのではないか。
 無意識のうちにそこを守るための攻め。
 攻撃こそ最大の防御なり、と示したともいえる』

とダモシが分析した。


*****


激戦を経て、準決勝。
相手はやはりあのヘビー級。
昨年の同大会の優勝者にしてMVP。
この日の参加選手の中でも最重量/最高身長。

アントニオとは頭ひとつ分丁度背丈で差がある。
ヨコや厚みの差は推してしかるべし。

06108.jpg

この体格差だ。格闘技では致命的。
他のこの日の試合の相手も皆、当然大きいが、
この相手が最も大きく、
頭ひとつ分は違っていた。

ダモシは事前にマークしていた。
観ていたのだ。この選手の闘うクセを。
自分がやるべきこととして
ヘビー級の闘い方を一回戦からずっと見ていた。

常々、アントニオに語っている常套句だ。

『闘いは、相手がイヤがることをするのが重要だ。
 そして相手の得意技を出させなくすること。
 それを出したら、コレをやられるからイヤだな。
 そう最初に思わせたら勝ちだよ』。

そして、

『必ず試合開始直後、いきなり左上段を狙ってくる』
と確信した。

準決勝直前。
アントニオに耳打ちするダモシ。

ダモシの中では、
アントニオに採らせるファーストコンタクトでの
動きと技は決めている。

だが、この日はアントニオに問うた。

『あいつは左上段をいきなり出してくるだろう。
 さあ、どうする?
 水面蹴りか
 フットワークでタイガーマスクやってから攻めるか。
 どっちを選ぶ?』

こういう問いかけも
ダモシ自身、初めてのことだった。

アントニオは冷静に答える。

『水面』

ダモシは頷く。

『OK、それでいけ。狙え』

向かい合う両者。主審がハジメの声を発する。

相手陣営が向こう側に見える。
負けるわけがないと思っている。
だが、恐怖の色も見える。

なぜならば、これまでの試合で
型にハマらない動きと技を出す
アントニオに
何人も同じ道場からの刺客が
破れ去っているのだ。
この選手は何をしてくるか分からない。
そんな恐怖が顔に滲み出ている。

いずれの選手も、試合中盤あたりから
気持ちが萎えた感じになるケースが
この日のアントニオの闘いでは重なった。

相手が一発蹴りを見舞うと
その間に
アントニオはスピードとキレとガッツで
三発入れている。
そうなるとダメージの蓄積も差が出てくる上に
アクロバティックな動きがあることで
何が何だか分からないという状況に各選手は陥っていた。

ハジメ!

試合開始。
右構えでアントニオがじりじりとだが、
素早く出る。
相手に、一直線に入ってきたと思わせる。
MVPは、
『バカめ、真正面から入ってきやがって。
 狙い通り、左上段で一発だ』と
定形内のフォームで左上段を繰り出す。

その瞬間、アントニオは視界から消えている。
真下に消えている。

そして、左上段を放ちにいっていることで
地面に一本足で立っている右足膝の
皿の下あたり際どい位置めがけて
平たくいえば「後ろまわし下段」的な
これも幼児時代から時々出す
<水面蹴り>を繰り出した。

MVPは何が何だか理解できない状態のまま、
誰もいない真正面に
まるで野球でいうところの素振り的に
ただ左上段蹴りを自分自身でやっているに
過ぎない状態になった。
目も顔も
その左上段蹴りをしている正面を見ているまま。

水面蹴りは惜しくも
MVPの右膝の内側を鋭くかすり
ヒットしなかったが、
アントニオはそのままものすごいスピードで
ぐるっと転がり、
その勢いのまま立ち上がり、
開始線まで悠然と歩いて戻る。

その間、MVPも主審もキョトンとしている。
相手陣営からは逆に
『おおっ!?』という声があがり、
互いに顔を見合って驚きの声をあげている。

自分らのエースがこれまでやられてことがない
動きでファーストコンタクトを制された、と。

以降、試合終了まで、
MVPは準決勝までの一連の自分の試合で
制してきた左上段蹴りを
一発もアントニオにヒットさせられなかった
ばかりか、一発も出せなかった。

出さなかったのではなく、出せなかった。

アントニオ、勝因が多くある中の、ひとつ。
相手の得意技、左上段蹴りを
一発も出させなくした、ことである。

『主導権を握れ』

ダモシが毎日のように口酸っぱく伝えていることだ。

ファーストコンタクトで、
必ず出すだろうという相手の左上段に
一か八か絞って、
それがこの後できなくなるような
恐怖を植えつけること。

『ジャストミートしなくてもいいと思っていた。
 当たり前でしょう。
 アレをやるのは、
 相手にこの試合中に限っては
 二度と左上段を出せなくさせることが
 あれを用いた最大の理由だから。
 これをやると、逆にこれをやられてしまう
 という恐怖を植えつけることが重要なのです』

とダモシは言う。

06101.jpg

ファーストコンタクトでの紙一重の攻防。
ヒットせずとも
この動きとオフェンスが明暗を分けた。

『故・橋本真也が、高田延彦とのIWGP戦で
 見せたあの水面蹴りね。あれが手本。
 幼児期から極秘練習している技ですよ。
 ここぞ、で出す、と。
 まずこれもフルコンでやる選手はいませんね』
(ダモシ談)

試合再開。激しい応酬の中、
アントニオが突然、
セコンドのダモシ、隣に館長、その後ろにワイフが揃う
少数精鋭陣営にものすごい勢いで駆け寄ってきた。

またしてもキョトンとするMVPと主審。
周囲の観客、相手陣営もまた口をあんぐりさせられる。
この日は一回戦からずっとそうだ。
そもそも飛び後ろ回し蹴りで一本をとったり、
ナイアガラの滝などをやる選手は一人もいない。

それに振り回されている。皆が。
そして、見入ってしまう。
『この子、面白い』と。

これぞ、<魅せる要素>である。

さらにこのMVPのエース相手の
ファーストコンタクトでの
おそらく全員初めて見たであろう動きと水面蹴り。

目が離せなくなってきているのが分かった。

そして、この突然のパフォーマンス。

ワイフは咄嗟に理解した。

<面だ>と。

叫ぶ。

『どうした!? 面!面!ゆるい!言って言って!審判に言って!』
とワイフが叫ぶ。

ややあって0コンマ何秒後に気づいたダモシ、館長、
揃って、マット上と主審たちに向かい
腕と指をフルに使って
何か技を決められて逃げたのではなく
面が緩くて闘いにくいから
被り直させてくれ!とアピール。

06107.jpg

もの凄い勢いで駆け寄ってきた先はダモシ。
己が父親のところへ
緊急事態に際して駆け寄ってきた。
ダモシ、館長それぞれの手も映っている。

これもまた分水嶺になった。

ダモシがこれも常々言っている
『自分のペースでやれ。自分が世界の中心でいい。
 勝つためにはそれくらいのワガママさは必要だ。
 何かを遠慮して闘うのは闘いではない。
 単なる、甘ちゃんだ』を覆す行動。

少しでもやりにくいと感じたアントニオは
有無を言わせぬアクションで
タイムをとったのだ。勝手に。

すぐにワイフが乱入。
被り直させる。この際のワイフの動きは速い。
面が合うか合わないか等はワイフの担当だから、だ。

何度も被り直す。しっかり合うまで。

主審が急ぐよう促す。

だが、ここで遠慮して「すいません」とやって、
ジャストフィットしないまま闘うと
危険度が増す。

徹底的にセルフィッシュになるべきだ。

ダモシが悠然と言う。

『急ぐな。慌てるな。完璧に合うまでやれ。
 テイク・ユア・ターイム!』

誰にも何も言わせんぞ。
そんなオーラがダモシからは自然に溢れ出ている。

勝利への執着。アントニオから、それが露骨に出た。

また試合再開。

怪我しているのはウソ?とさえ思える
映像の早送り的な動きでMVPを翻弄する中、
的確な回ってロー、
レバーとキドニーに食い込むミドルを打ち込み、
さらには疲弊してジャンプ力は既に失われているのに
ナイアガラの滝まで繰り出すガムシャラなアントニオ。

見ればセコンドのダモシの目は潤んでいる。
嗚咽一歩手前だ。

体格差もろともせず、
前へ前へ、とにかく前へ。
相手が場外へのぎりぎりのラインまで
防戦一方で下がっていく。

ダモシが叫んだ。

『出せ!場外まで出せ!』

相手陣営が声を荒げる。

『下がるな!逃げるな!』

笛がなり、旗が振られる。
主審が両者を分け、両者、開始線に戻る。

主審がMVPを指差して言う。

『場外、注意1 !』

残り時間も減ってきている局面で
アントニオにとっては
大きな大きな「注意1」がやってきた。

試合再開。

ワイフが叫ぶ。

『ディフェンス!あとはもうディフェンス!』

そう。
勝っている。このままいけば勝ちになる。

ダモシは叫ぶ。

『徹底的に回ってロー!』

残り20秒。

『勝ってるぞ!しのげ!』

引いたふりをして
ラスト10になって再び声がけするダモシ。

『ラスト10。回ってローいけ!
 そしてイケると感じた瞬間にアレ行け!
 最後にもう一回、ナイアガラ-1いけ!』

ラスト3秒。

この日、何度もやっている、
そしてもう既に跳べない身体で
ナイアガラ-1を敢行したアントニオ。
だが、まったく跳べず、
形にもなっていない。
失敗。

主審はアントニオに注意した。
無茶しないで、という感じだった。

その瞬間、ゴング。

全員がアントニオを挙げ3-0で判定勝ち。

もう既に一本をとる余力はない。
足もぎりぎりの状況だ。
アントニオは
この試合、上段蹴りは一本も出せないほどだった。

そして徹底的に回ってローとミドルで攻め、
ワンチャンスで一気呵成に攻め立てて
相手を場外に押し出して
致命的な「注意」を奪った。

涙は落としていないが、既にダモシの顔は泣いている。
館長も、恐れ入ったという顔で
この日はもう何も言わない。

ダモシが誰にともなく言う。

『よく、しのいだ。よく、しのいだ・・・』


そして、何とまあ驚くことに
休憩なしでそのまま一分以内に一気に決勝戦となった。

決勝の相手もまた出てきたその道場だ。

ここで明かせば、それはK真系である。
フルコンの雄。

それらをことごとく打ち破って決勝へ進んだアントニオ。

気づけば、準決勝から
相手陣営の大軍団の中に
他の道場の子供が混じり、
アントニオに声援を送り始めたのだ。

試合中も
『〇〇番の方、がんばれ!』と他の道場の子供が言えば、
決勝でも
また別の団体の女の子が
アントニオを応援している。

『聞こえていたよ』とアントニオ。

それだけ、冷静だったのだろう。
そして、大軍団の嬌声に対して
ダモシ一人の声が
しっかりと耳に入ったという。

これも通常では珍しいケースだ。

得てしてうるさい試合の場合、
セコンドの声が聞こえない。
今回は大軍団がいる中でのダモシ一人だったにも
関わらず、しっかりとアドバイスが耳に届いていたという。


だからあの台詞、

『ダディが今日は、いつの間にか、
 普通のお父さんみたいになっていたよ』

につながるのだ。

ダモシも
『足、だいじょうぶか?』
『勝ってるよ?』
『そこでヒザ入れてみよう』
『ほら、がんばれ!』
『もう少しで終わるよ』
『あと少し、がんばれ』
などと、ふだんとは異なる声をかけていた。

それだけ手負いだったからだ。


ポイントがここでまた付加される。

遂にアトモスフィアも支配した。
決勝を前にして、
場のアトモスフィアはすべてアントニオに味方した。

ダモシももう、勝ち負け無視だった。
勝てるだろうだの、難しいかなだの
一切の考えや想像はなかった。

ただただ、足が持つかということと、
アントニオが見せている
ガッツに感動していたのである。
もうそれを少しでも背中から押してあげよう、
そして勝利出来るよう
自分ができること=
アトモスフィアの支配や的確な技のアドバイスなどを
全力で行おう、と。

『珍しく決勝戦の前は、勝ち負け無視だった。
 勝つか負けるか云々はまったく頭になかったね。
 こんなに集中したのは久しぶりだった。
 これが、おそらくフロー状態なのだろうね』

また相手は大きい。
『いや、もう毎度のこと』と笑うダモシ。


*****


ゴング。

ファーストコンタクト。
正面から入らないアントニオ。
冷静にアントニオの動きを見ている
最後の刺客。

同じ道場内の選手が何人もやられている。
最後の砦として出てきた刺客は、
強烈なローキックを
アントニオの負傷箇所を狙って蹴ってきた。

だが、強烈なそれを受けても
足がガクッとならずに
瞬時に同じローを打ち返すアントニオ。

互いの意地がぶつかり合う
ローキック合戦になった。

ローの打ち合いでアントニオが負けることはない。
しかも得意の回ってローは専売特許。
刺客が一発ローを蹴る間に二発蹴る。
右に動き、左に動き、
その度にローを入れ、タイミングを見計らって
左ミドルをレバーに入れる。
直線的な動きしかない刺客は次第に焦る。

パンチを顔面に五発入れたところで
副審が大きく笛を吹き、旗を振る。
主審は大きくかぶりを振って「止め!」と吠え、
両者を開始線に誘導した後、
刺客に向かって
『顔面殴打!注意。赤、技有り!』と宣告した。

勝負という意味では、
大きな大きな<技有り>がアントニオに入った。

意図して顔面に入れさせたわけではないが、
この大会のルールを調べていたダモシは
これもまた前夜に手負いのアントニオに告げていた。

『皆、大きい。だから、
 こちらにパンチを入れにくいはず。
 相手のパンチが高くなる可能性があるぞ。
 顔面に、だ。顔面パンチは注意になって技有りになる。
 最悪の最悪は高めのパンチが来たら
 顔に当てさせろ』

手負いの中、最悪の場合を想定し、
何が何でも勝つという局面になった場合をも
想定し、そうダモシはアントニオに告げていた。

<顔を出せ>と。

野球でいうところの、最悪の場合の、死球である。
死球すれすれの球をぎりぎりまでよけないで
当たる策もある、ということだ。

だが、アントニオがこのとき、
意図的に顔を出したわけではない。

『五発も入ったのに、止めないんだもの』
と試合後、語ったアントニオ。

ローの攻防の果て、
アントニオの動きに
思うような打撃が出来ず焦った刺客が
アントニオを止めるために
思わず出してしまった顔面パンチ。
しかも五発。

最初の数発は大目に見た審判だが、
さすがにやり過ぎだと判断したのだろう。
しかもそれが<技有り>になった。

アントニオが同じく顔面パンチをやってしまい
技有りが相手にいくか、
刺客が自ら上段蹴りなどの一本を決めて
技有りをとらなければ
追いつくことはできない。

『勝ってるぞ?勝ってるぞ!』
と大きく叫ぶダモシ。

相手陣営は盛んに
『ロー!足を狙え!』と叫んでいる。

刺客はさらにローを連発する。

ダモシはさらに大声でアドバイスを送る。
その声と台詞は相手陣営にモロに聞こえる。

『ローしか来ないぞ。ローが来るのが分かるから、
 ローが来るから、全部左に回れ、
 ローを打たせるな、逆にその三倍ローを打て!』

もはやアントニオに大技をやる余力は残っていない。

最後は気力で、どつき合い。
正面を向き合っての拳の突き合い、
ローキックの打ち合い、
手数と精度で上回るアントニオ。

残り時間も、わずか。

一瞬、アントニオの動きが止まる。
危険な時間帯だ。
真正面で動きを止めると危険だ。
そこで膝蹴りを食らうと一発KOの危険性もある。

この日、最大の大声でダモシが叫んだ。

『ほらもう終わるぞ!あとちょっと!
 回れっ!回れっ!』


と、突然
アントニオが、
ナイアガラ-IIIをものすごいスピードを繰り出した。
この日最速のナイアガラ。
相手顔面の横をすり抜けたため
ヒットしなかったが、
相手はその間、棒立ちで
何があったのか分かっていない。
仮にそれがナイアガラ-Iだったら
完璧にヒットしてKOに至っていただろうスピード。

ビデオを撮影しながら声援を送っていた
ワイフが思わず叫んだ。

『キャーッ!あーっ!惜しいっ!』

セコンド席のダモシも

『うわぁっ惜しいっ!』

さらに残り10秒の
互いに足を止めての打ち合いで
これが最後だと思ったのか、
この日最高ともいえる
角度を変えたKO狙いのローキックが炸裂。
ぐらつく相手。

技有り1がなくての判定でもストレートだった
であろう完璧な手数と有効打で
アントニオの勝利は見えていた。

両者、正面を向いて判定を待つが、
立ち位置に戻る刺客は
息も絶え絶えでうなだれている。
対するアントニオも堂々と
立ち位置に戻ると、
正面の本部席に向かい
かつてない気合の大声と十字を切って

『オースッ!(押忍)』と叫んだ。

まるで故・橋本真也が
フィニッシュに向かう際の咆哮のように。

あるいはその時、
自分たちも正面にいて
その顔を見ることが出来ていたならば
あの貴乃花の負傷を押しての優勝の時のような
般若の形相をしていたであろう。

副審らの旗判定を待つまでもなく、
主審が『赤の勝ち!』と告げた。

静まり返る相手陣営。

この瞬間、セコンド席にいて、
勝ったときも負けたときも
勝負が決した後はセコンド席を離れるまで
冷静を装うダモシが、
これまでにない
周囲にアピールするかのように
大きな拍手をした。

06109.jpg

『そりゃあ、そうですよ。
 100人とかそんなレベルで応援している
 相手がいてさ。こちとら単騎だよ。
 小さいしさ、怪我もしているしさ。
 見てよ、このガムシャラ。
 俺が、"どうだ! 見たか!"ってやってやって、
 で、俺が賞讃の拍手を大きく派手にせんで
 誰がするのよ、ほれ見たか、と。
 そういう世界。意地ですよ、意地』

準決勝→決勝が間髪入れずに休憩なしで
連続で行われたことも
アントニオに味方した。

アントニオの方が不利なのだが、
そのディスアドバンテージをも
アドバンテージに変えるラックと気の強さがあった。

モメンタムだ。

モメンタム、最高潮になったところで
間髪入れずに決勝も闘うことができた。
ここで決勝前に数時間あるいは数十分挟まれていたら
身体だけではなく、せっかく持ちこたえている足が
冷えてしまい、痛みも増幅してくる危険性があった。

だから、この点は大きなラックがあった。
モメンタムが最高潮になっていたその時、
それが途切れる間もなく
試合が続いたこともまた大きなポイントとなった。


*****


最後のポイント。

それは闘いの舞台である。
通常フルコンの場合は、
ジョイントマットというマットを組み合わせて作られた
上で闘う。

伝統系防具付きの場合、体育館やアリーナの床の上だ。

ところがこの日の会場は武道館になっていたため、
柔道を闘う武道畳の現代版になっていた。
すなわち地面が柔らかかったのである。
ふだんのジョイントマットよりも柔らかかった。

これが負傷している足に負担とならなかった。
床あるいはジョイントマットでは
武道マット以上に動けなかったはずだ。
今まで多くの大会に臨んでいるが、
武道マット上での闘いは初めてだった。

これは大きな救いとなった。

『もちろん負ける時の運の悪さ、
 勝つ時の運の良さ、双方必ずある。
 勝因は今回のグッドラックはもとより、
 やはりアトモスフィア、モメンタム、フローの
 三位一体が構築されたことと共に、
 今回は最大のポイントは、気。
 "気持ち"の部分。
 どんなときもどんな相手でもガムシャラに。
 これがこれまでの中でも最高に強かった。
 最大のポイントが、それ』

とダモシが言うように、
幼児時代や小一時に毎回見られた積極性、
破天荒さ、ガムシャラさが甦ったことが
最大の勝因といえるだろう。

技術面と精神面。
いずれも重ならない限り、ラックだけでは勝てない。
また、それらが重なっても、
ラックが向いていなければ、勝てない。

そして、<魅せる要素>。

ダモシが口酸っぱく言っている点だ。

今回は全試合を通して、
無意識のうちに結果的に
存分に<魅せた>。

観客、関係者誰もが、あっと言った。

関係者の各団体の長なども表彰後、
個々にアントニオに
<良かったね!>と声がけしていたことに
それは表れている。

ただ強いだけではない。
ただ相手に勝つためだけではない。

それだけではない矜持が、
闘いの中に存分にあったことが大きい。

まだまだ闘いは終わらない。

ダモシとワイフは語り合った。
『やっぱり二冠はさせなかったな。
 防具付で負けた時点で
 フルコン優勝というストーリーになっていた
 のかもしれないな』と。

闘いにおけるイデオロギーの観点から
ダモシが標榜している武田信玄。
そしてダモシのニッポン復帰後の仕事上も
縁深い山梨と武田信玄。
この日の会場も山梨。

『信玄の後押しがあった』とダモシは真顔で言う。

『信玄の名言はやはり得ている。
 軍勝五分を以て上となし、七分を以て中となし、
 十分を以て下と為すという、ね。
 まさにその通りになる。
 年初の大会では二冠獲ったけれど、
 三冠狙っていた型試合で忘れるという
 前代未聞の失態を演じて破れている。
 これも十分勝たせてはいけないという
 信玄がやはり後ろにいたわけですよ。
 そういうのは、ありますからね。
 そもそも山梨は、仕事でもそうだけれど、
 武田神社へ何度も参拝したり、
 信玄と心で対話してきた。
 そういうのが絶対に生きているはず』と
ダモシは言う。
 
最後にまたダモシが言った。

『何はあっても、どうであれ、
 やはり
 Sometimes you win, sometimes you lose,
sometimes it rains. だよ、オールウェイズ』。


posted by damoshi at 22:00| スポーツ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年06月11日

ガッツ


長い長い一日。疲れた。
だからもう今夜は素直にこのまま休む。
さもなくば、朝までやることがいっぱいある。
<余韻に浸る>ことである。

結果的には、今年四つ目のタイトル。
すなわち、何とこの逆境で、優勝。

腑抜けにならず、手負いの虎と化したアントニオ。

ダモシは泣いた。
そして小泉首相→貴乃花のとき
(日本にはいなかったが)の台詞、
『痛みに耐えてよく頑張った!感動した!』
とアントニオに言った。

ガッツ。もうこれ以外に、ない。

検証その他ディープな記載は明日以降にするとして、
今宵はフェイスブックにLIVE掲載していた部分からの
転載としたい。

:::::
(午後4時頃)

準決勝くらいから、
セコンドにいても既に込み上げていた。
理屈抜き、掛け値なしに
アントニオ選手、過去最高のガッツと死に物狂いで
なんと優勝。

長い一日、詳細多彩なドラマは帰宅後。

私は泣きましたね。
:::::

(午後5時半頃)
痛みに耐えて良く頑張った。
感動した。
ただいま表彰式。
:::::

(午後10時頃)
ようやく田園都市エリアに
もどり、ご褒美を買って
サイゼリヤで祝勝会。

:::::
(午前0時50分頃)
6時発、23時戻り。
その間、17時間。
スポーツにおけるコンペティション、
ゲーム、バトルには
様々な要素が複雑に絡み合っている。
行き帰りの道路事情や天気、
気温も含めて、だ。

それらすべてが、
SINK or SWIMの闘いにおいては
微妙な影響を及ぼす。

17時間の中で時々刻々と変化する状況、
心理状態、相手関係、空気・・・。

事前に起こる事象とその他、
本人や直に関係する者を取り巻く状況も含め、
プロスポーツ、五輪スポーツ、
キッズスポーツまで種目を問わず、
「結果」は、あくまでも一つの結末に過ぎない。
結末はまた、次なるストーリーへと連鎖する。
もとより、その日の闘いもまた、
それ以前のストーリーからの連続ドラマ。

連続するストーリーの中における、
単一の或る一日の今日だけの闘いを捉えても
その17時間の間には、
ラストシーンをいかようにも変化させる
仕掛けが潜んでいる。

常に、「望むべく最高の結果」を誰もが目指す。
だが、何をやってもうまくいく人以外は、
そうはならない。そして勝負に常勝はあり得ない。
「望まない結果」に終わった場合でも、
それが連続しているストーリーである限りは
「望むべく結果」に至るときもある。
その逆もしかり。

しかし、
「望むべく最高の結果」や
「望む以上の結果」になった場合は、
より多くの要素が複雑に絡み合い、
まさにケミストリーが如く
それらが良い方向に
マグネタイズドしたことが
大きな要因の一つになる。

あくまでも一つのそれである
今回の<負傷>。

ある意味で、もしかしたら負傷がなければ、
今回の結末はなかった可能性も大いにある。

<闘い>というテーマを軸に、
あまりにも多くの要素が複雑に絡み合った
一日を、
スポーツ・ノンフィクション的に考察し
ノンフィクション・ノベル的に記載し
単なる「やったーっ!」ではない、
矜持あるものとして/記録として残すには、
フェイスブックの
一般的な持ち味=短文/リアルタイム性では
描き切れない。

だからそれは「スポーツを描く者」として、
ブログにディープに記載することにしたい。
そして今日はもうさすがに疲れた。
明日に響くため、毎試合後に必ず行っている
ビデオ映像を見ての検証
(良い部分の確認と悪い部分足りない部分の
 反省作業と相手分析作業)も写真の整理等も
明日にしたい。

「親」としては、
一刻も早く、
ひとりの仕事部屋兼個室で横になり
目を閉じて、眠りに落ちるまでの数分間、
今日の余韻に浸りたい。

:::::


ということで、ダモログ限定で
明日にでもディープに
ダモシ主体ではなく、
ダモシもあくまでも登場人物の一人として
今宵の様々なドラマを
スポーツ・ノンフィクション・ノベル風に
掲載したい。

忌憚なく、ダモシも今日はリアルに勉強になった。
アントニオはまた一つ壁を突破した。

大きな大きな付帯要素=負傷。
これがキーポイントとなったのだが、
我々以外の登場人物もまた多彩で
多くの事柄、人が絡み合ったまさにドラマとなった。

もう、眠い。Good Nightである。


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posted by damoshi at 01:41| スポーツ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年06月09日

手負いの獅子か腑抜けか


明日の大会を目前にして、
初めての厳しい事態に陥った。
アントニオが今日の稽古で負傷した。
スパーリング中、
マットと床の境目の段差で足を踏み外したのである。

以下、フェイスブックに掲載した内容を。

:::::

厳しい事態。
アントニオ選手、負傷。

稽古でのスパー中、
マットと床の境目で足を踏み外し。
応急で私が通っていた整骨院へ。
ここはレスリング等、格闘技の選手が
多く来ているところで頼りになる。
触診と電波、アイシングを施してもらった。

足首うしろの靭帯の可能性もあり
小児ゆえ骨が小さいから骨折も否定出来ない
ということで
これから整形外科へ行くところ。

最悪でも靭帯と骨だけでも問題なければ
夜にまた整骨院へ戻り、
明日の大会のためのテーピングをしてもらう。
「明日はやめたほうが」
という示唆はあったが、
状態を見つつではあるが現状では明日の参戦は強行。

いずれにせよ右ローキック、右上段は使えず、
右で踏ん張れないから左ミドルも厳しい。
夕方、片足での戦法を練るしかない。
異種二部門ごとの、それを。

調子が良いときに限って・・・
とは、こういうことでしょう。
起こったことは仕方がない。
ここからどうするか。それが重要。

(その数時間後のフェイスブックへの寄稿)

今日は一日、
アントニオ選手の負傷の件で終わった。
整骨院から病院の整形外科。
そしてまた整骨院。

レントゲン等の結果、骨折は免れたが
後距腓靭帯の損傷ということで、
断裂ではなかったのが救いだが
『しばらく固定安静』
『明日の試合はNG』
というドクターの見解に至った。

だが、明日は参戦だ。

本人のマインドが落ちておらず、
むしろこの状況を楽しんでさえいる。
もしかしたら逆境に陥り
モメンタムが沸き立ったのかもしれない。
あるいは、開き直り。

『怪我は男の勲章だぜ?』
『ロス五輪で山下泰裕は・・・』
『ピンチを楽しむというもあるぜ?』

などという無意識の呼びかけが効いたのか、
小三になり<男>というものへの意識も
高くなっている中、
このシチュエーションにおいて
何かしらのストーリーを見出したか。

18時過ぎに再び整骨院。
スタッフもコンタクト系格闘技を知っている。
明日の大会用に一日もつテーピングを施してくれた。

『この怪我の場合、〇〇だから、〇〇をつかって
 やったほうがいい』と
施術中にアドバイスされたようだ。
それが私からのそれと同じだったという。

就寝前、二人で確認し合った。
構えや動きで、どうすれば負担がかかり、
どうすればかからないか。

それはいつもの大会前夜とは明らかに異なる。
負傷したまさにナマの状況での明日へ向けた
<どうするか>のミーティングである。

よりによって明日は、
伝統系防具付とフルコンの2部門参戦だから
笑えてくる。

ルール上、ポイントを発見した。
前者においては四月に優勝した大会では
禁止されていた技が明日はOKになっている。
そしてその技は実は十八番でもある。

『あ。明日は〇〇が使えるぞ』

そう言うと、アントニオ選手はニヤリ。

ナイアガラも出せない。
ローも出せない。動けない。
だけれど、
足を使えないというハンデを相手に与えよう。
これくらいの強気で行きましょう。

そして、リアルに『楽しもう』となる。
この状況を。

今夜も最後に言ったし、
明日も直前に言うであろう言葉は、
こういうシチュエーションではただ一つ。

『あとはもう、"気持ち"だよ』

である。

:::::


といった具合だ。

手負いの獅子として燃えるか、
あるいは腑抜けになるか。

明日は結果以上に内容に期待したい。
"男"としての
アントニオがまた試される良い機会。

なにごとも経験と勉強である。

手負いの中でいかに彼自身が魅せるか。

親としてはハラハラドキドキ落ち着かないが、
スポーツマン、武道家、
あるいは格闘競技者の"同志"としての立場で
あるいは<男同士>としての立場で
考えれば、

大いに楽しみである。

むろん精神的・技術的両面での全面バックアップは
いつもの通りだが、
心理面でいつもとはまた異なる部分を
ダモシ自身がアントニオに伝えられるかどうか。
ダモシ自身も試される。

己が直系遺伝子だ。腑抜けであるはずは、ない。

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2012年05月20日

三つ巴の妙


今宵はアントニオ選手の空手の大会。
が、何とオークスをテレビ観戦できる時間には
帰ってきていたという、最悪の結果。

今回はまったくモメンタムがなく、
根本的に心理面が「乗って」いなかった。
これが敗因の最たるもの。
他の出場選手と比べて覇気で劣っていた。
試合が続くことでの切り替えが出来ていない可能性がある。
だからといって、いいよいいよとはならない。
今後さらにメンタル面を強化しなければならない。

マミーマミーという部分の解消も含め、
ダモシと二人だけで山ごもり特訓を視野に入れねばならない。

スポーツ、武道含め、勝負ごとは常に紙一重で、
どちらに転ぶかは、一つのちょっとしたことで分からない。
分水嶺も存在する。
球技のように時間をかけるもの以上に、
格闘技など瞬間的な要素が高いものはなおさらだ。

大相撲。
実に魅せる要素満載の今場所千秋楽となった。

三敗で並ぶ稀勢の里、旭天鵬、栃煌山。
この優勝争いになった千秋楽。

まず琴欧州の千秋楽休場という失態が起こった。
ただの休場ではない。
もちろん怪我をしたことは責められない。
が、大関である。
そして、自身の取り組みが優勝争いに大きく直結している中での
突然の休場である。
これは自覚が足らない。
せめて前日すぐにそれを表明すべきではないのか。

too lateな休場発表。
ゆえに優勝争いしている栃煌山が
不戦勝で真っ先に、少なくとも優勝決定戦進出、
あるいはそのまま優勝ということになった。
同時に四敗でまだチャンスの残っていた
横綱・白鵬と隠岐の海のそれを消滅させた。

闘う前から自然に消滅させられたのだ。
琴欧州の罪は大きい。

まず栃煌山が抜け出した。
本割で稀勢の里と旭天鵬が共に破れれば、
その時点で優勝となる。

*****

ここまでの過程。

アトモスフィア的には今場所は、
<稀勢の里が優勝する>という世界観になっていた。
それだけ稀勢の里が支配していたのだ。
だが十二日目、栃煌山に破れて二敗目。
さらに十三日目も横綱・白鵬に破れ連敗。
これで三敗になって優勝マジックは消えた。
同時にアトモスフィア支配も失った。

栃煌山に破れたのが大きな痛手となった。

ある意味で上位とさほど当たらず
粛々と相撲をとっていた旭天鵬と栃煌山は
その間、知らずのうちにフロー状態に入っていた。

前者は前半で既に三敗していたせいで、
完璧に無意識の中、勝ちを積み重ねてきていた。
十四日目、琴欧州に勝ったが、
そこはまだモメンタム付加ではなく、
まだまだフロー状態のキープがあった
(自身の内部では色気が出て
 プレッシャーにはなっていたようだが、
 実際の土俵上ではまだフロー状態にある)。

後者も同様だが、後者は稀勢の里に勝ったことで
わずかばかりのモメンタムが付加され、
それに乗り安美錦、鶴竜に連勝し千秋楽を迎えた。
フロー状態だけではなくなっていた。
良い意味でモメンタムが付加されていた。

稀勢の里はいったん途切れたアトモスフィアを
取り戻すのはもう難しい中で、
辛うじて十四日目に日馬富士に勝つことで
モメンタムを甦らせた。

千秋楽を前にしたところでの状態としては、

旭天鵬:色気は出ていたがまだフロー状態。
    勝っても巴戦があり得る。
    あわよくばだな、という世界観。

栃煌山:フローに対してモメンタムも
    わずかばかり加わった。
    大いに優勝を意識する。

稀勢の里:はじめから優勝を狙っている。
     モメンタムが甦ったところの好状態。
     本割を勝てばいけるだろう。

だった、と読んでいる。

そこに「琴欧州の休場」が来た。
これが三者の心理状態にどう変化をもたらしたか。

まったく影響を受けなかったと
最も考えられるのは、旭天鵬だ。
影響を受けたとすれば栃煌山と稀勢の里。

前者は、既に優勝を意識していた。
そしてモメンタムも付加された。
さらにフローもキープしている。
が、琴欧州の休場=自身が不戦勝で
闘わずして少なくとも優勝決定戦進出が決まった
ことで、<モメンタムが薄れた>。
平たく言えば、勢いが削がれたのである。
一度、楽をしてしまうと、
心中で、
<三巴戦は避けたいな>
<出来れば旭天鵬と稀勢の里、両方負けないかな>
と感じてしまった。

さらに自身が闘うかもしれない優勝決定戦まで
延々と待たされることになった。

後者はどうか。
<絶対に負けられない>という
プレッシャーがかかってしまった。
ただでさえ難敵の把瑠都が相手だ。
"負けたら終わり"がリアルに迫ってきたのだ。
フロー状態は最初からないし、
今の後者はその状態に入り込むのは立場的に
ほぼ困難だ。せめてアトモスフィア消失後、
モメンタムを甦らせた中、それをキープして
いきたいところだったが、逆にプレッシャーが付加された。


*****


本割。

まずはトップで出てきたのは、旭天鵬。
硬い。実に硬い。表情が。
立ち合いもガチガチで不利な体勢になる。
一気に押し込まれるが、徳俵で執念を見せた。
20年のキャリア最大の大勝負と思ったか、
異常な粘りを見せ、執念で勝ち切った。

これにより稀勢の里のプレッシャーは強まった。
モメンタムが既に削がれている栃煌山は、
これによりモメンタムを自力で甦らせることが
不可能になったばかりか、
「ちっ」と舌打ちしたくなるような
<楽をしたい>願望が崩れたことへの焦りが
わずかながらでも生じた。

稀勢の里は、完全に焦っていた。
焦って中途半端な形で押し出そうとしたせいで、
一気に押し出さなければならない
ワンチャンスの局面で押し切れず、破れた。

この時点で、
旭天鵬と栃煌山の一発勝負が決まった。

優勝決定戦が一発勝負に決まった瞬間の
両者の心中は。

旭天鵬:
遂に最も重要な勝負を前にしてモメンタムが付加された。
あとはもうやるだけだ!という開き直りも。
イコール、まだまだフロー状態もキープしている。
そしてここにきてアトモスフィアも寄ってきた。

栃煌山:
二転三転する中、待たされていた。
その間、密かな願望が入り混じり、
失望と喜びが交互にやってきていた。
つまり<覚悟>を決められなかった。
とっくにフロー状態は解除されている上に、
モメンタムも削がれている。
且つアトモスフィアはまったく向かってきていない。


そして、決定的な違い。
今場所中の本割で、旭天鵬が勝っている。
さらには、旭天鵬が一番本割をとっていることで
身体が暖まり、動ける状態にあるが、
栃煌山は動いていない。

心理的な違いと、勝負ごとにまつわる各要素、
そして身体的な違い。
これらをもってして、既に勝負は決していた。

リラックスした、ゆとりのある表情で仕切る旭天鵬。
努めて冷静さを装いながら仕切る栃煌山。
が、常に先に手をついて仕切るのは旭天鵬。
栃煌山は目を合わせない。

栃煌山には取組への戦略に迷いがあったか、
あるいは何も考える余裕がなかったか。
旭天鵬は、
やることはあの一つだけ、と決めていた。

今場所中で当たった際に決めた
左を張ってからのはたき込み。
迷わず、これに勝負をかけようと決していた。
これで決まらず押し出されたら、
それはそのときで終わり。
そういう割切りがあった。

<もしかしたら同じ手を・・・>と
栃煌山には迷いと恐怖心があった。
その迷いを払拭出来ず、
さらに自分からの攻めのイメージを抱けないまま
立ち合った。

左を素早く張った旭天鵬。
<あっ、またアレだ>と栃煌山は
今場所中の取組のプレイバックを阻止せんと
怒濤の勢いで前へ出た。
ぎりぎりのタイミングではたき込む旭天鵬。
0コンマ1秒遅れていたらアウト。
そのタイミングだ。

ものの見事に決まった。

<しまったぁ・・・>。
栃煌山の心境だろう。

ダモシは仕切りの最中、
ブラウン管を観ながらワイフに言っていた。

<同じ手を使うぞ、きっと。
 アレに勝負をかけるだろう>と。

常に先に手をついて仕切っていたのは、
そのタイミング=先手の左の張り
を図っているように見えたからだ。
栃煌山は仕切りの際に下を向かず、
きちんと旭天鵬を見たり、
ときに先に手をついたり変化をつけるべきだった。


*****

以上は、あくまでもダモシの主観である。
感じたことを
その心中を読んで書いたまでだ。
真実は本人にしか分からない。
だが、得てして本人の分からないところで
勝負ごとというものは進む。
第三者やセコンドの方がよく見えていることもある。

それはアントニオの空手の勝負も同様。
ちょっとした一つ一つの所作、周辺の空気感などが
紙一重の勝負に大きな影響を及ぼす。

その意味では、今回、三力士それぞれに
アドバンテージ、ディスアドバンテージとも
公平に訪れた。

結果的に、
琴欧州の休場が大きなアドバンテージ
になった栃煌山が、
逆にいい知れぬディスアドバンテージを背負った。

それぞれ期するものはある。
ただ、公平にモメンタムが付加された三人の中で
立ち位置的に
もう一つの重要な要素であるフロー状態を
ぎりぎりまでキープ出来た上に、
モメンタム付加のタイミングも最後の局面で
やってきた旭天鵬に
勝利の女神が微笑んだのは、
やはり理にかなっているのだ。

勝負における最高の結果。

これは毎回説いているように、
モメンタム、アトモスフィア、フローが
三位一体となって折り重なったとき、
生まれるものである、と。

結末としては、実にエモーショナル。
旭天鵬の苦節二十年での優勝。
おめでとう、である。


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2012年05月03日

GW-2012-3


以下、
まずは今宵フェイスブックに掲載した文を出張転載。
フェイスブック用デスマス調にて。

*****

ひとまずGWのバトルは終わりました。
20日にまた大会ですが、数日は緊張から解かれます。
今日は結果的に負けてトロフィーをもらうのは、
いかがかと思いますね。
準優勝や三位ならまだしも、
三位決定戦も負けて一日に二敗。
レベル的に皆、素晴しい選手なのは当たり前で、
すべて紙一重ですが、負ける相手でもなく、
内容的には技の豊富さは群を抜き、
押しているだけにポカというかツメの甘さでしょう。
敗因というよりも、課題ですね。

一ついえるのは、
体力面でいえば
毎度毎度、最低身長・最軽量なので
相手の方がパワーがあります。
一発の重みの蓄積がダメージになって
後半響いてくる。
この点のディスアドバンテージを
このレベルでもどう凌駕するか。

精神面あるいは頭脳面でいえば、
前半で明らかなるリードを持った場合、
うまく交わして「勝ち」をとりにいく
というスマートさがまだ足りず、
パワーで上回る相手に対して
真っ向勝負をしてしまう点。

フルコンタクトで、
パワーの上回る相手に対して
真っ向から<やり合う>だけでは勝てません。
そのエキセントリックな性格を、
少しでも冷静に勝利をとりにいくふうに
変えていくことも必要ですね。

勝ってばかりでは課題は見えません。
負けてばかりでも勝ち癖がつきません。
時に勝ち、時に負け、時に雨が降る。
今日は三つのうち後者の悪い二つが
重なったといえましょう。

4.29はラックもあったけれど、
今日はラックもなかったですね。

負けは良いのです。
しかし、「頑張ったから良い」ではもう
レベル的には済みません。
頑張るのは、大人の仕事もそうですが、
当たり前のことです。

毎回、敗北は良薬になっていて、
都度、フェーズアップやマイナーチェンジを
施す促しをしてくれます。
幼児から始めた空手ですが、
現在フェーズ.4のマイナーチェンジ過程で、
毎回手探りながら闘っているのですが、
同時に今回さらに明確になった課題の
インプルーヴ含めて、5.20に間に合うか
分かりませんが、フェーズ5の
マイナーチェンジをスタートしよう、と。

(今日のトロフィーは右。青枠。
 「負けてもらったトロフィー」は、
 トロフィー&メダルを収めている
 殿堂には入れずに、"屈辱のトロフィー"
 としてアントニオ選手が毎日目にする
 位置に置いておくことにしましょう)。

050312a.jpg

*****

といったところ。

一昨年冬の<大阪ナイトメア>。
同じく一昨年夏の<郡山のフリーズ>。
種類は異なるが、今日の敗北は、
またさらにリアルにフェーズを上げなければならない、
マイナーチェンジが必要だ、と感じた。

これこそが、良薬である。
先人はよく言ったもので
良薬は口に苦し、は本当である。

苦い敗北。本人も、怒られたからだけではなく、
自身も悔しい敗北だったろう。
帰宅後、必死に明るさを装うが、
やはり元気がなかった。

それで良い。
自身で悔しさを感じなければ、
一切の進歩はない。

こちらは後押しすべく補助する。
マイナーチェンジとフェーズ.5へのアップを開始だ。
その一つとして、「体幹力」のトレーニングを
取り入れる。

早速、帰宅後書店へ行って買ってきた。

050312b.jpg

技術的な面は順調であり
明らかにスキルアップしている。
精神面も引く弱さはない。だから心理面になる。

肉体面と心理面。
この両面をさらにインプルーヴする必要がある。
技術面の継続的なアップと共に
その二つがさらにフェーズ.5のマイナーチェンジで
加わっていくことになる。

5.20にすべてが間に合うのは無理だろう。
段階的に一つでも間に合えばというところである。




posted by damoshi at 23:35| スポーツ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年03月26日

阿部四郎にナイアガラを!


猫2号逝去を受けての、喪章をつけての大会。

アントニオは、
ここ最近取り組んでいるまた新たなフェーズでのアクションと技を
すべて出す素晴しいパフォーマンスをした。

まさにそれはアントニオの独演会。
技の博覧会、そして演武会、試技会の世界になった。

結果はベスト16。三回戦で闘いを終えたのだが、

結果に関しては、

今回は同じニッポン代表勢がすべて
一回戦、二回戦で、誰が見ても圧倒しているにも関わらず
たいへんミステリアス且つユニークな判定で姿を消したに等しく、
完全無欠のホームタウンディシジョンの仕業によって
<負けさせられた>ため、

どうこう、ない。

もちろんそういった所作に関してはブチ切れで、
今も激怒状態にあり、
今後のこの大会への出場をどうするかを考えなければならないが、

それはそれとして、
アントニオのパフォーマンスは破格だった。

周りの観客も唖然。相手になるサイドもビビリまくっていた。
それだけ二年生では誰もやらない/誰もできない技のオンパレード。

だからこそ、それは試技会、博覧会のノリになったのだ。


*****


試合前。

同じニッポン代表の他道場のライバル(過去一勝一敗)の親が
歩み寄ってきた。

<トーナメント表、見ましたか?>と。

まだダモシは見ていない。

現在の小学二年生が人口が多いのか、
空手人口が多いだけなのか分からぬが、
常にこの学年は参加者が多い。

今回もまた70名オーバー。タフなトーナメントである。
そしてトーナメントは毎度、組み合わせ次第でもある。

<アントニオ君とは別のブロックです。
 決勝まで当たりませんよ>と言う。

その子供が無敗だった頃の一昨年、
大会の準決勝で当たり、アントニオが勝っている。

そして昨夏の大会では決勝戦で当たり延長の末、
アントニオが破れている。

内容の濃い素晴しい空手の試合になる好選手。
それは何人か、いる。
様々な大会で時々、<また相見える>という世界にある。

ダモシ側もその子の側も<決勝で>という気持ちがある。
しかし他のニッポン代表も出てきている。

<しかし、ウチの側にはH君が出てきました。
 アントニオ君の方にはD君がいます。
 でもそれぞれも準決までは当たらないようになっています>

と説明してくれた。

これでまずこの四人がベスト4という想定が成立する。
もちろん他も皆、強豪だから、
どうなるかはやってみなくては分からない。

のっけからその子が一回戦第一試合で判定で破れた。
それを見ていたダモシもアントニオも
この時点で<判定がおかしい>ことを察する。

しかもその子には、一学年上から下りてきて出てきている
スーパーヘビー級女子を当ててきた主催者。
これは意図的と思える。
いくら強いヘビー級二年生でも
それよりさらにスーパーヘビーな一学年上
(女子とはいっても低学年時は
 女子の方が運動は上のケースが多々ある)をぶつけるのは
意図しなければできない所作だ。

実際、アントニオも一昨年の大会で、
<事実上の決勝戦>と言われた
王者のその子との準決勝で勝ったにも関わらず、
決勝戦で一学年上のスーパーヘビー級女子と当たり、
普通に互角に渡り合ったが一日の長で相手の分をとられて破れた。

こういうことは、もうやめんか!?とその際もブチ切れたものだ。

さらに他も二回戦で姿を消す。
圧倒的に攻めていて<あぁ、やっぱり楽勝か>と誰もが思って
いたのに、判定で相手に旗があがった。
勝ったサイドもキョトンとした後、大歓声というマヌケな状態。

そこまでして、意図的に消したいのか、と。

アントニオは一回戦、判定で3-0。普通に圧倒。

二回戦。開始十数秒で右上段蹴りを決めて技有り一本。
このまま終われば、判定もクソもなく勝ちだ。

さらに攻め続け、相手の攻撃は一発ももらっていない。
しかも終了直前、遂に実戦でナイアガラの滝を決めた。

が、判定で、副審の一人がなぜか<引き分け>を挙げた。

<はぁ?>

<ちゃんと試合見てたの?>

という嘲笑が漏れる。

だが、いくら八百長しようとしても、
一本をとっているわけだから操作出来ない。
アントニオの快勝。

迎えた三回戦。

これがもっともアントニオの技博覧会になった。

これでもかこれでもか、と攻め続ける。
痛めつけるというよりも
華麗な技のオンパレードと圧倒的な手数で攻め続ける。

副審二人のうち、一人はアントニオに旗を挙げるが、
なぜかもう一人の副審と、主審の二人が引き分けをとり
延長戦に。

ダモシは叫ぶ。

<決めちゃえ!>。

有無を言わせぬ一本はとれなかったものの、
延長も変わらず攻め続けたアントニオ。

<よし、楽勝だ>。

判定。

副審の一人が、あろうことか相手を挙げる。
しかも主審も相手をとる。

1-2で判定負け。

その瞬間、ダモシは昨秋の全日本選手権での型の決勝同様、
諸手を挙げる<ホワ〜イ!?>欧米スタイル抗議パフォーマンスで
周囲を見回すと、周りも皆、口をあんぐり、目を見開き、
中には<アントニオが負けた〜?・・・>と声を出す者まで出る。

まさに同じニッポン代表勢の今日の負けパターンと同じ。

こりゃあもう、完全にブックだな、と。八百長だな、と。

これが五輪競技ならば、ビデオ映像と共に
スポーツ仲裁裁判所に申し出て良いくらいの所作。

ヒドいな・・・と。


以前も記載したように、
ボクシングなどを含む格闘技での判定には
著しいホームタウンディシジョンが厳然と存在する。

主催者がいて、人間が判定する場合、
身内や仲間、協力者、関係者に属する選手に甘くなる。
必ず、これはある。実際、何度もそれに遭遇している。

そしてこれは強くなればなるほど、マークされればされるほど、
顕著になってくる。

今回は特にニッポン代表のワッペンをつけている選手に対する
それが顕著だった。
アントニオのこともニュートラルに見ているダモシは
当然彼以外の選手もニュートラルに見ている。

その視点で、「こっちの勝ちだな」というのは、
ほとんど外れないものだが、
おかしな大会になれば、「外れる」ケースが多くなる。

今宵のそれでは、ニッポン代表のワッペン選手の試合で
すべて「こっちが勝ったな」が外れた。

目の前で見ていれば素人でも分かる。
どちらが手数や有効打が多いか、は。
技も多彩で、攻めているのはどちら、は。
そして一本入ったか、さばいたか、は。

アントニオの試合も含め、意図が施された試合はすべて
3-0で皆、勝っているのに、相手に旗が挙がったのだ。

ほとほと、映像をノーカットで公開したいくらいだ。
これでは、勝った方の子供のためにもならんぞ、と。
もちろん、それはしないが、
画像を一枚掲載したい。

0325121.jpg

ずっとこの状態が続いたのである。
ずっと相手は逃げ腰で逃げている。
技は一発もない。

それでも相手に旗を挙げられてしまうのだから
もうどうしようもないのである。

またこれアントニオも必死なのだが、
ある意味で余裕があるというか、
<技を試してみよう>的な部分もあるのだろう。

当然、上段蹴りも何度も入っているのだが、
それも技有りを審判がとらないのだから、
もうどうしようもないわけである。

今宵の審判団は、

昔の女子プロレスで、
クラッシュギャルズと闘う極悪同盟に寄り添い、
ダンプ松本ら悪役に有利なレフェリングをした阿部四郎か!

と。

そんな世界であった。

アントニオの決め技が決まりフォールする。
だが阿部四郎はゆっくりゆっくりとカウントをとる。

が、相手がアントニオをフォールした途端、
ワンツースリー!とものすごい速さでカウントする。

そんな世界である。

これでは勝ち目がない。


否。ある。

有無を言わせぬKOである。

アントニオには厳しいようだが、
館長ともどもダモシも

<俺たちはアウェイなのだよ。
 だからこういうことになるのだから、
 有無を言わせぬ勝ち方をするしかないのだ>

<判定になったら負けにされると思え!>

と、叱った。

もうリアルにその世界だ。

次回の大会(4.29)も完全なるアウェイ。
というよりも、毎回アウェイ。

さらにその大会は、アントニオ二年ぶりとなる
防具空手ルールでポイント制である。
これがまた、以前、決勝戦で大誤審をされて破れているルール
(後日、誤審を認めた)である。

やる前からこちらが不利なのは明白な中、
どのように闘うかがカギになる。

もう強いのは分かっているので、
阿部四郎や極悪同盟ともどう闘うかをも視野に入れて
幅広い視野でファイトすることを前提としなければならないのである。

クラッシュギャルズもそんな中でも勝ってきたのだ。


*****


ニュー・アントニオの、最新のフェーズUPも完成が近い。
それを今日感じられた。

新大技<ナイアガラの滝>。

これは、一種類ではなく、角度違いや速度違いなど
今や四種類ある。

一種類公開しても逆にもういいだろう。
これを警戒させる手もあるからだ。
これだけではないからだ。

初めて実戦で決まった。

<ナイアガラの滝>のAヴァージョン。


0325122.jpg

空手の世界では「胴回し蹴り」という技があるが、
この技はそれではない。
<ナイアガラの滝>は胴回し蹴りに端を発しているが、
ヴァージョンA〜Dはすべてオリジナルである。

このAヴァージョンは伝統空手のサソリ蹴りにも似ているが、
それとも微妙に異なる。

かかとか脛を相手の顔面に的中させた(左から二枚目)あと、
それに留まらず
さらにサソリの如く首に瞬時に巻きつくと同時に
膝が折れて脛が相手の延髄を打ち抜く(右から二枚目)形式だ。

パチーン!→グニャッ!→ベシッ!という順序になる。

もちろんまだ未完成だが、不完全な形でも実際に決められたことが大きい。

既に上段蹴りで技有り一本をとっていてリードしている上に、
最後にこれを決める。
そして相手の技は何も受けていない。

それでも引き分けとする審判は、

どう考えても阿部四郎が化身したとしか思えないのである。

ならばどうするか?となれば、もう、
この技の場合は、これで相手が立てなくなるまで
厳しく打つしかないということになるわけである。

単に勝ち負けではないが、勝ち負けを意図的に操作して
こちらを負けとするならば、
こちらはそうするしかなくなる、ということだ。

そうしてやろう。

あるいは自分が主催して、公平な大会を運営するか、だ。

何日経てばこのブチ切れが収まるか、
ダモシは大きな八歳なのでどうにも分からないところである。


だが、ワイフは吐き捨てた。

<あの審判は今日の帰り、事故に遭うぜ>。


はぁ、怖い。大きな八歳より怖いかもしれない・・・。


posted by damoshi at 02:56| スポーツ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年02月26日

ジンクスor三度目の正直


アントニオの空手は、三月に2大会。
いずれも欲しいタイトルの大会がある。

一つは今週末。

正直、縁のない、相性の悪い大会である。

一昨年の幼児時代は、
一回戦の本戦で勝っていながら(副審の旗が二つ上がっていながら)
なぜか分けとなり延長。その延長で不可解な判定負け。
ダモシもブチ切れた大雨の酷寒の二月末。
陰気くさい、ダークスカイが記憶に残っている。

昨年は、一月の大会で優勝し、絶好調で臨むはずだった。
だが何と大会当日にインフルエンザ発症。
無念の欠場となった。

東日本大震災が起こるのはその数日後。
アントニオの後、ワイフにうつり、
ダモシもとっくにうつっていて高熱だったが放置。
気づけば治ったのだが、
そのワイフ、アントニオ二人揃ってダウンで
自宅にいた日が東日本大震災だった。

三度目の正直。

三月のもう一つの大会も、二年連続で準優勝。
ここもまた三度目の正直となる。

三月の2大会は、いずれも三度目の正直。

これがキーワードになる。

さて、どうか。

<インフルエンザになるなら今週までだな、ギリギリ>
と懸念していた先週は乗り切った。

が、乗り切ったことで、
明日以降でそれにかかったらもうアウトという
期間内に入ってしまった。

インフルエンザはもとより、風邪も同様。

<風邪もひくなら昨日までならギリギリだな>と見越していた
昨日土曜日も今日も乗り切ってしまった。
明日以降で風邪をひいたら回復期間も考えればもうアウトである。

毎回そうだが、ほとほと胃がきりきりである。
神経がすり減る。

<学校でうつされなければ・・・>との切実な想いである。

どうか、すこしでも風邪っぴきの子供がいたら、
親は学校を休ませて欲しい。
ほとほと、願うところである。

会社も同様だが、今や、風邪やインフルエンザを押してまで
<来る><行く>ことは無礼の極みである。
他人にうつすことで迷惑をかけるのだから、
潔くすぐに自宅に籠り、治すことに専念すべきである。

<ちょっと具合が悪いくらいで休むな>は、
昔のニッポンの悪癖の一つである。
本人や親はそれで良いかもしれないが、
そんなものはガッツでも何でもなく、
他人のことを考えないワガママに過ぎないのである。

今週の大会こそ、絶好調で、現時点の状態のまま臨ませたい。
明日以降体調不良等が起これば、
もう完全にその大会とは縁がないということになる。

いわゆるジンクスである。

まずは今週の大会。一つのジンクスを壊したい。

もう一つの大会もそうだが、
<三度目の正直>イコール、<ジンクスを打ち破れ!>である。


*****


キャリアを重ねていくと、コドモでもそうなのだから、
オトナになればそういったジンクスや相性というものが
対<大会>、対<イベント>、対<場所>、対<他人>に
色濃く出てくるだろう。

<ダモシx甲府=青空>しかり。

格闘技や野球などの場合は、主たる対象は対戦相手となる。
対戦相手との力関係や相性が大きく影響する。

一方で競泳やマラソンなどタイムが秤になる競技の場合は
自分自身が主たる対象となる。
場所などを含む広義でのアトモスフィア全般も大きな要素
であることは言わずもがなだが、
個人競技で且つタイムが勝敗の秤の競技の場合は、
格闘技とは趣は違う。

キャリアを積めば、ある程度、
自分自身の持ちタイムとの比較で
現在の体調やマインドなどを総括したところで
<だいたい〇〇くらい>という読みが立つ。

例えば100m走の近半年内の持ちタイムが25秒の人が、
いくら調子が良いからといって
<五輪で優勝する!>という読みはおろか、目標すら
立ちようがない。

格闘技の場合は、出会い頭の一発だったり、
疑惑の判定などを含む多くの要素から
アップセットの可能性は大いに高いが、
陸上や競泳ではその可能性は大いに低い。

要するに白帯が黒帯に勝つ可能性は大いにあるが、
持ちタイム20秒のランナーが
9秒99のランナーに勝つ可能性は大いに低いということである。

<だいたい〇〇くらいだろう>という想定が、
より多くの一般人が持ち得るものの一つが『マラソン』ではないか。

これまでのベストタイムすなわち持ちタイムが
3時間50分ならば、
次なる大会に出る目標の一つは<優勝>よりも
<自己ベスト更新>になるのが妥当だろう。

ここでは基本的に
出ることに意義がある選手の場合ではなく、
どの競技においても
"コンペティション"として臨んでいる選手の場合を言っているのだが、

いわゆる<自己ベスト更新>型競技と
<対戦相手凌駕>型競技では、同じスポーツでも、
共通点は当然多々あるが、考察するポイントが大きく異なってくる
ということである。

<自己ベスト更新>型競技の主だったものは、
競泳、陸上になる。
特に陸上は多いだろう。
走り幅跳び、走り高跳び、棒高跳び、長距離走、短距離走、
ハンマー投げその他膨大だ。

その中の一つの特性に、

『負けても(予選墜ちでも)、自己ベストを出せれば満足』
『世界で相手にならなかったが、日本記録更新したから大喜び』
というものがある。

逆に、勿論、
『優勝したけど、自己ベストに遠く及ばなかった・・・。ダメだな』
というマインドも発生するだろう。

一方で、例えば格闘技。例えばアントニオの空手。
相手がいて、相手も千差万別。スタイルも様々。
時に異種格闘技戦になる。

そうなると、相手関係が大きく評価に左右してくる。

もちろん『優勝』したら、大いに評価するのだが、
『準優勝』でも"事実上、優勝"というケースもある。

例えばそれは、衆目の一致するところでの
<事実上の決勝戦>が準決勝であって、
それに勝って決勝に進んだが、
決勝の相手は一学年上から下におろして出てきた者だった場合、
それには負けてもしゃあないでしょ、となる。
そもそも<下に出てくるなよ>という世界だからだ。

ヒトが絡む判定の場合は〜特に格闘技の場合〜、
ホームタウン・ディシジョンも介在するから
結果が悪くても、<何だそりゃ?>で終わるケースもある。

タイムという絶対的な秤がない分、
すべてはそこで繰り広げられる闘いにおけるLIVE感で
とても良かったのか、たいへん悪かったのかを察知して
それが勝ち負けを超えたところでの評価となる。

どちらの型の競技が面白いか、良いか、ではなく、
さように、一つの側面だけで見ても
スポーツは奥深いということがいえる。

また、それを考えれば考えるほどに、
スポーツこそLIVEである、と。

LIVEを我等に。

LIVEで、目の前に提示される、闘っている者の所作。
そこにしか真実はない、ということである。

堕落したニッポンのテレビが捏造して作り出す
サイドストーリーの中には
スポーツの本質は何一つ、ない。

スポーツの本質は、現場。LIVEにしかないのである。

競泳や陸上などの、
ひとつには<自己ベスト更新>型といえる競技に
励んだことがまったくないダモシ
〜ダモシはすべて<対戦相手凌駕>型競技〜であり、

己自身がまず誓って言えるだろうが
絶対にやらないスポーツの最右翼マラソン。

好き嫌いではなく、
ダモシの趣向とは対極に位置するスポーツ<マラソン>。

しかしそれは一般大衆がこぞって応募し、
三万数千人もが実際に走るほどのイベント。

ある意味で東京だからこその、東京マラソン。

今年も後輩が出たので応援に出かけた。

昨年もこの応援に出かけた翌週、
空手の大会があり、
その日の朝にインフルエンザ発症した
ある意味でのルーティン。

ジンクス破壊へ、今年も同じローテーション採用で、
今宵、アントニオとワイフを伴い
東京マラソンの応援に出かけた。

昨年同様に、寒い寒い一日。


0226121.jpg

応援する相手を最も探しやすい場所の一つが、
品川の折り返し地点周辺。

0226123.jpg

東京タワーを背後に走ってくるランナーたち。
この道路の広さが、応援する相手を探し出せるキーの一つ。
しかもこの時点ではある程度、集団もばらけつつある頃合い。

特にその後輩は速いから、団子になっている集団が来るよりも
かなり前に折り返し点に到達するため、
発見しやすいのだろう。

競技の種類は違えども、
<闘い>と<スポーツ>という部分では同じである。
アントニオも彼の姿にインスパイアされて
己が闘いへまた改めて心を引き締めるか。

平日の夜、そして前日の土曜日も練習場を確保。
個別で最終調整を今週、図る。

最後まで、出来得る最善を尽くす。

これもまた一貫して行っているルーティンである。

今回もまた優勝賞品は、過去最高のものを提示してある。

そして過去、もっとも多く
ダモシ自らがスパーリングで受けている。


spar22.jpg


*****


さて、人混みを嫌うダモシゆえ
沿道でたびたび肘や膝が炸裂してしまったわけだが、
それはそれとして、

往路でも復路でも東急線の駅ホームには常に
カメラを抱えた多くの人々がいた。

自宅最寄駅にも、乗り換えの大井町駅にも溝の口駅にも。

で、彼らを撮った。

0226122.jpg

例えば富士山では
ご来光を待ち構える人々にフォーカスして撮り、

例えばセントラル・パークでは
バードウォッチングで一斉に双眼鏡を覗いて
宙を見上げる集団を撮った。

要するにご来光や野鳥、そして鉄道ではなく、
それらの主題を撮ろうとしている人々を主題にして
撮るのが、面白い。

被写体に夢中になっている人自身を被写体にする。

その瞬間、人間は無防備だから、面白いのだ。

<何だろうね>とワイフ、アントニオと言い合ったが、
きっと何かのさよなら運転?か何かだろう。


posted by damoshi at 23:58| スポーツ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年01月14日

侵掠如火


プロレスでいえば新日本の<1.4東京ドーム>に匹敵する、
2012年頭のアントニオの空手大会ビッグイベントである
日本選手権が終わった。

終了後数日経過しているが、ビデオ検証等の事後処理や、
自身のオフィシャル事案等によりここまで掲載が遅れたが、
明日、甲斐遠征のため、今宵まとめる次第である。

今回はアントニオにとって<三冠戦>。

いつものフルコン、型、そして初となるグローブと、
スーパー・ハードな三部門での闘い。

背景環境は、以下となる。

既載の通り、型をやっている選手は型だけ集中で、
実際のバチバチの闘いはしないか、出来ない。

フルコンの選手は、
型はほとんどやっていないか出来ない。

そしてさらにはグローブ系はそもそも
空手道場ではなくキックボクシング専門の
ジムや道場が主体である。

こんな背景環境の中での、闘いである。
むろん、一部門だけの方が体力の疲弊は少なく、
且つより高い集中力を維持できる。
その中での三部門での闘いである。

特にグローブは、
一昨年から極秘練習しているボクシング練習の中、
昨年、ボクシング参戦もグローブ・ルールでの空手
(K1やキックボクシング等)参戦もせずに
ある意味で<満を持して>のダモシによるGOサイン。

さらには

・今回、代々木国立が三度目の正直となる。

・今回は、道場の他の子供たちも出る。
 その中でエースとして無様なマネは出来ない。

・ダモシの後輩が三たびこの代々木国立での闘いに
 応援に来る。

・年末に続き、KO(一本勝ち)1試合につき
 500円程度の中古DVDを提示。
 <三冠>を獲ったら
 Wiiの新品ゲームソフト一本という破格の賞品を提示していた。

などの背景環境があった。

果たして、如何に。

010912n.jpg

第一体育館。
いよいよこの夏、ここでの初めての闘いがある。

010912m.jpg

ある意味で三度目となった第二体育館は、慣れた。
アントニオも慣れたが、ダモシたちも慣れた。
まず会場慣れというアドバンテージが早々にアトモスフィアを支配した。


*****


初のグローブ。

要するに、当時のアンディ・フグやフランシスコ・フィリオが
極真空手からK1のリングにグローブをつけて上がった世界である。
道着にグローブ。
ルールはキック・ボクシング。ムエタイのような"ヒジ"や"投げ"は禁止。
分かりやすく言えば、キック・ボクシングである。

そもそも昨年、ボクシング参戦を標榜し、
一昨年からボクシングのパンチと動きの練習を
ダモシ&アントニオで地道に取り組んでもいた。

昨年のボクシング参戦は見送ったが、
いつでも行ける状態にはフェーズ的には進んでいた。

そして迎えたキック・デビュー。

強かった。

練習したボクシングの動きをマスター。
それに加えてそもそもフルコンをやっていることからくる
キック系にはないバチバチのフルスロットルの蹴りがある。

<グローブが違うのでは?>

<同じ学年?>

と、いずれもキック専門に行っているジム側が抗議。
ダモシもブチ切れ、トーナメントは一時中断にも至る。
しかもアントニオの勝ち進みをまたも妨害する連中や動きが出たことで
ダモシは本部席に乱入。
半分本気、半分演技で魅せる要素で
「これ以上ヘタなことすると本気でブチ切れるぞ?」を臭わせば、
大会会長が登場しダモシを説得。

<大目に見てやってください>と。

ダモシはキレているフリをして、
本気では<キレていないですよ>状態だから
そこで会長とヒソヒソ話。

その直前、トーナメントのくせに、
事前登録していない選手をアントニオへの刺客として
突然送り込んできたりと傍若無人な進行を施していたことに対し、
冷静に時間稼ぎしながらも刺客を様子を見極め、
本部席で猛抗議していたのである。

<何試合、やらせるんだ!不公平だろ!>と。

だが、怒りながら、状況を見ていたから、
連続で試合してもアントニオは十分対応できる
〜なぜなら道場ではふだん7-8人連続で相手している〜
と踏んだダモシは、猪木ばりに叫んだ。

完全に魅せる要素に入り込んでいる。
アリーナと観客席から人々が見守るセンターで
<よし、やってやる!続けてやっていい!>と叫ぶ。

主審が
<それは(試合順)は、私が決めることだ!>と威厳を見せるが、
大もめの最中に会長とヒソヒソしていることで
試合続行(アントニオひとり、他の異なる選手との連続試合)と
相成った。

こうなれば、同じ道場から今回は来ている
アントニオの後輩のちびっこやそのご父兄も
一気にボルテージが上がる。

<よし、やってやれ!>となる。

こうなると、完全な判官贔屓になる。
ダモシはその構図をお見通しだ。
不公平なシチュエーションに晒された
最軽量/最低身長の小学二年生。

応援しないはずが、なかろう。

その試合も、もちろん相手も簡単ではないが、
アントニオ劇場。

フルボッコの世界で、一分半、まったく動き止まらず。
蹴りなら完全優位のアドバンテージを生かしつつ、
さらにパンチもこちとらボクシングのパンチだぜ?で制圧。

その燃え上がったパッションに、
モメンタムはそもそもある上、完璧なるフローが構築された。

ここはもう、今回はフローが構築された。

<あぁ、もう、今日はフィールでいい、フィールで>
と館長とヒソヒソ話し合うダモシ。

細かな指示はもう今日はいらない、ということである。

アントニオの、本人自身の、頭で考えるのではなく、
感じろ!という世界が完璧にハマっていたのである。
さらに本人の
<何が何でも勝ってやる!>という
ふだんの彼のベイビーフェイスとは別人の破壊者の顔。
これが普通に見えたことで、
ダモシも館長も細かい部分は何も指示せずにいけるのでは?
という様態に入り込んだのである。

結果、全試合KO(一本勝ち)の優勝。
且つそれは無効試合(勝ったのに取り消された)や
事前のトーナメントにはいない刺客とも闘いも含まれている。

さらに返す返すもこちらは初だ。
相手は皆、それ専門である。

現段階で、これまで教えてきたボクシングのパンチと動きは、
ほぼ8割方、否、100%に近い形で、本番でやったアントニオ。
ここは満を持して、という部分で
これまで慎重を期して昨年一年間は避けた所以である。

ここはビデオ映像からキャプチャーした画像で
主な技と動きを振り返ってみる。

否、その前に、彼の闘っている最中の顔だ。
これは今まで見たことがないほどの殺気と覇気に満ちていた。

010912b.jpg

これは一部だけだ。
そもそも幼児時代から試合でキラー性を発揮していたが
今回は異なるルールに適応する中で
反則が完璧にゼロの中で勝つことへのキラー性を
満面に見せていた。

必死さ。これが伝わってくる。伝わってきた。

むろんこっちも必死だ。
だから、負けさせようとする側へは徹底的に対峙し、
アトモスフィアを支配させず、
こちらにそれを向けるように諸々演技もするわけだ。

さて、今回初めてビデオ映像から連続写真を作ってみた。

010912c.jpg

上の段:左から右へ
下の段:同じく左から右へ

接近戦の中、アントニオは左手前で踏み込む(上/左から二枚目)。
だがこれは、囮(おとり)。
相手はアントニオが入ってくると思い
右の前蹴りと直後に右ストレートを放つ(上/左から三枚目)。
だがアントニオは待ってましたとばかりにスウェイでかわす(同)。
交わされた相手はバランスを崩す(下/左端)。
スウェイした後、体重を乗せて右ストレートを放とうとする
アントニオ。その際、左脚は最初に囮で踏み込んだ位置にあるから
膝と腰の動きだけに体重を乗せていくだけで良い(下/左端)。
バランスを崩している相手に右ストレートが飛んでいく
(下/真ん中&右端)。

010912d.jpg

右ストレートがクリーンヒットする。
そこまでのスピードがあるため、
相手は前蹴りを出した右脚が着地するに至っていない状態で
右ストレートを浴びることになるから
大きなダメージを負う。
アントニオの態勢はしっかり体重が乗っていることで
腕だけパンチではない威力を伴っている(上/左端)。

相手は無重力になり倒れていく(上/真ん中から下/真ん中まで)。

ここで見ているだけでは素人だ。
アントニオは、相手が倒れない場合に備えて
すぐ左フックを入れるべく態勢を移動させていることが分かる
(下/右端)。

スウェイからのカウンター。
これはしつこいくらいに練習した技である。
道場でのフルコンの稽古でこれが出てしまった際は、
<フルコンではそれはやらない方がいい>と線引きを理解させた。

010912g.jpg

こちらのウィニング・ショットは教えたものではなく、
幼児期から本人が得意にしていたもので、
フルコンでは使えない技である。これも遂に本人が嬉々として
実戦で披露することになった。

この日は全試合を通して、この技で四回、ダウンを奪っている。

接近戦での最中、冷静に本人はこれを狙っている。
それをどちら周りでやるかを計算し、
その周りに応じて脚の手前を変えている(左端)。

左ストレートを打つと見せかけて(左から二枚目)、
勢い良くものすごいスピードで回転する(左から三枚目)と同時に
左腕をマッハのスピードで回転させる(右二枚)。

010912h.jpg

離れた位置や間合いを意識している中では
相手はこれを防御できるが、
接近戦の中、既に間境を超えている位置で
マッハのスピードでこれをやられたら防御できない。

腕の回転に劣らず、しっかりとアントニオの目(顔)も相手側へ向いていく
(左端)。

そしてクリーンヒット。
その瞬間、アントニオの顔と目はしっかり相手に向いている(左から二枚目)。
強烈な裏拳を食らい相手の下半身は浮き上がり、
瞬間、脳しんとうを起こす。

一瞬、意識が飛んでいる間に
〜回復する0コンマ数秒の猶予も与えぬ間に〜
アントニオはフォローの右ストレートを放つべく
身体の回転の原理のまま、右を放つ態勢を既にとっている(右端)。

010912i.jpg

相手が0コンマ数秒の後に回復して
辛うじて反撃の右を放つよりも速く
アントニオの右ショート・ストレートが顔面のやや下を捉える(左端)。

相手の右は虚しく宙を彷徨い、脳が揺れ無重力状態になる。
既に脚にダメージが来て、両腕もだらりを彷徨っている。
あとは倒れるだけの状態(残りの三枚)。

それでもアントニオは万が一に備えて
左ショート・アッパーを出せるよう準備している(右端)。

実際にはこの後、さらに左ミドルキックを出している
(当てずに済ませた。自然に追い打ちの、さらなる追い打ちを
 用意している点が、ダモシも舌を巻いた)。

010912f.jpg

こちらは相手の右ストレートをかわし、
それに対する右のカウンターブローを決めている図。
カウンターの練習はまだまだフェーズ.2の段階である。
応用で様々なカウンターを練習し始めている。

010912l.jpg

そしてこれが試合一週間前に、
ダモシが<念のため一つ、これも覚えておこう>と伝授した
ジャック・デンプシー伝説のショベルフック。

ショベルカーが砂をショベルすることをイメージして教えたところ、
一発で理解して、まずは第一段階レベルを会得したアントニオ。
いきなりそれを実戦で出すとは思わなかった。
むろんまだ第一段階で身体がいささか流れてはいるが、
体重はしっかり乗っている。

これが仮に相手がヘビー級で身長差がさらにある場合は、
アッパーになるため、アントニオの最軽量/最低身長の
ディスアドバンテージは、フルコンほどはなくなり、
逆にアドバンテージになってくる。

その他含めて多くあるが、あと一枚。

010912e.jpg

この写真を見れば分かるが、ボクサーになっている。

果たして、いよいよ今年はライセンスをとり、
ボクシングの全国大会へいきなり挑むか否か。
状況を見て検討したいが、
アントニオ本人はグローブがどうやら好きなようだ。
ムエタイにも興味を示している。

空手においては、カンフーやテコンドー等との異種格闘技戦。
グローブ系においては、ムエタイとの異種格闘技戦。
これらは大いに夢を感じるところである。

抜群である。想像以上に、アントニオはグローブが上手かった。
上手いのは分かっていたが、
実戦では初のため、やってみなくては分からなかったが、
たいへん上手かった。闘い方が上手かった。

特にダモシからすれば、大人の実際のヘビー級とフライ級では無理だが、
子供の領域で一定重量範囲内の差であれば
小さい方にもアドバンテージは生まれるということである。
それはフルコン以上に顕著になるだろう、と。

まずはグローブ系デビューで優勝。一冠。

そして本領のフルコン。

ニュー・アントニオのお披露目。
スタイルをさらに変えてのお披露目。

全試合、秒殺の一本勝ちで優勝と相成った。

過去最高のスピードとキレは、もはや稲妻。

しかも決勝は、念願の打倒ヘビー級。
体重で10kg以上、身長でも10cm程度の差。
これはこの日のアントニオにとって
何のディスアドバンテージもなかった。

決勝のヘビー級との試合は、開始2秒08で左ハイキックで技有り。
さらに数秒後、
遂に実戦で初となる<信玄堤>披露。
惜しくも外れたが、その直後、またもや左ハイキックを決めて
ストップ(技有り)。合わせ一本でKO勝ち。

ウィニング・ショット以上に、全体的な闘い方と動きである。
この点でニュー・アントニオに取り組んでいた
マイナーチェンジのフェーズ.3が、ここに完成した。

むろん、まだまだ、である。
もう少しこういうポイントでこういう技を
という不十分は一杯、ある。

まだまだ微妙なポイントのズレはある。

それらを三月のこれまた全日本までインプルーヴしなければならない。

010912k.jpg

フルコンから一部を掲載。

<さあフルコンだ>。

ダモシはフルコンが始まる前に、観客席で後輩に行った。
<頼むよ。降りてきてくれよ>。

過去二度の代々木国立の際、
後輩はスタンド(観客席)で応援してくれていた。
そこでは内容は別として、
結果としては望むべきものが出なかった。

鬼門。

その後輩は、

<彼と東京ドーム行くと巨人は勝てない>

<彼とヤンキーススタジアムに行くと、
 ヤンキースが負ける>

という、暗黙の危惧がある。

グローブの闘い時には彼はまだ会場に到着していなかった。

彼が来た後、
<おい。まずはグローブ、優勝したぞ>と
ダモシは言ったのだが、内心、
(フルコン、大丈夫かな・・・彼が来てくれた時、勝ってないんだよ)
と感じていた。

だからこその、
<下に降りてきてくれよ>だったのだ。

彼はフルコンの試合が始まる際、下に降りてきて
アリーナでコートの近くでアントニオを応援してくれた。

これで、二冠。

いよいよトリプルクラウンが視界に入る。


*****


だが、結論からいえば、無念。三冠ならず。

<型>。
逆にいえば、これがもっとも安定していて、
優勝を計算でき、最も可能性の高いものだったが、
これを落とした。

完全なポカ、である。

が、それは小学二年生の彼にとって、
あまりにもかわいそうな結果だった。

実は試合順。

朝の開会式後すぐにグローブが先に行われた。

フルコンは〜なぜか二年生の部は〜この日のメイン級で、
最後の17時。

型は進行上、午前。

ところが、ここでアントニオだけがいつものごとく
複数に出場することで問題が生じた。

グローブのトーナメントが滞っている間に
〜他の学年はすべてスムーズに終わったのに、
 二年生だけ上記の事由から大モメにモメ
 進行が大幅に遅延した〜
型の二年生のトーナメントが始まってしまったのだ。

ワイフが途中で別のコートで始まってしまった型の委員へ
事情を説明に行く。

グローブの件は前記の通り刺客が不意に現れたことで
トーナメントの試合もさらに増えてしまったアントニオ。
当然、当該学年の試合進行も大幅にズレる。

二年生の型の試合は、アントニオの番になって待ちに入り、
そのまま延々と待っていることになる。
その隣のコートで大騒動とアントニオの魅せる要素満載の
激しい闘いが展開されているという異様な状態になった。

<何試合やらせるんだ!何試合!>というダモシの怒号が飛び、
周りのエキサイティング且つ判官贔屓の歓声が混じる中、
ボコボコの闘いを終えて優勝したまま、
その足ですぐ隣のコートへ行って一分以内にすぐ
型の試合に入り込んだアントニオ。

スタート。

最初に動きでもう勝っていることはすぐに分かる。
あとは普通にやって決勝まで行って
最強型をやれば負けないと誰もが感じたその瞬間、

アントニオの動きがぴたりと停止した。

凍りつく応援団、ワイフ、ダモシ、館長。

忘れたのである。型を忘れてしまったのである。
その時点でアントニオの型は終了。

無念。型においては、もはや滅多にあり得ない一回戦負け。

さすがの館長でさえ
<しょうがない>と認め、誰もが
グローブの苛烈な闘いの直後の型に同情した。

が、ダモシは怒った。

<ちょっと来い>とアリーナの隅に、
大泣きしているアントニオを連れていき説いた。

<慌てないでいいよ、と審判も言ってくれていたし、
 俺たちも言っていただろ?
 なぜ慌ててやった。少し呼吸を整えて、
 頭で型を反芻してから、型の試合に入っても良かったんだ。
 なぜ、あそこで、安易に大丈夫だと慌てて型の試合に入った>

と。


<いいか?動き出したら、フィールだよ。Feel。感じる。
 だが、勝つ為に何をすべきか、狙う技、型の反芻などは
 頭で考えなければならない。ThinkとFeelをもう二年生なのだから
 自分で切り替えろ!>。

鬼だろう。
他の親御さんからすれば鬼だろう。
館長ですら、<しょうがない>と、
この過酷なシチュエーションに理解を示してくれた。

だが、全員が全員、<しょうがないよ>では、いけないのである。

そこはやはり父親だけが、叱る権利を持つ。
否、父親こそが、厳しく説かなければならないのである。

過酷なのは、分かっている。
だがそれを分かっていて出るのだ。
エクスキューズはするな、と。

そして怖いのは、一度、忘れてしまうと、
それが傷になることである。

昨夜、自主練習で、道場で<やれ!>と
その忘れた型と共に、
<試合の再現だ>と勝ち上がるごとにやるはずだった
一級品の型を試合のつもりで演武させた。

それのすべてが終わり、<よし。優勝だ>とダモシは褒めた。

"その場では"父親は、叱らなければならない。
あの局面においてでも叱らなければならない。
いいよいいよ、しょうがないよ、は、存在しない。


アントニオ、三冠ならず。

という結果で、2012年最初の大一番を終えた。


*****


010912a.jpg

型のポカがあったことで、
本人は、よりフルコンに燃えただろう。燃えていた。

フルコンの試合前、ダモシは言った。

<フルコン、絶対獲れ!
 皆も見ている。ここは勝ち方も大事だぞ。
 魅せる要素で、カッコ良く勝て。優勝、獲れ。
 内容と共に結果も優勝したら、
 本当は三つ優勝の場合のモノ、買ってやる。
 さあ、勝って、買って帰るぞ>。

そしてフルコンもまた闘志満点で、勝ち取った。


010912O.jpg

内容もまた、よし。
今回の闘いぶりはまさに信玄の中の<侵掠如火>だった。

加えて、いつものごとく課題もまた見えた。

それもまた信玄の訓示である
<凡そ軍勝五分を以て上となし、七分を以て中となし、
 十分を以て下と為す>の通り。

今回もまた十分の勝利ではない。
仮に型も優勝して三冠をとっていたら
逆に良くなかったと感じる。

NEXTへ。勝っても負けても勉強。
さらなるインプルーヴへ既に昨晩から始動している。

帰宅後、館長からメールが届いた。

長い始動歴を持つ館長だが、

<これまでに教えてきた弟子の中で、小学二年時で比べれば過去最強だ>
と。

本人に見せると喜び、
アントニオはそれを壁に貼った。

そして勝負ごと。
これはやはり万事が思うようにいくということはない。
改めて、それを感じた。

落とし穴は、そこかしこに存在するということである。

失敗は多くの糧になる。
フルコンも多くの失敗を経て今があり、
今もまた今後失敗が生まれ、
そこでさらにフェーズが上がっていく。

グローブも、次回は苦杯をなめるかもしれない。
仮にボクシングに参戦したならば、
その場合でもボクシング専門にやっている子供の方が
一日の長があるのは当然だ。

だが、敗北からしか基本、学べない。
それを前提とし、勝利からもなお、課題が浮き彫りになる。
その両面があったのが、今回である。

ダモシも何十回と映像を見直している。
課題を徹底的にクリアにしてインプルーヴさせるためだ。

それはダモシの役目であり、レスポンシビリティである。

明日は戦勝報告と御礼も兼ねて、武田信玄に逢いに
ファミリーで甲斐国へ行く。

武田神社、恵林寺は基本である。

あまりの大会後の疲労で、ふだんは大会当日に掲載するのだが、
今日まで出来なかった。

それだけ疲れたわけだ。今もまだその疲れは消えていない。
明日、甲斐国でほうとうを食して疲れを癒せるか否か。


次へ。勝って兜の尾を締めよ。



posted by damoshi at 00:02| スポーツ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年12月26日

The Big Disappointments



年末の大一番で、大きなディスアポイントメント。
LIVEを我等に、の願いは虚し・・・。

何だ、今年の有馬記念はいったい、と。
あまりにもアグリーなレースである。

ペルーサが出ていたら、ペルーサですら楽勝では?
とも思えなくもないほど、だ。

独禁的社台の隆盛は、好感を持てない。

今回のレースも、臭う。たいへん、臭う。

明らかにオルフェーヴルを勝たせるレースになっていた。

中山競馬場。
有馬記念は第10R。
その二つ前の第8R。距離は同じ2,500m。

むろんタイムがすべてではないが、
陸上競技や競泳などはタイム競技であり
持ちタイムは絶対的な秤になる。

その第8Rは、
<3歳以上1,000万円以下クラス>の芝2,500m。
出走頭数は、有馬記念より多い16頭。

本命のヒールゼアハーツ(三歳)は11戦2勝。
ようやく先月末に500万下クラスを勝ち上がったばかり。
最下位人気はギムレットアイ(六歳)。
通算戦績は39戦して、わずかに3勝。
最後の勝利は一昨年の夏まで遡らなければならない。
GIはもとより重賞レースにすら出たことはない。

要するに、そんな面々のレースだ。

一着は五番人気コスモロビン。
上がりは34.7。走破時計は2分33秒3。
本命ヒールゼアハーツは0.3秒遅れの三着。
最下位十六着クワイアーソウルの走破時計は、
コスモロビンから2秒5遅れた2分35秒8。

16頭で最も遅かったクワイアーソウルが2分35秒8で、
<2012年12月25日・中山競馬場・芝2,500m>
という、有馬記念とまったく同じ条件を駆け抜けている。
要するに、1,000万クラス以下の16頭全頭が、
2分35秒8以内で走ったわけである。

最上級レベルの馬がオールスターで勢揃いし、
ニッポン競馬界の一年の大トリとして苛烈なる闘いと
ハイレベルな<魅せる要素>を披露するべき有馬記念。

勝ったオルフェーヴルの走破時計は、2分36秒0。
1,000万以下クラスのレースの
最下位の馬よりも遅い勝ちタイム。

なにをしとるのか! と言いたくなる。
これを"臭い"と言わずして、何と言えば良いのか?
ケーフェイか?ブックか?

そしてブエナビスタとヒルノダムール。
この二頭は完全にしてやられた。
ブエナビスタは"某陣営"の包囲網によって
完全に内側に封じ込められた。

鞍上藤田も忸怩たる想いだっただろう。
完璧に内側に封じ込められて、天皇賞・秋同様に前が開かず。
終始ブエナビスタをマークしていたヒルノダムール(六着)も出られず。
まったくレースになっていなかった。

最後の<ヨーイドン!>で"レースになっていた"のは、
オルフェーヴル以下、エイシンフラッシュ、トゥザグローリー、
ルーラーシップ、トーセンジョーダンの上位五頭まで。

完全にヒルノダムール(六着)とブエナビスタ(七着)は
ワナにハメられた格好である。

そしてこれ、極論だが、
オルフェーヴルと、あまりにもラッキーでハマったエイシンフラッシュ以外、
全力を出すことができたのか?
と疑問を覚えるレースである。

キナ臭い。実に、恣意的な感じを受ける。

『有馬記念』がコレでは、もうどうしようもないぞ・・・。
社台系の一極集中と、こんな"しょっぱい"所作を施しているから、
どんどんどんどん売上も観客も減り続けているのではないか?

ほとほと、LIVEを我等に!

さふ叫びたい。

これでは、あまりにもブエナビスタが、かわいそうだ。
こんなふうに仕組まれていたのなら、出ない方がマシだった。
JCで花道の方がよっぽど良かったではないか。

それにしてもオルフェーヴルとトーセンジョーダン・・・。
このあたりは勝っても盛り上がらない典型な気がする。
この二頭が勝つと、何となく場のアトモスフィアが落ちる。
祝福的ムードがないのはなぜなのか。
しかもオルフェーヴルは三冠馬である。
ダモシもまったくこの馬にシンパシィを抱けないのだが、
なぜなのか。

<八百長>とまでは言うつもりはないが、
有馬記念はもうこういうレースだということに割り切る
としたら、それはあまりにも悲しいだろう。

何のために年末の大一番を皆が期待するのか。
<興行>には違いないから、ある程度の操作はあろう。
そのバランスをどう判断するかだが、

ゴールという絶対的な勝敗の決め手が存在し、
そこに辿り着くためには
これもまた絶対的な秤の一つであるタイムがある以上、
やはり今宵のタイムはどうしても納得がいかない。
理屈に合っていないのだ。

有馬記念は、1,000万クラスの馬が勝つレースである
ということが言えるわけで、
仮に五輪の競泳男子100mで金メダルを獲った選手の
勝ち時計が、ニッポンの中学生の全国大会予選に出た
全員のタイムより遅かったらどうなるだろうか?

極論すれば、それと同じなのである。

しかもタチが悪いのは、競馬は人間が操作するものである
という点だ。

走るのは動物だが、その上には人間が乗っている。
プロの騎手が乗っていて操っている。
位置取りやペース、タイムを作り出そうとすれば
出来ないことはない。

操作して、1,000万クラスより遅いタイムを出したとすれば、
全騎手、今宵、恥じるべきであり、
オルフェーヴルを最強馬とは、ダモシは断じて認めない。

こんなことをしていては、あかんよ!


*****


お粗末でアグリーでしょっぱいスポーツは夜も続いた。

フィギュアスケートの全日本選手権/女子だ。

浅田真央が勝ってまずは大団円なのだろう。
だが、浅田はこの今のシチュエーションにあってさえ
出てきたのにも関わらずトリプル・アクセルにトライしない。
失うものはないという状況でなぜやらないのか。
トライしなければ世界では闘えないのに、
いつまでやらないつもりなのか。
ミス連発、感動のない演技、冴えないコレオグラフィーは
相変わらず。

お母さんの死を受けたあとでも、
こうして闘いの場に出てきた精神力は高く評価するが
だからこそ思いきった演技をして欲しかった。
これでは今後も期待できない。
殻を破って欲しいのだ。

ゴッドハンド大山倍達は言っている。

<ポイント稼ぎで勝ちを拾うよりも
 全力を尽くした惜敗の方が男らしい>

と。

浅田真央は男ではないが、勝負の世界に身を置いている
競技者という意味では同じだ。
フィギュア・スケートは芸術だけではない。
あくまでも勝ち負けを競うスポーツという要素も強い。
ならば、なぜ攻めない。

今後もポイント稼ぎを続けるならば、キム・ヨナのような選手が
出てきたら、五輪では到底勝てないだろう。

村上カナーは、史上最悪のKYに名を連ねずに済んだようだ。
土壇場で本人が察知したか。
ド派手に転んでくれてダモシ大喜び。

あの、破顔一笑がワザとらしくて、美しくない。
真の天真爛漫はああいう破顔一笑はしない。
楽しむだけが目的ならば競技会に出て来なくていい。
観ていて感動がない。
本人だけが楽しくてしょうがない。それでいい。
そういうふうに若いからまだ思っているのだろう。
だから人の心を打たない。
勝たなくて良かった。
あんな低レベルで全日本を勝ってしまったら、
それこそ村上の将来はない。

そして鈴木だ。鈴木はよろしくない。
今シーズン絶好調なのに、勝負どころの、
<この勝負、絶対、とれ!>という局面で
〜グランプリ・ファイナルと全日本〜
ことごとく悪い癖(=我欲が露出してガチガチになってしまう)が
出てしまい、ことごとくジャンプでミス。
どうしようもない。

勝てる試合=勝ちゲームを、きっちりモノに出来ないようでは
世界選手権はおろか五輪も無理だ。

果たしてこの三人。浅田真央、鈴木明子、村上カナー。
観ていて、何のために毎度大会に出てきて、
何のために滑っているのか、さっぱり分からない。

安藤美姫の反骨心、闘争心、そして明確な方向性と
目的に対する己の所作のクールさが、
この三人にはまるで、ない。

せめて鈴木くらいは<魅せる要素>にウェイトが高かったはずで、
それゆえに我欲抜きでフローに入り込めて
最高の演技が出来ていたのに、
勝負どころになるとこの人は変な欲が露出して失敗する。
何度同じことをしているのか、と。

もともと浅田真央には<魅せる要素>は皆無で、
そこがダモシがまったく認めていない点の最たる部分なのだが、
今回のシチュエーションにあってもなお
それをやらずに、ポイント稼ぎに走ってしまったのには
大きなディスアポイントメントを得た。

このシチュエーションでこそ、トリプル・アクセルに果敢に挑めば、
たとえそれで失敗して、優勝も逃しても、誰も責めないし、
その方がよっぽど感動を生む。
観ている人に対する教示ともなる。

LIVEを我等に!

そして、
あらゆるパフォーマンスには
必ず<教示>がなければならないのである。

そこのところが、まだまだ幼い。自分が自分が、になっている。

こりゃあ、厳しいな・・・と感じざるを得ない。

村上カナーなんぞは、まだまだ論外である。

フィギュア・スケート女子よ、もっと情念を込めんかい!
己が内面を投影する演技をせんかい!
滑りながら嗚咽するくらい、やらんかい!

思い切り、喝っ!

である。


*****


クリスマスのスポーツ興行。いずれも大一番。

しかしながら、
有馬記念とフィギュア・スケート全日本選手権(女子)は
これはもう国体レベル以下と断じよう。

それほど、今年のそれは酷かった。

ダメなものは、ダメっ!

ダメだから、ダメとはっきり言おう。

この時期、大一番はやらない方が良いかもしれない。

そもそも皆、もう疲れているのではないか・・・。



posted by damoshi at 02:00| スポーツ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年12月12日

Wiiは手に入ったか


競馬のGI-阪神JF。
フローに入りつつあった武豊だったが、
昨晩の懸念通り、一番人気になってしまったことで微妙なブレが生じた。
やはり入っていたフロー状態の中で、勝ちゲームだったが、健闘虚しく三着。
勝った馬が強かったのだが、二着はあり得ただけに、
フローへの微妙な我欲の入り込みが悔やまれる。
それでも馬の実力的にはよく頑張った三着といえるだろう。
まだフローの埋め合わせはできる頃合いだ。
残り二戦。24年連続GI勝利を得るべく最後まで頑張って欲しい。

フィギュアスケートの鈴木明子。
浅田真央の実母死去を受けての欠場により、
ジャパンとして一本かぶりになった。
今回のグランプリ・ファイナルは鈴木に勝ち運がついていた。
実力的にも勝てる大会だった。
が、あまりにも意識過剰になったように見受けられ、
鈴木本来の動きがまったく出来ずに二着に破れた。
この二位は、内容的には完敗といってよい二位である。

一方、男子羽生結弦のパフォーマンスは、勢いである。
モメンタムが最高潮になった結果である。
出たての浅田真央や村上佳菜子のような世界だから、
まだまだ、これからだ。今回は出来過ぎだろう。

サッカーの柏は、
引き続きアトモスフィア支配とモメンタム・キープを続けている。
あともう少しでフロー状態に入り、なでしこのような
パフォーマンスをしでかす可能性は捨て切れない。



*****


2011年シーズンの今年は全体を通して、

・ズル
・誤審

もあった上、

・クジ運の悪さ
・度重なる無駄な敗戦(反則負け)

が多々見られ、

基本的にはアトモスフィアがまったく取り巻いていなかった。
望むものではない結果が多かったアントニオ。

だが、敗北は確実に糧になっている。
都度、アジャストすると共に、常時、ポイントのズレの解消に努めてきた。

その流れの中で迎えた
過去最高の優勝賞品総額を提示した今季最終戦。
部門別で、選抜選手と推薦出場選手だけで争われる選抜優勝大会。
異種格闘技戦的な様相もあるアウェイでの闘い。

四部門の異なるバトルが一日かけて繰り広げられる。
アントニオのいつものフルコンタクトはもとより、
防具をつけたもの、寸止め的なもの、グローブをつけたキック系。
アントニオはフルコンタクト部門の選抜優勝大会への出場である。
フルコンタクトがこの日のメインであるから、
朝から到着して開会式に出た後、時間とどう向き合うかも重要になる。

舞台は、ダモシゆかりの武田信玄の甲斐国。
アウェイでありながら、
アトモスフィアは完全に開始前からダモシ側にあった。
そして、遂に封を解いた恵林寺の勝守と
宮城県から届いた塩竈神社の"うまくいく"御守。

さらにはラックも今宵は最後の最後でアントニオ・サイドに来た。

危険な試合。
顔面パンチを出してしまい反則をとられた終盤。
圧倒的に攻めていながらも
なかなか技有りをとれないじれったり展開の中で犯したミス。

しかも通常の試合であれば、反則x1回は"注意"のところ、
この大会ではいきなり"技有り"が相手に転がり込んだ。

<えっ?>と思うが、残り時間は10秒。
(優勝どころかこのレベルで姿を消すのか?)と致命的な状況に
もはやセコンドのダモシは力なく
<もうKOしかないぞ・・・狙え>と言うだけとなる。

だが、残り3秒で相手は致命的なミスを犯し、
顔面パンチを入れてしまった。
これで技有りをアントニオが得て、ポイントでは同点になる。

こうなれば勝ちだ。内容では明らかに上回っていたからだ。

(助かったぞ、これは・・・)。

当然、判定は全員がアントニオに旗を挙げた。
最も危ないとりこぼしの局面を凌ぎ切った。

これは、ラックと見て良い。

(ようやく最終戦に来て、運も味方してるか?)と感じるダモシ。

決勝戦。

相手は、出た、ヘビー級。
いよいよヘビー級を打ち負かす時が来た。

相手は、寸止め系の部門と防具部門の双方を制覇した。
三冠を狙ってきているのは明らかであった。

<勝たせるわけにはいかないぞ>とアントニオに声をかけるダモシ。

<バチバチのフルコンタクトが出来るのか?>と。

打たれ強さ(と、打たせない鉄壁のディフェンス)は、
防具だの寸止め系だのをベーストする選手に負けない。

すべての試合でヘビー級の巨体にモノを言わせたプレッシャーと
突進力で相手を圧倒してきた相手。
一発の重みは確かに、ある。

だが、絶対にアントニオが本来の動きを本気でやれば
ついてくることはできない。

ゴング。

もうヘビー級はそれまでの闘いのリズムが完全に失われた。

疾きこと風の如く、まさに早送りコマ送り的世界観のスピードで、
完全にヘビー級の視界から姿を消した位置から
徹底的なローキックを繰り出すアントニオ。

ぶちっ! べしっ!

鋭いローが下半身を襲い、

どすっ! ずぼっ!

というピンポイントのパンチが腎臓を襲う。

ボコボコの世界が展開された。
苦し紛れにヘビー級は、<柔道か?>と見紛うように
アントニオの首筋の道着を掴む。

審判、怒る。注意1。が、技有りにならず。

さらに猪突猛進してくるヘビー級を
ことごとく交わして蝶のように舞うアントニオ。

完全にアントニオの姿を見失ったヘビー級。
気づけば背後に回られている。
苦し紛れにその巨大なヒップと背中でアントニオを押した。

審判、怒る。<背中で押さない!注意、イチ!>。
都合、注意2。

完全にガードが下がっている。
セコンド席からダモシは
<左ハイ、入るぞ!左、上、空いてるぞ!>と声がけするが、
応えないアントニオ。

ローで攻めると、ヘビー級、たまらず場外へ逃避。
審判、怒る。
<はい、場外!注意、イチ!>。

ここまでくれば技有りだろ?と思うが、
もう圧倒しているため、何も言わないダモシ。

と、突然、ヘビー級は完全に対決を避けた。
セコンドの指示が飛んだのだ。
<離れろ!行くな!>と。

バカか?と感じるダモシ。

これは寸止めじゃないんだぜ?と。
フルコンだぜ?と。

離れて下がり逃げながら、寸止めスタイルの斜め立ちをするヘビー級。
防具系や寸止め系のやりそうな常套手段。
こうしておいて
相手が攻めてきた際に、一瞬の隙をついて、
まさに気を合わせて、一発ポイントをとるという算段だ。

ここでアントニオも追うのだが、
ダモシはひと際大きな声で叫んだ。

<追うな!来させろ!>
<行かなくていい!>

最も危険な状況なのである。
ここで出会い頭の一発を食って、それが技有りをとられようものなら
負けになる。

<勝ちにいく>冷静な所作。

ダモシ的にも珍しいことだが、
アントニオもまたこの指示をきちんと聞いて
冷静になって、<優勝>をとりにいった。

深追いしなかったのである。

前進型、オフェンシヴなスタイルのアントニオのこと。
ここで、寸止め系の妙な策略にハマって
ぽこんと一撃必殺的な重みのない技であっても
技有りをとることを得意とする面々に
それを入れられて負けては悔やんでも悔やみ切れないのである。

初期の頃、そのルールで散々、苦渋を舐めているから、
それが生きていた。
彼ら、寸止め系/防具系の戦法の一つである
バチバチやらないで、逃げ腰で闘い相手が入ってきた瞬間に
ぽこんと一発入れてポイントをとるスタイルは、

とっくのとうに、お見通しなのである。

ここで行ってはいけないのである。

逆にアントニオに言った。

<そうなってこそ、猪木ばりに、来い来い来い、と挑発するんだよ>

と。

ダモシ、怒る。

<何だ、その立ち方は!>と。

テコンドーか、と。

相手と相手セコンドと観客に向かって叫ぶ。
センターコートでの試合だ。全員が観ている。

<フルコンだぞ!フルコン!これはフルコンだぞ!>。

それでも行きたいアントニオは、隙をついて近寄って、
最後に強烈なローキックをまたぶち込めば、
バスーン!という鈍いサウンドが広がった。

その瞬間に、ゴング。

判定はもちろん全員がアントニオ。

賞品のかかっていたKO勝ちは一つもなかった上、
秘技"信玄堤"も、さすがに容易に出せる相手は一人もいなかったが、
全試合、相手に審判の旗を一つも揚げさせず、優勝。

退場時にアントニオを迎えたダモシはまた叫んだ。

<フルコンだ、これが!>と。

この決勝は、特にもはや異種格闘技戦の世界。

異種格闘技戦でありつつ、舞台もアウェイ。
それでも、己が本領のルールはフルコンタクト。
さらには己が最も欲しいモノが賞品でかけられている
という意図的プレッシャーの中で、ここを勝ち切ったアントニオ。

よくやった。

まったく見ず知らずの他団体のコドモたちが
<おめでとう>と駆け寄ってきたのには驚いたが、
どうやらあのヘビー級に破れたコドモたちだったようだ。

表彰で女性係員たちもアントニオに笑顔で喜んでくれていた。

ダモシと違い、他人に好かれるアントニオ。

優勝して泣いているアントニオに<泣くな!>と言って
すぐに誰もいないところへ消えたダモシは、
泣いた。

そして、すぐにウルトラの母にメールをした。

決勝直前、久しぶりにあの台詞も出た。

<念願のWiiが目の前だぞ。ここを狙い通り勝ち切ることが大事だぞ。
 ここまで来たら勝ち切れ!
 例のアレだ。いいか? 死にもの狂いで、やれ!
 この勝負、絶対、とれ!>


今宵の流れは、フローは異なる。
これにフローが加われば、もっとたいへんなことになるだろう。

だが、確実にアトモスフィア支配があった。
これは朝からもう道中からそうだった。
そして、ラックがすべて重なった。

モメンタムは一年を通して同じ高いレベルで彼は維持している。

要は、ラックも今回は味方についた上に、
アトモスフィア支配も加わったということだ。
それでもまだフローは加わっていない。

やはり、今、強いよ?と感じたのは間違いではなかった。

だが、当然、試合の中には課題は山ほど、残る。
年明け初戦の三冠戦へ向けて
まだまだ今のままでは甘くない。
もう少しだ。もう少しまだポイントがズレている点がある。

ずっとその修正を施している効果は明らかだが、
まだまだズレている。
その修正をさらに施すと共に、
秘技をさらにパーフェクトなものとしていくことが必要だろう。

今宵も楽勝は一試合もない。すべて紙一重であり、
機微によってどちらに転んでも不思議ではない。
毎度のことである。

今宵は、こちら側にすべてが向いた。
だが、その裏にあるものは、努力である。

今年の最後の闘いで、見事、優勝。
今年は最初の闘いでも優勝。
全体を通して不遇だったが、始めよければヨシであり、
終わりよければ、すべてヨシとしようではないか。

今年の闘いは、これにて終了。

来年はすぐもう、ある。1.9だ。
そこへ向けて正月返上で特訓だ。

かくして彼は、過去最高の優勝賞品である
念願のWii(ゲーム機本体)とマリオカート(ソフト)を今宵手に入れた。
早速、二人で遊んだ。

中央フリーウェイが大渋滞するため、
優勝表彰を受けてトロフィーと賞状を受け取ると
閉会式と特別賞の発表を待たずに
館長と共に甲斐国を後にしたダモシ軍。
消えるのもまた、疾きこと風の如しである。


一年365日のうち、数日しかない、素晴しい一日だった
と忌憚なく言えよう。

もう爆睡である、今宵は。
大会ごと、体重が減る。ものものしい心労である。

最も重い賞品がかかっている中で、
それを狙い通りに獲ったアントニオには
忌憚なく敬意を表したい。

高い高い出費だが、
もう、買ってあげたくて買ってあげたくて・・・
といった心持ちのリアル・バカ親だから、
嬉しい出費である。


優勝。

これはやはり、とてつもなく気分が良い。


:::::


121111bb.jpg

大きなアリーナだった。会場前で。

121111aa.jpg

安堵の表情か。
トロフィーもまた、過去もらったそれの中で最大サイズだ。


posted by damoshi at 01:38| スポーツ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年12月10日

フローか、武豊



(以下、ケイバタイムスより出張掲載)


幸いなことに主役である競走馬はまだ二歳。
まだ実績も伝説もなければ、
観る側が持つ思い入れもさほど高まっていない頃合い。

となれば、一般的なゼネラル・インタレストの度合いが
相対的に高い要素という意味でのフォーカスは
<武豊の24年連続GI勝利なるか否か>であろう。

むろんゼネラル的度合いは低いが
<松山厩舎初の牝馬GI制覇なるか否か>もフォーカスされる。

騎乗予定とその馬の実績でだいたいのイメージがつかめる
古馬のGIで見れば、今年の残りGIレース(今週含め三戦)で
武豊が勝つチャンスは有馬記念しかない。
だがそこで有力馬に乗ることができる機会があるとは思われない。

馬に実績がなく、全馬チャンスがあるといっても過言ではない
二歳のGIである今週の阪神JFと来週の朝日杯FSが
武豊にとっての好機と見て良いだろう。

◆大外枠18番になってしまったという枠順の不利
◆近年の絶不調と、有力馬への騎乗以来の激減

に加えて、あらゆるアトモスフィアとフローが向いておらず、
本人のモチベーションすら落ちているように映る。

そんな中、ここ二週、<ん?>と感じている。

先週のジャパンカップ・ダートの当欄での予想でも、

<武豊が"ちょっと"フローに入ってきた感があり
 何かしでかす可能性を否定できないラヴェリータを▲>

と書いたが、
その基盤は二週前のジャパンカップ。
トレイルブレイザーを11番人気ながら五着に持ち込んだ武豊。
一瞬、<ん?>と思わせた。

そして先週のジャパンカップ・ダート。

10番人気だったラヴェリータは最後の直線で
一瞬見せ場を作っての四着に入り込んでいる。

最後の直線に向いた瞬間の位置取りとムードは、
<あ、勝てるぞ?これ>と感じたほどだ。
馬自身の実力をめいっぱい引き出しての四着は、
武豊の本領といえた。

最後の直線の一瞬の見せ場の際の鞍上の武豊のポスチャーは、
全盛期のそれを想起させたほど。

これはおそらく完全に<フロー>に入っていると見て良い。

ジャパンカップとジャパンカップ・ダートという
ここ二週の武豊のポスチャーは、
この阪神JFで24年連続GI勝利記録を更新するための伏線である
フロー状態にあると見て、差し支えがない。

あとは本番で、本人が意識過剰になって<フロー>を崩さないことだ。

逆に大外枠という不利を得た分、フローはキープできるのだが
怖いのが<一番人気>になってしまうこと。

周囲の、『ここで』という過剰な期待と思い入れが
票に直結してしまった場合に起こる
過大評価の一番人気。

今回の馬は本来、一番人気にはならないだろうが、
"なってしまう"ことへの危惧。
できれば五番人気程度に留めない。

"一番人気になってしまう"こと。
これこそ、大外枠云々よりも怖れるべきことではないか、と。

とまれ、LIVEを我等に。
常々、求めていることである。

スポーツである。競馬もスポーツである。
ギャンブルであるが、スポーツでもあり、
入場料をわずかばかりでもとって"見せて"いる興行である。

ならば、LIVEを我等に、が求めるべき必須条件となる。

要するに、感動を我等に、である。

好き嫌いは別として、
今週の興行で、
より多くの人のシンパシィと祝福と
感動が得られて、良い気分になる勝利者は、武豊である。

純粋に競馬としてだけで見た場合、
大外枠を嫌って軸には選ばない武豊xサウンドオブハートを◎とする。

以下、

〇ラシンティアンテ
▲ジョワドヴィーヴル
△アナスタシアブルー
△エピセアローム
注イチオクノホシ


posted by damoshi at 15:19| スポーツ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年11月19日

日本シリーズゥ・・・



今宵、名古屋が差し替えし3-3のタイ。
日本シリーズは明日の最終戦へもつれこんだ。

今宵、ケイバタイムスから出張掲載。


:::::


今年のプロ野球日本シリーズは、
どうにもこうにも<粛々と>行われている感が強い。

一応、ゲームを通してずっとではないが、
全試合目を向けている。

ウィークデイ。
仕事から戻って「どうなっているかな?」とテレビを付ける。

1-0だの、2-1だのが毎試合。

都度、いささかネガティヴな意味での『またか・・・』
というため息が漏れる。

昨年、史上最も地味といわれた日本シリーズの
千葉vs.名古屋は面白かった。
痺れるダイナミズムがあった。

投手戦やロースコアが悪いというわけではない。

一つには、名古屋のファンには申し訳ないが、
名古屋ドラゴンズが絡む試合は端的に言ってしまえば
<面白くない>。

昨年は千葉が面白かったためスリリングな試合になったが、
本来面白い野球をするはずの福岡が
妙に名古屋にお付き合いしている感が拭えない。

名古屋のゲームスタイルに付き合ってもなおタイ。
そこが逆に福岡の強さと見ても良いのだが。

まだ福留やウッズがいた頃の名古屋は面白い野球をしていた。
たとえ一番〜二番に、どうしても「暗い」「陰鬱な」ヒト
に見えてしょうがない荒木&井端がいようとも、
まだダイナミズムはあったのだ。あの頃は。
今の名古屋は、本来的には天然系であるはずの
森野や和田までもが「暗〜い陰鬱なヒト」に映るほど。
おまけに岩瀬などは「真っ暗」だし。
さらには谷繁の声はジャイアント馬場やチェ・ホンマン系の
身長2m以上ある人みたいだし・・・。
そんな谷繁ですら「くら〜い、インウツなヒト」に見えるもの。

そもそも「1-0」野球は嫌いだ。
かつて北海道ハムを散々ケナしたのは
そのスタイルだったからで、
北海道に関しては言ってしまえば
ダルビッシュがいなければ優勝争いは難しいだろう。

北海道嫌いとしては、
<さっさとメジャー行けよ、ダルビッシュ>と邪魔者扱いをしている。

本来、名古屋に対しては、阪神あたりがイケイケ野球で
ギャフンと言わせなければならないのに
監督があの紳士面の真弓ではいかんともしがたく、
いいかげん大阪及びタイガースらしいトンチンカンな監督が
来ないかな?と思っていたら、和田だもの。
こりゃ、ダメだわ、と。常勝を目指しているのか?
おとなしいスマートな野球を目指しているのか?
もっと阪神にはハチャメチャをやってもらい
名古屋のような「1-0」野球を粉砕して欲しいのである。

福岡ならそれが出来るはずなのに、
妙に福岡も福岡でエスタブリッシュされてしまっているというか、
ヨソ行きの野球をお行儀良くしてしまっている。
これ、福岡を観ていて今回思ったのだが、
彼らはやはりプレイオフやシリーズのプレッシャーがかかる試合は
苦手なのだろう。

今年の福岡は相当強いはず。
実際、完璧に名古屋が支配しているこのシリーズで
タイなのだから。
要するに、自分たちの本領を発揮できていない
ヨソ行きの野球をしているのに、
それでもタイであるという。そこが逆に福岡の強さであり、
弱さでもあるのだろう。

福岡は明るくていい。福岡ベンチが名古屋の「暗さ」に支配され、
秋山監督のあの余裕綽々の、常に笑みをたたえた様子が
「暗い顔」に劣化した瞬間、シリーズは完全に名古屋のモノになるだろう。
果たして明日の最終戦。福岡が「くら〜いヒト」にされてしまうか否か。

局面局面では、さすがプロというシリーズだが、
極論で言ってしまえば
どんなスポーツも、<魅せる要素>なくしてはダメなのだ。

誰もがひと目見て分かる。ぱっと見て分かりやすい。
これがお金をとって見せている興行においては
絶対に欠かすことはできない要素なのである。

そこのところ、どうも落合監督は、野球人、監督としては
優秀なのは認めるが、<魅せる要素>が欠けている。
ヒト的には嫌いではないのだが、
どうもあのヒトが野球の監督をやっているときの姿は
好きになれないのである。

もともと名古屋大嫌いなので、そもそも応援していないが。
<福岡よ、めっちゃくちゃに打ちまくって4-0で勝たんかい!>
くらいに思っていたクチであるから、

まったく何をしとるのかぁ・・・と、
相も変わらずの松中には特に呟いてしまうわけである。


久しぶりに夜のゴールデンタイムでニッポン全国老若男女の目に
触れる機会を得たプロ野球なのに、

正直、こんな毎晩毎晩「1-0」野球ではソッポを向かれるだろう。
そして例の阿呆読売の騒動。

いったい野球界は何をしとるのか、と。

野球をまともに観る機会が激減している
現代の幼児や小児が<面白い!>と
就寝時間を延長してほしいと訴えでてまで観るほどの試合ではない。

厳しいようだが。はっきり言って、そうだもの。

逆に"ウチの子"は
バレーボールの女子Wカップに就寝時間延長依頼を申し出てまで視聴した。

親もまた同様で、残念ながら、

プロ野球日本シリーズより、女子バレーWカップの方が、
観ていて分かりやすくシンプルでエキサイティングで
ダイナミズムがあった。

大の野球好きであるダモシですら
外でのオフィシャル事案から帰宅して
リビングへと入ってきて第一声を出す前に、

(どうせまた1-0だろう)と日本シリーズには感じてしまい、

その次に出る家族への第一声が今週はずっと

<バレーはどうだ?>

<ニッポン、勝ってるか?>

だったのは、紛れもない事実である。

<女子、これは正真正銘、強くなってるな>と。

対して名古屋には
<まったく、つまらん野球しよってからに、このボケェッ!>と。



*****


明日のマイルCSは、つまらんレースをしないで欲しい。

先週のスノーフェアリーのような豪快な強さや
やはり三味線を弾いていたアパパネの
一瞬、勝つか?と思わせる見せ場など、要素をちりばめていただきたい。

すべてのプロ興行は、
<魅せる要素>をこそ最重要課題として真剣に取り組んで欲しい。

勝ちゃあいいってもんじゃないんだぜっ!と。
すばらしいものを見せてくれよ、と。

明日の勝ち負けに対して、
きちんとした臨戦過程を踏んできて
且つその過程でのパフォーマンスが良い馬を筆頭にせざるを得ない。

リディルとリアルインパクト、エイシンアポロンの三頭だ。

この三頭の◎か〇かの差は鞍上のみ。

さすがに鞍上・福永のお坊ちゃん、
乗り替わりでの醜聞禍の池添では推せず、

鞍上一貫して小牧太で、いよいよGI制覇か、リディルを筆頭◎とする。
お坊ちゃん割引でリアルインパクトを〇。

状態の良さとモメンタムの継続性から
夏から引き続き使われていて
ここが限度かピークかと思われるミッキードリームを▲

海外遠征のダメージが解消されていることと
前走惨敗からの叩き二戦目での本領発揮を条件として
グランプリボスを△。

エイシンアポロンは鞍上のアトモスフィア悪く醜聞割引きで△。

最後の注は、やはり外国馬は怖い。
イモータルヴァースを。名前も怖い女っぽくてイヤな感じがする。
逆にこれが勝ち切っても、まったく驚かないだろう。


◎リディル
〇リアルインパクト
▲ミッキードリーム
△グランプリボス
△エイシンアポロン
注イモータルヴァース


posted by damoshi at 22:27| スポーツ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年11月12日

アブノーマル


ある意味で、
<プロ・スポーツ>
(一部、アマも=興行が絡むものや見せる要素の高いもの)は
アブノーマルである必要性も求める。

ダモシは。

プロレスラーや力士、空手家から
プロサッカー選手、プロ野球選手、
果てはアマでもフィギュア・スケーターなどなど。

ある意味で、ノーマルであっては、いけない。

近年、大相撲に対するニッポン国民総がかりのイジメではないが、
<お前がそんなこと言えた義理か>と
ダモシは想っている。

なにをもってして、「けしからん!」と目くじらを立てているのか、と。

では、"そのへんの"<よゐこ>だけが土俵上にいれば良いのか?
と。

かつて長嶋茂雄や力道山は
<オレは長嶋茂雄>
<オレは力道山>と言って、踏切すら開けさせた、と。

かつて漫画の世界そのもので
極真空手は暴れまくり、プロ野球選手も二日酔いでも先発完投した。

ナメられんぞ、と極真空手は、
ナメられたら乗り込んででもやり返した。

そんな破天荒で良い、とダモシ・イズムである。

猫も杓子も<よゐこ>化しているニッポン。
破天荒がいなくなって久しい。

<よゐこ>を演じていれば何か得があるのだろうか?
面白いか? と。

一般第三者や傍観者であればそれで良い。
しょせん<よゐこ>になる以外に"その他大勢"に属する彼らは
生きていく術がない。

だが、それを他人に求めるのは論外である。

自分と他人は違うのであり、
自分と<何者か>である競技者/闘っている者は違うのである。

プロ野球巨人軍の清武代表が、ナベツネを告発した。
ナベツネが妖怪であり、巨悪の根源であることは
誰もが周知のことであろう。

ナベツネ、さっさと死ねと思っている面々も少なくないだろう。
だが、"ああいうの"に限って今もそうだが長寿だ。
たいてい、それが世の常だ。
独裁者で自分の思い通りにすべて物事を運ぶことができて
楽しい毎日だからストレスなんぞ辞書にないからだ。

そんな輩を告発するのは、よほど腹に据えかねてのことであることも
容易に想像がつく。

一方で、<今さら>感もある。

そして<コンプライアンス>云々だ。

プロのスポーツ・エンターテインメントに
<コンプライアンス>などという陳腐なサラリーマン&企業文化用語を
持ち出してはいけない。

この単語を用いてしまったことで清武氏のポスチャーは劣化した。

バスを引っ張るのがプロレスラーだった時代がある。
異人、変人、普通ではない人。
それで良いのだ。

プロレスラーや力士、野球選手にコンプライアンスもクソもない。

彼らは一匹狼であるし、そうあるべきだ。

論理的にそれを社会人としてだの、社員としてだのという
くだらないレベルで籠に入れてはいけない。

プロのスポーツ・エンターテインナーがサラリーマンに劣化する。
これこそ、避けなければならない筆頭事項である。
これこそ、文化レベルの低下をさらに加速させる。

<一般人の数十倍酒を飲み、数十倍体力腕力がある>

そうこなくっちゃ、である。

社会の縮図である。
だから、コドモ社会も、過保護な親がしゃしゃり出てきて
<けしからん!>と何事にもネガティヴに捉える傾向がある。

擦り傷、切り傷、
そのくらいどうってことねえよ的な逞しさが
コドモ全体からも失われる所以である。

一方で、"やっちゃいけない"ばかりが先立つと、
不遜な者が調子に乗ったりする。
そういう者は痛い目に遭ったことがないから
自分が相手に何かをする場合程度をわきまえずに
ケガをさせる。でも、自分はやられないという不遜が、
さらに助長させる。

<やっちゃっていいぞ>はダモシならでは、となるわけだ。

痛い目に遭わなければ、恐怖を味わなければ、逆に危険。

そういう論理も分からない<よゐこ>ばかりのニッポンは、
このプロ・スポーツに対する接し方、論じ方でも如実に
表れているし、

また、一国の宰相の曖昧な言葉遣いと態度にも露呈されている。

野田はTPPに関して一日意味不明な先送りをしたと思ったら、
もはや言葉遊び/言葉パズルに過ぎない台詞をもってして
説明ゼロのまま無味乾燥とした記者会見をした。

輩はまた<よゐこ>の典型である。
痛い目に一度遭わなければ、男の本質、リーダーシップとは何かを
さっぱり理解できないタイプといえよう。

なにをもってして
<交渉参加に向けて関係国との協議に入る>という台詞が出るのか。

なぜ、はっきりと自信をもって

<TPP参加は日本経済復活のラストチャンスであると
 自分は確信している。その己の信念に基づいて、
 参加を表明し、関係国と参加を前提とした協議に入る。
 皆さんの中には反対の人もいるでしょう。
 今は納得いただけないかもしれないが、
 必ずやこれがプラスになり、後になって良かった
 と思えるようにする!>

と言えないのか。

ほとほと、バカか、と。
知恵を絞って、八方すべての配慮したように見せかけているが、
その実、まわりをバカにしていることに気づかないか野田。

好きでもない女を引っ張り続けるのと同じだ。
嫌いなら嫌いとはっきり言えない男は、
優しいフリをした悪魔に過ぎない。

それと野田は同じである。


なぜに、皆、ニッポン人は<よゐこ>でいたいのか。

どうして、皆、ニッポン人は<よゐこ>を演じるのか。

もう理解不能であるが、
言ってしまえば、結局、<嫌われたくない>のである。

嫌われ役すら演じられない。
その時点で、野田は失格である。
1議員でお茶を濁していてほしいレベルである。


善し悪し、好き嫌いは別として、
そして絶対にダモシは仕えないが、
ナベツネは嫌われ者を確信犯的に演じているフシも見える。

嫌われたってかまわんよ的な、強さを持っているのは確かだ。

その高いレベルの悪人(ドン・キングのような)に対して、

<コンプライアンス>かよ・・・と、あまりにも情けない清武氏の手法。

お粗末といえよう。

こういう事柄は、善し悪しではない。正否でもない。
そもそも悪いのはナベツネであることは
分かり切っている。

そんなシチュエーションにあって、その巨悪に対峙する手法としては、
もっともっと<世界一性格の悪い男>くらいに化身して
イヤがることやイヤらしいことをやらなければならないのだ。

清武氏は<よゐこ>なのだろう。<いいヒト>なのだろう。
それも分かる。

だから、性格の悪いローキックなどが出来ないのだ。

<相手のイヤがることをしろ>
<精神的に追い込むのだ>

は、ダモシがアントニオに教えている一つである。

技に対するネーミングも
<性格ロー>(=性格の悪いローキック)などと付けている。

奏功するか否かは別として、
それなりの相手にはそれなりに臨まないとダメ
ということである。

米がサポートしてくれるわけでもなければ、
アラブの春でもないのだ。

文科省で記者会見を行ったという所作。
そして用いてしまった
「コンプライアンス」というバカげた単語。

これは失敗ではないか。

少なくともダモシは、

スポーツという闘いの要素や見せる要素を持つものには、
コンプライアンスよりも破天荒を求める。

二人とも嫌いだが、
<ナベツネ&江川>というタッグ(名詞の響き)には、
えも言われぬ魅力を感じる。
レベルは違うが<ドン・キング&マイク・タイソン>に感じた
"ぷんぷん"する刺激にも近い。

それが、プロなのであり、魅せる要素なのである。


例えばこれでナベツネが
ワッハッハと破顔一笑で
<どうってことねえよ>とかわして、
清武氏を現職にとどめたとしたら、
ナベツネの圧勝=格の違いを満天下に示した
ということになるだろう。

ナベツネの応対が楽しみである。

小物ばかりが、ノーマルばかりがほとんどのこの国において、
最後の大物ぶり=アブノーマルぶりを見せて欲しいものである。


同様に、"アブノーマル"小沢一郎にも再登場を願っている日々である。



posted by damoshi at 00:56| スポーツ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年11月03日

展開



議題は競馬で、今週日曜日に行われた
<天皇賞・秋>について振り返ってみたい。

わざわざ振り返るのは、
このレースが実に興味深い内容だったことと、
走破時計が日本レコードという
〜しかも2,000mで1分56秒台〜
超速決着になったからだ。

ダモシの事前予想は、以下。

まずは巷の本命ブエナビスタを無印とした。
<着外もあり得る>と。
1990年のオグリキャップのように
目に見えない衰えが忍び寄り
生涯オール三着以上の成績に
今回は陰りが見えるのではないか、と。

ブエナビスタと同じく春以来となる
休み明けの人気馬エイシンフラッシュもカットした。

最もモメンタム高い上がり馬ダークシャドウを本命◎にした。
今回こそ唯一の勝機かもしれないとペルーサを対抗〇。
まともに走れば最も強いだろうアーネストリーに▲。
内を使ってうまく走れば勝機も見えるダノンヨーヨーと、
状態が良いと伝わってきていたローズキングダムに△。
最後に、モメンタム上位のトーセンジョーダンに要注意。


*****


スタート。
案の定、シルポートが逃げをうつ。
鞍上・蝦名にしてはうまいスタートで逆にハマり過ぎた。
ハイペースを先導したシルポート。

大外アーネストリーはスタートに躓いた。
出遅れとまではいかないが、
焦りを誘発させるわずかな出遅れ。

それを取り返そうと焦ったか、
大外から必死にシルポートへついていこうとした。
ここで脚を使ってしまったアーネストリー。

ある意味で、この時点でアーネストリーのレースは終わった。

真ん中からビックウィークもシルポートを追いかけて二番手に。
この菊花賞馬もこの時点で早々にレースを終えた。

エイシンフラッシュも好スタートから
シルポートを追走。
四コーナー回った時点ではポスチャーはとても良く
突き抜けるのではないか?とさえ思わせた。


*****


向こう正面大欅の向こうに差し掛かる頃合いの
先頭シルポートからの走破順を見てみる。

二番手にビックウィーク、その外にアーネストリー。
その内側にエイシンフラッシュ。
そのお尻にくっつかんばかりにローズキングダムも先行。
その隣にアクシオン、外にミッキードリーム。

ここまでが七番手まで。

そしてこの後ろに、内側にブエナビスタ、外側にダークシャドウ。

ブエナビスタ、八番手。ダークシャドウ、九番手。

ここまでは大きな差はない。
前を行く馬のお尻に続いて追走している感じだ。

この後が少し間隔が開く。

二馬身置いて十番手、外側にトゥザグローリー。
その内側に十一番手でトーセンジョーダン。
この時点でトーセンジョーダンの鞍上は、
行きたがる馬をやや抑え気味にしている。

この二頭はブエナビスタとダークシャドウをマークしているのか。

さらにこの二頭の後ろ一馬身半くらいの差で
ナリタクリスタルが気分良く追っている。

そこから後はさらに六馬身くらい後方にペルーサとシンゲン。

残りはどん尻集団四頭。
この中にダノンヨーヨーがいた。
既にこの時点でダノンヨーヨーはレースを終えていた。

スタート後、他馬に邪魔されラチにぶつかってしまい、
すっかり馬はやる気をなくしてしまっていた。
最後方を走っていたメイショウベルーガは四コーナーを
回った後、故障発生の憂き目を浴びる。



*****


四コーナーを回る。
早々にシルポートに脚色は鈍る。
あぁ、ダメだなとすぐに分かる。

それをいとも簡単に交わして加速態勢にあったのが
エイシンフラッシュ。昨年のダービー馬。地力はある。
ポスチャー的にも良かった。

アーネストリーは四コーナーに入ってすぐ消えた。
シルポート追走にハイペースで付き合ってしまったがため
直線での脚は残っていなかった。
完全に大外枠の不利がこたえたか。

エイシンフラッシュが鞍上の追い出しタイミングも絶好に、
シルポートを交わして直線を駆け上がってくる。

シルポートを筆頭に、
エイシンフラッシュを除く先行勢の脚が止まる中、
中位、後方の馬たちが一斉にスパート。

ブエナビスタは内側に入る。前が開かない。進路がない。
並走していたダークシャドウも馬群に塞がれながらも
真ん中へ持ち出して前が開く位置に移動。

両者、なかなか前へ出られず焦りが出てくる。

その間隙を縫って内ではエイシンフラッシュが先頭に立っている。

だが、真ん中、完全に前が開いている位置から
すすーっと抜け出したのがトゥザグローリー。
勝つのか?とさえ思われる勢いでエイシンフラッシュを
交わしにかかる。

内でもがくブエナビスタ。
ようやく前が少し開いて強引に追い出しにかかるダークシャドウ。

大外からは、
前がフリーな状態で豪快に追い込んでくるペルーサ。

大外ペルーサが追い出して
猛然と迫ってくる勢いが加速するより早く、
真ん中で完全に進路が開いた位置から
やはり後方からダッシュ力を利かせて猛烈に追い込んできたのが
トーセンジョーダン。

エイシンフラッシュとトゥザグローリーを
トーセンジョーダンが抜くのは目に見えていた。
勢いの差は歴然だった。

今まさに
トーセンジョーダンがその二頭を捉えようとしている頃、
内側で馬体と進路を捻りながら
ようやくブエナビスタがエイシンフラッシュのお尻に迫っていた。

まさにあのウオッカ&武豊の進路変更乱発の末の
大逆転勝利を想い出させる度重なる進路変更とこじ開けでの
大逆転狙い。脚色はまだ鈍っていないブエナビスタ。

同じく真ん中より内側で進路を塞がれていた
ダークシャドウも何とかわずかな隙間を縫って出てくる。

トーセンジョーダンが
内にいるトゥザグローリーに馬体を合わせて抜きにかかる寸前、
0コンマ何秒のラストチャンスで
ダークシャドウはその二頭の間へ割って入り、
いよいよ最後の脚を発揮してトップに立つべく進路をとった。

さらに内では、トゥザグローリーと最内エイシンフラッシュの
これまた二頭の馬体が触れてしまうと
今度こそ進路を失うブエナビスタが、
その二頭をドケドケとばかりにわずかな隙間を縫って抜け出す。

大外フリー走行のペルーサは
誰にも進路を塞がれることなく自由気ままに
自分の追い込み脚を使い続けている。

無邪気なペルーサ。毎度のことである。
これはいいかげん勝たないとサクラホクトオーを想起させる
お笑い馬に成り下がる。

ダークシャドウより遅く進路を得たブエナビスタは
残り少ないゴールまでの道に賭けたが
自身が進路を得たと同時に
フリーランスのペルーサの勢いに抜かれ、
さらにゴール寸前でダークシャドウにまた進路を塞がれた。

持っている能力の脚を使えず、四着に破れた。

ペルーサは自分らしさは発揮した。
位置取りもハマった。追い込んで末脚はメンバー最速。
それでも勝てなかった。

八番手ブエナビスタ、九番手ダークシャドウ、
十番手トゥザグローリー、十一番手トーセンジョーダン。

大欅の向こうでの位置取り。

結局、粘ったエイシンフラッシュと
自由馬ペルーサは別物として、
勝ち負けに絡んできたのは八〜十一番手にいた馬たちだった。

これらの馬は
ハイペースで逃げたシルポートが構成したレースにおいて、
位置取りとしては理想的な構図を描いた。

最後の直線で
めいっぱい後方にいたペルーサはもとより、
十番手、十一番手で入っていた
トゥザグローリーとトーセンジョーダンが
前が塞がることなく一気に加速できたのは
大きなアドバンテージになった。

少々前にいたブエナビスタとダークシャドウが
思いのほか先行勢の衰え
〜ここでは「トロさ」と言う。
 要するに先行して疲れて後退する面々の
 後退ぶりがトロかった〜
のせいで、それらが邪魔になり、
自身が突き抜ける絶好のタイミングを逃したのだ。

ダークシャドウもブエナビスタも位置取り一つで十分勝てた。
前者二着、後者四着。
それでも上がりは両者とも34.7。
この二頭の着順も、直線での位置取りの結果だ。

トゥザグローリーは、
あまりにも前が開いたことで仕掛けがいささか早過ぎた。

道中の位置取り、直線を向いた際の前のフリーさ、
追い出しのタイミング。
どれをとってもトーセンジョーダンに最もハマったのだ。

それはシルポート&蝦名の逃げがハイペースだったことが
起因している。

簡単にいえば展開が向いたのである。トーセンジョーダンに。
もちろん、とは言っても強くなければ勝てない。
そもそも素質はあり、弱い馬ではない。
だが、実績的には少々落ちる。
上がり馬度でもダークシャドウに分があった。

一つには、これがいわゆる"フロー"なのである、と。

トーセンジョーダンに舞い降りてきて、
ブエナビスタとダークシャドウには降り注がなかったもの。
それがフローであり、その差が着順の差になったと
ひとつには、言える。

無欲だった。

関係者自らが<三着くらいはあり得るかな>という世界。
オーナーも応援に来ていなかった。

ブエナビスタは連覇のかかる本命。
ダークシャドウは最大の上がり馬で勝つ可能性を大いに予想されていた。
ペルーサも「勝つならここでは?」的なアトモスフィアもあった。
当然、我欲で狙ってもいただろう。
エイシンフラッシュも同様。

フローが向いたのは、トーセンジョーダンとトゥザグローリー。
厩舎サイドも前週の菊花賞を本命で勝ち三冠を獲ったため、
ここではガツガツしたマインドがなかった。

この二頭である。
前者は勝利し、後者は見せ場を作っての驚きの五着。

この二頭の最後の直線を見ていると、
まさに<無欲>の結晶のような世界観だった。
しかも最高レベルで前が開いた。進路がフリーだった。

事後で振り返るとすれば
トゥザグローリー側は「仕掛けが早かったかな・・・」
という悔いも残るだろうが、
それはもう贅沢な欲というものだ。
そこで欲を出すと次は逆にまた厳しくなる。


アーネストリーにしても
仮にシルポートの逃げがスローペースならば
十分に脚を残して直線に入ったはずだ。
勝負の、ひとつのアヤ。

それでも踏ん張ったエイシンフラッシュは相当タフな馬だ。

勝負のアヤ。すべてはどんな闘いにもそれが当てはまる。

不可思議なのはローズキングダムだけ、か。



*****


今回もっともフローが向いた
トーセンジョーダンとトゥザグローリー。

彼らは揃ってジャパンカップへ向かう。
日本レコードの今回走った負担が気にかかる。
ジャパンカップでは揃って大惨敗という目もある。

トゥザグローリーの方がジャパンカップはエッジか。

馬のみならず厩舎も波に乗っている池江厩舎だ。
厩舎のモメンタム、アトモスフィアも完全にハマった勝利だが、
それがジャパンカップ、有馬記念と続くかといえば
そんなに甘いものではないはずだ。

自由馬ペルーサもジャパンカップへ。
ここもまたペルーサには衆目の期待が集まるだろう。
毎度毎度、「勝つならここ」となってきそうだ。

十五着に惨敗したダノンヨーヨーは、
天皇賞で邪魔されてぶつけられたショックは、
そのレースを投げ出した精神面のみならず
身体面でも大きく、狙っていたマイルCSも回避になる見込みだ。

この馬もまた勝負のアヤだった。
問題なく走っていれば好勝負はしたはずだけに残念だ。

原因不明のストップ、ローズキングダムは
ジャパンカップに向かったとすれば連覇がかかってしまう。
ここは回避か、あるいはディフェンディング・チャンピオン
として出てくるか。有馬一本に復権を賭けた方が良い気がする。

最後方を走っていたメイショウベルーガは引退。
故障発生したが、命は救われたことが何よりのラックだ。

結局、十四着に沈んだアーネストリー。
関係者も「大外枠がすべて」と口にする。
あのハイペースを焦って三番手で追走したことが敗因だろう。
復権の機会は有馬記念。
ジャパンカップは回避して有馬に絞る。それは正解だ。


ブエナビスタ。
思ったより衰えはなさそうだ。
今回はいささか騎手にミスがあるともいえる。
あんな内側の狭いところではどうしようもなく、
馬にかわいそうだ。

ジャパンカップ、そして有馬記念。残り二戦でキャリアを終えるか。
勝って有終の美を飾るとすれば有馬記念だが・・・。
それとも昨年降着でタイトルを逃したジャパンカップを
何が何でも獲りに来るか。

ダークシャドウ。
どうするのか。ジャパンカップか有馬記念か、両方出るか。

最大の上がり馬。今回は必勝で勝ちたかっただろう。
ここで無敗の東京競馬場で負けたことで
ケチが付く可能性もある。

早々に同じ東京のジャパンカップで盛り返すか。
しかしながら激烈ペースの天皇賞・秋で勝ち負け
してしまったことで負っているダメージはあるだろう。

ウオッカ、ダイワスカーレット、ディープスカイ三強の
08年天皇賞・秋での衝撃のレース。レコード決着。

それをも上回り、56秒台という奇跡的なタイムでの今回の天皇賞・秋。

さすがに近代ニッポン競馬最高峰レースといえるだろう。

と同時に、<展開>というものが勝負を左右するのは、
競馬はもとより多くのスポーツに共通する概念であることを
改めて感じさせたレースだった。



posted by damoshi at 12:18| スポーツ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年10月29日

面目躍如


ノーラン・ライアンも、すっかり勝ったと思っただろう。

ワールド・シリーズ。王手をかけて迎えた試合で、
己がチーム"テキサス・レンジャース"が延長10回表に
ジョシュ・ハミルトンのホームランで勝ち越した瞬間だ。

<これで遂に優勝だ>という興奮が、
スタンドで見守っていたライアンを包み込んでいた。

だが、逆転サヨナラ負け。
セントルイス・カーディナルスが逆王手。

MLBのワールド・シリーズは実にダイナミックなベースボールを
今年も展開している。

ぜひプロ野球もこれから始まるポストシーズン・ゲームで
ダイナミックなゲームを期待したい。

その前にドラフトが行われたが、北海道ハムには苦言を呈したい。
"べつに"巨人の肩を持つわけではないが、
菅野を突然指名した北海道ハムのやり方はマナー違反だ。
<ハムよ、なにをしとるのか・・・>と。

北海道ハムのやり方は、姑息で、小賢しい。
事前に指名の挨拶もなかった。
菅野にとっても巨人にとっても想定外のハムの指名。
そして、よりによって当たりくじを引いてしまう図々しさ。
これは、いただけない。

ハンカチ斎藤の時も同様。東京ヤクルトへの入団で良かったのに、
これまた北海道ハムは横やり。ダメだ、このやり方は。

<自分はとてもとても。勝てませんし、試合には出ませんし>
と言っておいて、いけしゃあしゃあと出てきて
クジ運の良さも手伝って、無欲のまま勝ってしまう。
北海道ハムのやり方を見ていると、そういう"背中から攻撃する"ような、
男らしくない所作が感じられる。

もともと大嫌いだが、こういうことをしているから、よけい嫌いなのだ。
ダルビッシュにしても格好つけていないで
さっさとメジャーに行けば良い。
思いきってぱっと渡米したダモシから言わせれば、
ダルビッシュは実は怖いのではないか?メジャーに行くのが、
とさえ思えてしまう。彼もまた物事をはっきりせず、
背中から刺すタイプやもしれぬ。
お山の大将になっていて気分は良いだろうが、
メジャーのダイナミズムの中でやってナンボという部分もある。
また、それだけの器のはず。若い年齢のうちにさっさと行くべきだ。
今でももう遅いくらいである。


*****


さて、今週の刑事ダモ。

また捜査のために地方へ出向いた。


102811e.jpg

小さな遊園地もどきの中にある観覧車。
青空とコカコーラの看板が米国情緒を装う。

群馬県某所。

102811d.jpg

ダモフィーロが佇む(右端)

102811c.jpg

美術館で聞き込み。

そして、世界遺産を目指している
ニッポンの近代化と絹産業の礎たる富岡製糸場。

国重要文化財。

102811a.jpg

創業当時のまま姿を残している貴重な文化遺産である。

102811b.jpg

今年は、関越道と上信越道を多く走っている。
いわゆる埼玉→群馬→長野→新潟の世界観である。
その終点・上越(新潟)まで今年は踏破した。
長野市(長野)へも行った。
同じくオフィシャル事案でこの富岡は二度、その先の下仁田、安中も。

プライベート事案でも軽井沢。

NY-era(ニューヨーク時代)の前は走ったことがなかった。
後に該当するニッポン復帰以降でもなかった。
今年が初めてである。
そして今年で一気に慣れた高速ルートである。

これで
東北道(終点の青森まで踏破=08年)
中央フリーウェイ(終点の小牧/富士吉田まで=NY-era以前)
東名高速(終点の小牧まで踏破=NY-era以前/今年も)
に加えて
上信越道(終点の上越まで踏破=今年)も<踏破>したことになる。

今年はその他、
北陸自動車道も初めて走り、常磐道も先般初めて走った。

オフィシャル事案での長距離ドライヴィング。
その復路。
たいてい強烈な睡魔に襲われる。
今年の前半まではそれに抵抗し、決して休憩をとらなかった。

だが、南相馬へ出かけた後の復路で、
完全な居眠りに陥り、危機一髪だった経緯を踏まえて
最近は、すぐにSAなどに車を停めて車内で休憩することにしている。

今週の捜査の復路でも強烈な睡魔に襲われて、
ある意味で、数秒あるいは一瞬もしくは数分、
ハンドルを握りながら眠った。

右側の追い越し車線を走っていて、急に他の車が
爆走して真ん中車線からダモフィーロを抜き去ったから気づいた。

おそらくこの時、右側車線を走っているにも関わらず、
眠っていたからスロードライヴィングになっていたのだろう。
それに業を煮やした後続車が怒りの追い抜きをしたのだろう。

<危ういな・・・>。

すぐにSAに入りダモフィーロを停めた。
そして<ふぅ・・・>と一息ついて目を閉じた。
気づけばいびきをかいている己の声で目覚めた。
ハッとなって、
ドライヴィング中に己が居眠りしていた錯覚に陥り、
慌てて停車しているダモフィーロ車内でハンドルを握り、
右に左に動かす始末。

誰かが外から見ていたら、奇異な光景がそこにはあったろう。

しかしながらブレイクして眠ったことで、
その後はシャキッとした状態で帰宅するまで
走ることができた。

もはやリアルに危険。だから、睡魔が襲ったらすぐに休憩するのだ。



*****


<ダモシ?
 そういうお前は大丈夫なのか?>というコピーで、

ダモシの国家試験チャレンジが初秋に行われたわけだが、

今宵が合格発表の日だということを忘れていた。

帰宅後、入浴。
リビングで呆然としてテレビを流し見していると
突然ワイフが起きてきて、
<不在票が入っていたけど、これ試験のじゃない?>
と教えてくれた。

<あ、そうだ。今日が発表なんだ。
 その知らせのハガキだろ、きっと。
 でもポストに投函するものではなく
 わざわざ郵便物になっているのだね?
 まさか合格したのかな?>

とダモシは色めきたった。

<よし、ウェブでも発表しているだろう。
 見てみよう>

とすぐにインターネットへ向かう。

合格者の受験番号が並んでいる。
目で追っていく。
自分の番号に近づいていく。

(ないかぁ・・・)

動悸が襲う。高まる鼓動。



*****



ウェブには正誤表も出ていた。
実際の試験用紙には己が回答したものも持ち帰っていたから、
照合してみた・・・。

その前に。

まず背景環境。前年の結果からのストーリーだ。

三種目ある。三種目すべて60点以上を正解して初めて合格。
二種目が100点満点でも、どれか一種目でも59点があれば
敗れ去る闘いである。

昨年は、最も難儀だった種目Cがなぜか通った。
問題数が50弱(他の種目AとBはそれぞれ25問ずつ)と最も多い難関。
さらにその種目Cの中には細分化された二種目あり、
そのうちの一つが特に苦手なものであり、
まず厳しいだろう、と察していた。

だが一方でもう一つの方が全種目の中で最も得意で
自信を持っていたものだった。

要するに種目Cを制するかどうかの鍵は、
Cの中の苦手なC-1の不正解を、最も得意なC-2の正解で
どれだけ補えるかということだった。

50問ある種目Cのうち、25-25ずつだとすれば、
得意なC-2を完璧に制すればそれだけで50%はゲットできる。
そうすれば、苦手なC-1の25問のうちから10%だけを
何とか正解させれば合計で60%は突破できる。

種目Cの2をパーフェクトにすることを目指した。
戦略上。

で、首尾よくその種目Cを制した。
が、種目AとB両方落とした。
惨敗といっても良いが、一方で苦手なそれを突破したことで
翌年またチャレンジする場合は<シード権>のような
特権を得たわけだ。

要するに、通った種目Cは翌年に限り受けなくて良い=免除する
というルールである。

そうなれば、仮にリベンジを期す場合、
種目AとBだけを徹底的に鍛錬すれば良いということになる。

昨年のダモシのように三種目すべてと闘うのと、
二種目と闘えば良いのとでは、闘いに臨む戦略も異なってくるし、
有利になってくる。

そういったシチュエーションで迎えたわけだ。


さて、正誤表での照合。

種目A。結果を見てみよう。
問題順に正解は〇、不正解は×として記載する。

問題1〜10=
〇〇〇〇〇〇×〇×〇

最初の10試合を開幕六連勝含めて8勝2敗で乗り切った。
俗にいうスタートダッシュだ。

問題11〜20=
〇〇〇〇〇〇×〇〇×

ここも六連勝(問題10から数えて七連勝)含めて
8勝2敗で乗り切った。

この時点で16勝4敗。一問4点だから既に64点で突破している。
問題18を正解した時点で突破しているわけだ。

残りの21〜25問は、××〇×〇〇と3勝3敗と苦戦。
いかにスタートダッシュで決めたかが分かる。

25戦19勝6敗。トータル76点。ある意味で余裕の突破といえよう。

が、仮に同じく一問4点の種目Bで56点に終われば水泡に帰す。


種目B。

問題1〜10=
×〇〇〇××〇〇〇〇
苦戦するも7勝3敗で乗り切っている。

問題11〜20=
〇×××××〇〇〇〇
五連敗という致命的な連敗を喫し、5勝5敗。

この時点で12勝8敗。獲得ポイントは、48点。
残り五問で12点獲らなければアウトになる。
12点ということは、三問正解。5分の3だ。

残り5試合を3勝2敗で乗り切らなければならない。
厳しいシチュエーションになっていた。

しかしその一方で、残り五問のうち、
あと二問は不正解できるのだ。

果たして。

問題21=〇
問題22=〇

マジック1。残り3試合で一つ勝てば良いという状況に
この時点で好転している。

問題23=×

残り2試合で一つ勝てば良い。焦るな。

問題24=×

おいおい・・・。詰めが甘いか? 何をしとるのか・・・。

これで敗れ去ったら、
アントニオに常々言っていることの潰しもきかなくなる。

それこそ、そういうお前は大丈夫なのか?
の世界である。

しかもこの流れで来て、最後で落としては、元も子もない。


そして迎えた、最後の問題。

問題25。

持ち帰った用紙を見ると、
この問題を解いている時のダモシは相当迷っていたことが窺えた。
四択のうち二つはささっと斜線で消去されている。
が、残りの二つのうち、どちらかが迷っていた形跡がある。


<どっちかなぁ・・・>と迷った問題は、
控えていたペーパーによれば、
種目Aで五問、種目Bで七問となっていた。

つまり25分の5、25分の7は迷っていたわけだ。
やはり種目Bの方が迷っていた問題は多かったのだ。

種目Aのトータル不正解数は6。
迷っていた五問すべて不正解として、+一問不正解だった
という算段になる。

種目Bのここまでの戦績は24戦14勝10敗。
迷っていたのが七問あったから、
やはりこういう結果になっていても仕方がない。

これでは迷った回答はすべて不正解になっていた
といっても過言ではない。
要するに<どっちかだな>のどっちかを選んだという所作
=ある意味で<運>。

これはダモシに味方していないということがいえる。

力で獲れや!と。
そういう世界だろう。たまたま、ということはあり得ないよ、と。

最後の迷った一問。

結果、


〇。

25戦15勝10敗。60ポイント獲得。

種目Aの19勝6敗:76ポイント
種目Bの15勝10敗:60ポイント

薄氷の勝利と相成ったわけである。
これぞ紙一重の勝利。
これだけギリギリであれば、種目Aの高得点なんぞは関係なくなる。


*****


さて、ウェブ上での合格発表を緊張しながら見ているダモシに戻る。

あった。ダモシの番号があった。
何度も確認する。
<これは今年のだな?>と。


<おぉっ!勝ったぞ!>と快哉を上げてワイフに報告。
ワイフにも
<間違いないよな?>と確認し、
<間違いない>となり、大団円と相成った。

正式には明日のその書面到着と確認をもってしての
結果となるから油断できないが、
正誤表での確認でも薄氷だが、勝利している。

レベルや種類は別として、
試験を受けて合格するのは
ニッポン帰国直後の運転免許証再発行特例措置における
<筆記をもう一度受験して一発合格だった場合のみ
 免許証を発行する。落ちた場合は、イチから教習所に通って
 免許証を獲れ!>というSink or Swimの試験で合格したとき以来。

実はこの時も、合格ラインを一問だけ超えていた薄氷の勝利だった。
<あと一つ/一問だけの不正解でアウトだった>
という結果は、同じだった。

今回はしかも国家試験で、昨年、敗れている。
そのリベンジである。
マスト・ウィン・シチュエーションだったこともあり、
望むべく結果になり、気持ちの良いものである。


<これでアントニオにも、胸を張って言えるな>。

ダモシは鼻を膨らませてワイフに自慢した。

明日は、空手練習用具の秘密兵器が拙宅に届く。
それにより練習のフェーズがさらに上がる。
12月の今シーズン最終戦へ向けた新兵器<信玄堤>も
だいぶ精度が上がってきている。

まずは、アントニオと共に闘っている上で、
<そういうお前は大丈夫なのか?>を突破したことは
大きなことである。

しかも全選手の中で勝利者率(合格率)は三割である。


なにより、注文通り/シナリオ通りのリベンジ勝利という
結果を残すことができたことは、たいへん意義深いことである。

久しぶりに、己自身のパフォーマンスに対して
<よぉしっ!>とガッツポーズをした今宵であった。
そして久しぶりに己を己自身で<褒めた>夜だった。

自分自身で、自分に対して<さすがだな>と言える
千年に一度は、気分がよろしいものだ。

まだ、明日、その知らせを受け取るまでは安心できないが・・・。

まずは朝、空手用具の巨大な秘密兵器が拙宅に届くのが先で、
ダモシの闘い勝利証明は午後の再配達を待つとするところである。


とまれ、面目躍如。このひとことだ。

ダモシにかかれば、
これもこれで<闘い>であり<勝負>であり、<スポーツ>であり、
<考察材料>である。


種類は異なれど、闘いの機微はなにごとも同じである。




posted by damoshi at 02:33| スポーツ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年10月25日

LIVEを我等に


カリズマティックにウォーエンブレム、
そしてファニーサイドとスマーティジョーンズ。
リアルタイム、しかもLIVEで。
在米中に四度、トリプルクラウンを目撃する好機があったが、
いずれも破れた。大雨の中においてさえ現場で観ていた興奮は
昨日のことのように肌感で覚えている。
あの日の体感気温や風の匂いまで覚えている。

なぜ異国の競馬におけるトリプルクラウン=三冠の
達成されるかもしれない好機に
現場にいることができたか。

それは米競馬三冠最後のレースである
ベルモント・ステークスの開催場が、
在住していたニューヨークだったからだ。

異国のそれを観られるかもしれない"稀に見る"好機。
大雨であろうが、行かぬ手はない。

結果的にはその希望〜現場で米競馬三冠達成を観る〜
は叶わなかったが、サラブレッドたちによる
<トリプルクラウン・チャレンジ>同様に
日本人であるダモシにとっては
異国におけるトリプルクラウン・チャレンジだったことには
違いない。

まだまだ生きていれば〜ニューヨーク復帰すれば〜、
その好機は必ず巡ってくるだろう。

日曜日。日本競馬三冠がオルフェーヴルによって達成された。

ディープインパクト以来六年ぶり、史上七頭目の三冠馬である。

米競馬は十一頭の三冠馬がいる。
だが、1978年以来、実にもう33年も三冠馬は現れていない。
だからこそ、あの在米時のトリプルクラウン・チャレンジ
(前二冠を勝った馬がベルモントに乗り込んできた)は
熱狂をもって迎えられていたのだ。

特にカリズマティックがチャレンジした99年は、
絶好のサニースカイに初夏の陽気と
昼はヤンキースvs.メッツのサブウェイ・シリーズ、
夕方は三冠かかったベルモント・ステークス、
夜はマディソン・スクエア・ガーデンで
NYニックスが進出していたNBAファイナルと
もう世界最高峰のプロスポーツ・イベントが
重なった<NYがモノ凄い一日>だった。

それは、渡米して最初の夏。
もう毎日が新鮮で刺激満載。
一日にそれだけのレベルのエンターテインメントが
普通に繰り広げられるニューヨークに、
<さすがだな・・・>と喜びを噛み締めたものだ。

では、ニッポンで三冠をナマで観たことがあるか?
となれば、<ない>。

セントライト(1941年)
シンザン(1964年)
ミスターシービー(1983年)
シンボリルドルフ(1984年)
ナリタブライアン(1994年)
ディープインパクト(2005年)
そして昨日の、
オルフェーヴル(2011年)

が歴代三冠馬だ。

セントライトは観る術はない。生まれていない。

シンザン。
これはダモシが生まれる前年の冬
(母胎にいた)、有馬記念も制して史上初の五冠馬になった。
ウルトラの父はダモシにつけた現在の名前ともう一つ
<シンザン>という名を筆頭候補にしていたという。
結局、現在の名前を選んだわけだが、
もしかしたらダモシの名前は<シンザン>になっていた
可能性があったのだ。

ミスターシービーとルドルフの頃のことは
ケイバタイムスに掲載したため
ここでは割愛する。
いずれもナマで観ていないし、テレビでもリアルタイムで観ていない。

ナリタブライアン。
この馬が三冠達成したときが、
初めてリアルタイムでテレビで観たときであり、
唯一である。

ディープインパクトのときは、在米中。
<ダモシxディープインパクト=まったく絡まない>方程式。

いわゆるダモシ在米中ゆえに
<完全に抜け落ちているアイコン>の一つであり、
イコール、ゆえに
<何のシンパシィも覚えないアイコン>が
ディープインパクトであり、小泉純一郎であり、
ホリエモンである。

昨日。観なかった。在宅ではなかったからだ。
帰宅後の深夜、youtubeで観ただけだ。


競走馬の記憶。シンパシィ。

これは己が馬券を買ったそれに絡んだか(的中したか)、
大いなるアイコンとなって
同時代を同じ空気感で生きていたかによって生まれる。

メジロマックイーンやオグリキャップ、
近年ではニッポン帰国と同時に現れて
鮮烈なレースを披露したウオッカなどがそれに該当し、
前述のディープインパクトはまったく該当しない。

オルフェーヴルに関しても、
馬券を買っていた人や
リアルタイムで観ていた人、現場でナマで観ていた人にとっては、
大いなるメモリーとして今後も残るだろう。

だが、ダモシにはオルフェーヴル三冠に何のシンパシィも沸かないのだ。
馬券も買っていなければ、
リアルタイムで観ていない。
そもそも開催場が京都というのがよろしくない。

とどのつまり、<LIVEを我等に>なのである。

LIVEに勝るものは、ないのだ。

ニッポンの競馬に関しては、
よほどの偶然〜そのときにたまたま京都にいた〜
がない限り、三冠達成の可能性があるからといって
わざわざ京都まで行くことはしないだろう。

だから、ニッポンでは三冠達成をナマで観ることは
ダモシに関しては、ほぼあり得ないと思われる。
よっぽど遠い米の方がその可能性を感じさせるから
不思議なものである。

競馬の三冠達成の瞬間を観る可能性として
日米でどちらが高いかと考えれば普通ニッポンだろうが、
ダモシの場合は、米となる。
ニッポンでは、その可能性は限りなくゼロである。



*****



LIVEを我等に。

中村誠vs.三瓶啓二が決勝戦で、熊殺しウィリーも出ていたから、
おそらく中学時代の1979年だったと思うが、
そのとき以来、32年ぶりに
極真の全世界空手道選手権を観戦。

ところは同じ東京体育館。

しかし体育館は当時は旧東京体育館だった。
旧東京体育館ではアントニオ猪木vs.タイガー・ジェット・シン戦など
プロレスでも多く出かけた。

現在の新東京体育館になってからは、
ワイフと山本寛斎のファッションショーに出かけたり、
後輩とやはりプロレス観戦に出かけたりはしている。

アントニオの空手の大会では、
横浜文体や国立代々木は経験済みだが、
東京体育館は未踏の羨望のメジャー・アリーナである。

なにせ、極真の全日本、全世界といえば東京体育館。
空手バカ一代の時代から聖地である。

かつて知ったるあのムードに、血湧き肉踊るLIVE感。
八歳アントニオと、大きな八歳ダモシは
七時間ぶっ通しで観戦した。

zens4.jpg

超満員札止め。

いくらニュースで<大観衆が集まった>と言っても
オフフェーヴルの三冠で六万強しか競馬場に集まっていない。
<昔は>普通に十万人以上、競馬場には集まったのに、だ。

だが空手の全世界選手権。あの頃と変わらず、
キャパシティ一杯の超満員。
その人気の高さが窺える。
今やプロレスでも一万を超える動員は難しい。

zens2.jpg

zens1.jpg

ダモシ&アントニオは自由席券で入場。
ゲートオープンから30分程度しか過ぎていないのに、
到着した頃には超満員。最上部の座席四つだけ空いていた。
二人で四席を占拠した。
ワイフ手製のお弁当持参で、じっくり観戦のスタイルである。

新極真会である。
極真はゴッドハンド亡き後、分裂。
極真会館、極真館、新極真会その他に分かれた。
格闘技における離合集散の典型例は、新日本プロレスに通じる。

極真会館の全日本に先日、アントニオが出たわけだ。
極真館の関東選手権で今年アントニオは優勝している。

そして、新極真会だ。ここはオープンで他流に出て来ない。
だからアントニオがいつも出ているオープンの他流大会で
当たることがない。

一度も対決したことがない。
だが、ここが強いのは分かっている。
ジュニア戦士も相当強いだろう。
少年部の演武がこの日も行われたが、
それを観ているだけで<相当やるだろうな・・・>
というのが分かる。

来年、実は、この最大大会に乗り込みチャレンジする予定である。
ところは、聖地の東京体育館。
ぜひ、新極真会の少年と闘ってみたいわけだ。
相当、こちらも心して臨まなくてはならないが、
こちらも相当、強くしていくし、
他流対決はアントニオの方が断然慣れている。

来年の大きな目標の一つである。

<ここで来年やるからな。空気感を察しておくんだぞ>

と語るダモシにアントニオは頷いた。


zens5.jpg

相当強かったといわれる米俳優ドルフ・ラングレンが登場。
特別演武を披露したのだが、
その際に披露した型が、
アントニオ十八番これをやればまず負けないセイエンチンだった。

<あっ、セイエンチンだ!>とアントニオは大喜び。

その後、ラングレン氏は写真の通り、氷割を行い喝采を浴びた。
<ロッキー3>での演技とは到底思えないほどの強さと肉体は
大いに健在のようだ。

zens6.jpg

この日は長渕剛も登場。
ラングレン氏の演武での音楽プロデュースを行ったが、
さすがと思える音楽制作だった。

野茂英雄も来ていた。

長渕をLIVEで観るのは、08年秋の清原引退試合以来(大阪)。
同じくLIVEで野茂を観るのは、
ニューヨーク時代にヤンキー・スタジアムでのゲームに
ボストンの先発投手として出てきた日以来だ。

来年は空手の主催大会プロデュースを目論んでいる。
その意味でも
緑健児氏
(現役時代、小さな身体で世界王者になった小さな巨人。
 好きな空手家の一人だ)率いる新極真の大会運営と演出は、
たいへん優れたもので、勉強になった。

zens3.jpg

それにしてもこれだけの熱気が、
今のニッポンにあるとは・・・。

この空手の東京体育館だけは、昭和のあの時代と
何ら変わっていない気がした。

やはり、LIVEが良い。

zens22.jpg

zens30.jpg


今度はアントニオをプロレスに連れていってあげよう。

ボクシングの聖地でもある後楽園ホールは、
アントニオにとって未踏だ。

そして日本武道館。ここも彼は未踏である。

主催大会をするならば、会場は、東京体育館か日本武道館がベストだ。

ところで来年2012年は、
武蔵と小次郎の巌流島の戦いから400周年である。

下関市では、巌流島400年記念で、島での決闘を受け付けている。
ユニークである。
既にレジェンド・ザ・プロレス(藤波・長州・初代タイガーマスク)が
興行を行うことも決まっている、という。

男子たるもの、単純だから、
これだけでゾクゾクするのである。


巌流島での試合。これぞ、究極のLIVEではなからふか。



posted by damoshi at 02:20| スポーツ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年10月17日

叱られてるの?


正真正銘、寝た。久しぶりだろう。

このサンデー、目覚めたら12PM。
眠ったのが2AMだから十時間睡眠だ。
これだけ眠ったのはいつ以来、か。


*****


ヒリヒリする緊張感の中での闘いが終わったサタデー。

アントニオに、旗一本。他の審判三人は引き分け。
延長に入ってしまう。

<辛勝だが、勝った>と思ったが、延長になってしまう。

延長。相手に二本、アントニオに一本。もう一人は引き分け。
延長ではどちらかに旗を挙げなければならない。
引き分けとした審判は促されて、
なぜか渋々、あるいは判然としない態度で相手の旗を挙げた。

残念ながら一回戦敗退。

二回戦で当たる本命との闘いは流れた。
本命サイドは、アントニオのサイドでずっと観ていた。
試合前、アップするダモシとアントニオを
じっと観ていた。

ダモシは意図的にその目前でアップ。
アントニオに、ダモシに対してやる技を指示した。
示威行為だ。

むろん、どの選手もハイレベルだ。
勝つ可能性もあれば負ける可能性もある。
一方で、負ける相手ではなかったが、
ポカというよりも、足元をすくわれたという感じか。

本命サイドは、対アントニオを警戒していた。
だが勝ち上がってきたのはオーソドックス・スタイル。
本命は注文通り、楽勝。
それを観ていたダモシ陣営は臍を噛んだ。

<アントニオだったら、楽に勝たせないし、こっちが勝つ>と。

<アントニオに、あの技(本命の決め技)は絶対に入らない>と。

幼児時代から追っている選手である。
徹底的に分析してある。
だが、当たる機会が巡ってこない。

今季二度あった。勝ち上がれば当たる機会が。
今回は最大の好機だったが、その前に自ら消えてしまった。

勝つ時の勝因は多くある。
同時に、負ける時の敗因も多くある。

その<因>が明確に見えていて、その解消が、常の課題であることと、
新たな課題として浮かび上がることが、
敗れることの収穫である。

今回もそれがはっきりとしている。

決して、全体的な彼の動きも精神面も悪くない。

優勝を目前にしながら巨人に連敗している名古屋の
落合監督が昨夜、
<(選手は)何も変わった動きはしていない。
 特別悪い動きでもない>と言ったが、
そういうものだ。

特別、動きが悪いわけでもない。
良い動きはしている。

突き詰めて求めるとすれば、
よりそれが効果的になるようにするには、
相手の動きを変えること。

そこがまた重要なポイントになる。

本命対策は、そこにあった。
自身の決まった戦法を常に崩さずにできる。
そういうところが強さなのだが、
逆にそこが確立されていればいるほど、
崩されたときモロさを見せる。

アントニオは、本命のそれを崩すことができるのだ。

相手のペースを崩す=自分のペースを守る。

これが勝利の方程式。
闘う者すべてにとって必要な作法。

一回戦の場合もむろん紙一重。
アントニオが勝つ時も負けるときも常に紙一重。

負ける場合の紙一重の突破は、
ペースの取り合いを完全に支配することがポイントになる。

むろん、それは技術的にも精神的にも
そのレベルにあってこそ、である。

そして、そのレベルには既にある。

クジ運はキリがない。
今年はどのみち悪い。はっきりと今年はそれが悪い。
フローもまったく向いていない。
アトモスフィアを切り崩して己が手中にしても、
風向きが変わるのが、今年のアントニオの空手を取り巻く環境だ。
今回も、
<他の山は楽だなぁ・・・。せめて一回戦はあのあたりとなぁ・・・>
と感じるのは、正直なところだ。

だが、それでも勝ち切るために、さらなる精進が必要であり、
それは当然、今後も続けていくわけだ。

悲観することは、何一つない。
前述の通り、課題はすべて見えている。
そして新たに、さらに、付加しなければならない点もクリアだ。

目標とする選手たちも複数、いる。それも明確。
やらなければならないことも、明確。

それで、良いのだ。

体格に恵まれていたり、道場主や団体長の息子等、
"そもそもから"の選手が多い中、
最低身長/最軽量でもあるアントニオは
よく頑張っていると、勝ち負けを超えて褒めてやりたい。

そして、勝利を得られるよう、
そのために何をすべきかはきちんと遂行していき、
勝たせてあげたいと願うからやるべきことは
今後もさらにやっていく、というだけだ。

モハメド・アリの珠玉の名言、
<あまりにも順調に勝ちすぎているボクサーは、実は弱い>。
これは真実だ。

優勝や準優勝もあり、一回戦負けもある。
そんなアントニオは、敗北を重ねるごとに着実に
ハイレベルな中でのステップアップをし続けている。

ここが最も重要なのである。勝つだけが重要ではないのだ。

石川遼。日本オープンも不本意な結果に終わってしまった。
今季、未勝利。

イチローもシーズン200本安打が途切れた。

宮里藍も今季は思うような結果が出なかった。

こういうスーパースターたちの苦しみは、
大きな励みになる。

アントニオもまた石川遼の言葉に等しく、
「勢い」で闘っていた頃からフェーズは変わっている。
その中で次へのステップアップへの道程での苦しみ

望むべく結果が出ない
という、アトモスフィアやフローが向いていない/噛み合わない
時期というものは、存在する。

逆に、それで良いのだ。

稽古(練習)、努力は、嘘をつかない。
必ず結果に出る時が来る。辛抱である。

救いは、本人が、敗北を引きずらないことである。
完全な力負け、完敗がないから
<負けた実感>も薄いのだろう。

だが、<そろそろ自分でなぜ勝てなかったのかを顧みろ>
とダモシは言ったが、
そろそろ段階としては、自分の頭で敗因は考えることが必要だ。

そしてダモシ側も昔のように
いつまでも「負けたこと」に対してぶつぶつ言わない。
否、言う必要がなくなったのだ。

まったくダメだった頃や、精神的に至っていなかった頃は
しつこく叱ったりしたものだが、
今はそうではない。

試合直後に厳しく叱責すると同時に、
分かりやすく敗因を語る。

そして、それ以降は言わない。気分を変える。
そういう段階に、同じく入っているわけだ。


試合直後、リングを下りたアントニオに、
ダモシと館長が厳しく叱ると同時に敗因を語り聞かせた。

その時、驚いた。

この日はアントニオの学校の"彼女"とその弟が応援に
来ていたのだが、
同じくアリーナに下りていた彼らは、
我々の近くにしっかりと寄ってきて、
ダモシと館長に囲まれて叱られて語られている
ところを観ていた。

彼女が言った。

<負けることから学ぶことが多いのよ。だから、いいの>。

そして未だ幼児年中の弟が言った。
これには、驚いた。

<負けることも、あるよ>。

実際に"やっていない"人が観れば、よく分からないから、
結果だけを捉えて評論するケースが
何においても往々にして、ある。

ダモシの後輩二名とダチ一名も応援に来てくれていたが、
彼らは当然オトナであるし
もはや酸いも甘いも噛み分けた齢だから
そういうことは分かっているが、

少女と幼児は、未だ二年生と幼児年中である。

得てして
<カッコわる〜い。負けちゃって恥ずかしい〜!>
とか言いそうだが、

一生懸命闘ったことを認めているのだ。
そして、内容も、負けていないことも、
勝ち負けは勝負のアヤだということも、
分かっているのだ。

正直、驚いた。

忌憚なく、<あぁ凄いな>と。
その子たちをリスペクトした。

どこに、幼児年中が、ふだんからお兄ちゃん的存在で
一緒に遊んでいるアントニオが空手の大会に出るからと
積極的に<応援に行きたい>と言うだろうか。

その少女も、同様だ。

そして臆面もなく、アリーナ最前列の座席まで下りてきて
応援する所作。

すばらしい子供である、と。
子供は凄いな、と。

そして、
<負けることも、あるよ>である。
その台詞を闘い終わって悔しがっている小学二年生に対して、
幼児年中が言う。

同級生の女のコが
<負けることから学ぶことが多いのよ。だから、いいの>
と言う。

これは親の教育に他ならない。親の教育が良いのだ。

帰宅後、夜はその家族と共に
皆で近所のファミリーレストランでディナーをとった。

ダモシもそこで忌憚なく
少女と幼児の前で母親にそのエピソードを語り、賞讃した。

そして正面からストレートに
その少女と幼児に
<今日は来てくれて、ありがとう>と礼を述べた。

二年生の少女はハニかみながら、
<また行きたい>と言うと、
<今度は優勝するところが観たい>と付け加えた。

後にワイフに聞いた話では、
少女と幼児は
<アントニオ君、叱られてるの?>と
その現場でワイフに聞いてきたという。

すごく頑張ったし内容も負けていないのに
結果だけで叱られているのかと思い、
直感的に条件反射的に庇ったのだろう。
庇ったからこそ、ダモシ&館長に囲まれている
アントニオもそばにすぐに来たのだろう。

ワイフは
<叱られているんじゃないよ?
 どうして負けたのかを言って聞かせているのよ>と
説明したという。

そういった経緯があった中で、あの台詞を吐いたのだ。

すごいな、子供は。忌憚なくそう感じた。

おい頑張れよ、アントニオ!
そんな気分である。
アントニオも幸せ者だ。

ダモシのことなんぞ、誰一人応援してくれんぞ? と。

今シーズンは十二月の最終戦で締めくくりだ。
また全国大会のチャンピオンシップである。
しかも異種格闘技ルールだ。

もう毎回ハードルが高いのは当たり前だが、
逃げずにチャレンジである。
勝てるレベルや勝てるルールだけに出ていたら
それこそ胃の中の蛙である。

それで毎回上位に進んでも意味はない。

舞台は武田信玄の甲斐国。
大会では初上陸だが、甲斐国はダモシかつて知ったる
近年の準ホーム。

<地図なしで悠々、行けるぜ。知ってるぜ、甲斐国内>
とダモシは自慢する。

いま目の前にある課題、新たに取り組むべき課題を
可能な限りクリアして臨みたい。

その一方で、新たに取り組むべき課題の一つに入っている
あるポイント。

ここに秘技<信玄堤>を用意する。

またいつものように、やるべきことをすべてやって、
その上で武田信玄が軍配を上げるか否か、のみだ。


*****


久しぶりに闘うアントニオの画像が今回はある。
ダモシのダチが撮ってくれたものだ。

101511aa.jpg

大会場。そしてセンター・ステージという舞台。
こういうこと、一つ一つが彼の大きな財産と経験になってゆく。
ダモシの八歳時を、
アントニオは比較にならないレベルで超えている。

これはダモシ撮影。
以降の写真は、ダモシのダチによる名撮影。
(C)KENである。


101511bb.jpg

101511cc.jpg

試合前、アリーナに下りてアップするダモシとアントニオ。
いつまで受けられるか。
既に厳しくなってきている。
今年の夏以降、一発の重みも確実に増している。
直接相対しているから、分かるのだ。

今宵、足は青あざ、ボディはぎしぎし痛むダモシである。

101511dd.jpg

舞台が舞台だけに、
試合写真の様相がこれまでと異なる。
まさに格闘技のイベントという感じである。

背後にはアントニオの応援団がいる。
スタンドから下りてきて最前列で応援だ。
有り難いことである。

アントニオは応援を背に、いつものようにアグレッシヴに攻めた。
彼が<攻めない>時は、ない。
彼はいつも攻める。試合になるとオフェンシヴな人間だ。

101511ee.jpg

こんな大舞台で、オフェンシヴになるだけでも、
凄いことだと認める。
ガチガチで動けない、ということがない。
大したものである。


101511ff.jpg

この左ハイも、まだまだポイントがずれている。
得意技のフェーズを上げていっている過程の現在、
それらの技のポイントが微妙にまだずれている。
それは角度、タイミングなど多岐に渡る。

技術的な部分のひとつには、その解消がなされれば、
さらに一つフェーズ・アップするのは明らかだ。


KEN、渾身の一枚は以下。

101511gg.jpg

<うまいっ!>。
思わず写真を見て唸った。


さあ、次だ、次。
オールウェイズ、NEXT STOP 〇〇、である。

がんばろう!
そして、応援してくれる人に良いものを見せよう!

勝ち負けはもとよりとして、
ただそれだけや我欲だけではなく、<魅せる要素>である。


101511zz.jpg

今度のウィークエンドは、
スタイル的に標榜する緑健児氏率いる
新極真会の全世界選手権をアントニオと観戦に出かける。

緑氏は極真時代、小さな身体で世界王者になっている。
小さな巨人。
柔よく剛を制す。

日本人選手が身体の大きな外国人選手をどう攻略するのか。
アントニオにとっても大いに勉強になるだろう。


*****


正真正銘、眠った今宵。

もう、昨晩の、あの緊張感から解放された心身。
ケイバタイムスを仕上げた深夜、
リアルに心に決めたのだ。

<ちくしょう、眠いぜ。疲れたぜ。
 そして、何だ、この緊張が解けた、脱力感。
 今日は悪いが、真剣に眠らせてもらうぜ!>

と一人、心に決めたのだ。

<この野郎!寝るぜ!>と言い、布団をかぶった。

そして目覚めたら、
十数年ぶりかそれ以上かの遅い起床時間=12PM
だったというわけだ。

起きてすぐ、のど自慢の鐘が鳴った。




posted by damoshi at 02:46| スポーツ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年10月03日

点起円終線付



二時間弱睡眠で4AM台に出発し、10PMに戻ってきた昨日。
それ以前から疲労困憊のダモシはバタンキュー。
奇跡的に12AM前に横になり八時間睡眠を摂った。

八時間眠ると、さすがに衰えと消耗激しい身体でも回復。
デイタイムはここ最近になく"軽かった"。
が、夜になればまた一日のオフィシャル事案の疲れが出てきて
帰路の満員電車は這々の体。

そりゃあ、そうだ。

いくらなんでも、そうだ。
鉄人ではない。

そもそも広島、博多へのビジネストリップ。
博多-新横浜5時間新幹線だけでも疲労する。
おまけに静岡北西部へ往復8時間ドライヴィングで迎えた
ウィークエンドである。
しかも睡眠不足である。

競馬のケイバタイムスがあろうことか
このタイミングで秋GIシリーズも始まってしまい
<予想どころじゃないぜよ・・・>
<編集どころではないわよ・・・>も重なったウィークエンドだ。

そしてやってきた、アントニオ空手の福島遠征。


*****


結論としては、
結果はベスト8と望むべく最高ではなかった。
一方で、内容は過去最高ともいえるものだった。

館長が珍しく
<今日はまったく言うことがない>と評せば、
ダモシは結果として勝敗では負けたものの
その瞬間、ニヤリと笑った。

全体的に2011シーズンは
シンプルに言えば<クジ運>が悪い。
今シーズンはさらに度重なるズルや、
包囲網での意図的な組み合わせ変更などもあった。
今回もまた同様に<クジ運>が悪かった。

トータル的に<クジ運>:<めぐり合わせ>は、
たいへん悪いシーズンといえる。

アトモスフィアとフローの一部にそれは入り込む要素で、
その点で割り引かざるを得ない。

むろんそれをも超越していくことが大事ではあるが、
長い目で見た場合
<楽に勝つ>のと<タフな闘いで勝ったり負けたり>を経るのとでは
明らかに後者にこそ大きなエッジとなって
後々跳ね返ってくる。
要するに心身共に鍛えられるわけである。

そしてレベルの高い相手と闘うことでこちらも磨かれてゆく。

モハメド・アリの名言
<順調に勝ちすぎているボクサーは、実は弱い>に帰結するのは
格闘技においては間違いないのである。

準々決勝。

相手は同じくニッポン代表A。
これに勝っても準決勝も決勝も同様に
B選手、C選手。

トーナメントの山が、よりによってそういうのが固まってしまう。
そのA-B-Cいずれの選手も既に今年もそれを得ている。

三つあるうちの一つの、それだ。
アントニオは昨年、それを得たが、
今年は未だ得ていない。
この大会で優勝すれば得られるのだが、
よりによって今年既に得ている選手が
アントニオの山に揃ってしまい大きな壁となって立ちふさがっている。
その他にも同じ山にそれらがいる。

これぞ、まさに<クジ運>。
もう一つの山には、C選手一人しかいない。

体調最悪の中、フェーズアップ中のそれも身につかない状態。
これはもう惨敗の目もあった中で、
アントニオは、ここが彼の<本番の強さ>で、
ダモシも館長も驚くパフォーマンス。
ひと目で<良い時>のアントニオに戻っていることが分かる。

いけるぞ、と。

準々決勝。準決勝、そして決勝。
<勝てる>と感じた。
実際、過去に闘ったこともあるが、好勝負を超えて、
差がない。勝ち負けは時の運、そして勝負のアヤというレベル。

<今日の出来ならイケる>。

そう感じさせた。

ゴング。

明らかに相手はやりにくそうだ。
アントニオは終始オフェンシヴに試合をコントロール。
が、相手も強い。
アントニオも思い通りにはいかない。
大技を繰り出すのもアントニオの方だ。
まったく差がないながらも、わずかにアントニオがリード。

が、<押し>で注意x1。

試合再開後、今度は微細な<掴み>で注意x1をとられる。

注意が2になり、警告。減点1をとられてしまう。

いつものことだ。
気にしない。
一発、技有りを決めればこちらの勝ちになる。

最後まで攻め続けるアントニオ。

一年前の福島が甦る。

あの日、ダモシはブチ切れた。
最後の三位決定戦での延長終盤、
一進一退の攻防の中で、アントニオは<止まった>。
その<止まった>ことによって微妙な判定で敗れた。

その時の相手と、一年後、準々決勝でまためぐり逢った。

昨年、その選手とアントニオが同時に福島で権利を獲得した。
まさに権利獲得の最後の機会で得たワイルドカードだった。

今年、既にその選手は他の大会で獲得済。
ならば福島に出て来なければ良いのに、と思う。
が、出てきた。そして当たってしまったのである。

要するに、
五輪代表を既に得ている選手が、
残りの代表枠を争う大会に出てきている
といえば分かりやすいか。

普通、<出てくるなよ>と思う。

だが、そこにいる以上、それを打ち破るしかない。

終始コントロールし、終盤でも動きは止まらず、
攻め続け、逆転の技有りを狙い続けたが無念。

時間切れ。

警告による反則減点がある以上、
いくら内容で勝っていても、旗は上がらない。

アントニオ得意の反則負けで、ジ・エンド。

この不得意なルール〜

*背が低いアントニオはどうしても
 少し面が相手についてしまうケースがあるが、
 それもすぐに減点をとられる。

*少しの押しや掴みが反則減点される。

というこの主催者独自のルール〜

では、ほとんどこのケースで負けている。

だがそれでもKOか大技を決めれば勝つのだが、
いつも書いているように紙一重のレベルだけに
互いに大技はなかなか決まらない。
出会い頭はあるものの、それすら少ない。

逆にそういうレベルの選手たちも、
アントニオに一発決められる事例はほとんどない。
それだけ鉄壁のディフェンスである。

一方で、多少ケンカ・ファイト的な大会では、
アントニオの本領はさらに発揮される。

ここのバランスの問題はあるが、
不得意なそれにも対応していかなければならない。

ダモシ軍は、ある特定のルールでだけ闘うのはヨシとしないからだ。

全日本が三つあるならば、全部出られるような、
そういうマルチ的な強さを求めているからである。

むろん、組手だけ強いのではなく、型も強いというふうに。

だから可能な限り<面がついてしまう>部分は
やんわりと治させるようにしている
その効果はこの主催者の大会の場合は
少しづつ改善されてきているが、まだまだ、反則をとられてしまう。

一方で、そういったケンカ・ファイト的な部分。
ここは、ダモシも館長も細かいことは言わない。
逆に、それでいい、と。
反則をとられたら気にせず一発決めれば勝つのだから
バチバチのそちらを選択しようという流儀である。

バチバチやらずにポイントだけとるようなものは、
ダモシ・イズムの本来の空手道とは異なる。
そもそも極真イズムもそのはずだ。

結果として残念なものとなったが、
そのファイト内容は過去においても最高クラス。

それをアントニオは見せた。

そして絶不調の体調の中で、
短期間でフェーズをアップして取り組んだ部分が
完全に本番で出すことができていた点で
セコンドとして入っていたダモシ&館長が試合中に唸ったほど。

<おぉー。いいよぉ・・・>
<そうだよぉ・・・それだよぉ・・・>
<本来のアントニオだなぁ、今日はぁ・・・>
と。

新たに取り組んでいたスタイルでの技が
ドスンドスンときれいに入っていた。

だからこその、ニヤリなのである。

帰路。

車中はまるで勝って凱旋のような状態だった。
まったく暗さはなく、
これで10.15や来シーズンへ確実につながってゆく、と。

そして本人も、今回は、敗戦後、泣かなかった。

これこそが、
自分自身で納得できたことの証明である。

ある意味で、
今年の優勝と準優勝した大会以上に
中身の濃い、本人も納得の闘いができたはずだ。

昨日の大会。

アントニオの出番直前。
その小さな背中を見て送り出す時、
ダモシは泣きそうになった。

(今回も出場選手中、最低身長/最軽量なのに・・・)
(体調も悪くて、かわいそう・・・)
(いつも努力して頑張っているのに・・・)

という親心が出てしまったのである。


その親心以上に、本人は強いということだ。

そして想った。

<あぁ、やっぱりアントニオは強いのだな>と。


おそらく今シーズン最終戦、10.15。
最大舞台の国立代々木決戦。
センター・ステージの1舞台での全日本選手権。
ダモシ軍のダチ&後輩も、アントニオの"彼女"も、
アントニオの"弟分"も応援に集結する。

舞台が舞台だけに既に組み合わせも出ている。
一回戦から決勝戦といえるタフな相手だ。
まずは一つ。まずは一回戦から確実に突破したい。

標的は二回戦の相手。

これが紙一重の中でも日本一レベルの選手である。
幼児階級時に一度当たって苦杯をなめている。
だが、既に以前からその選手対策は出来ていて、
その選手に一杯食わせたいと考えているが、
なかなかめぐり合わせで当たらない。
今回はそのチャンスがやってきた。

タフな闘いだが、何とか一回戦を突破して、
その選手へ挑みたい。
今のアントニオなら、勝つ。
組み合わせを知った館長も
<望むところだ。もう(破る)レベルにはある>と腕をぶす。

すべては、一回戦である。

大舞台と本番でこそ、本領発揮するアントニオ。
それに期待すると同時に、いずれにせよまた体調だ。

どんなに素晴しい選手でも、
同じ二年生階級では誰一人として出来ないスタイル。

それがアントニオが持っているスタイルである。

そして、最低身長/最軽量。

<最低身長/最軽量>という
闘う相手がイヤがる武器を生かしつつ、
彼にしか出来ない動きとスタイルをやれば負けないという
信念を持っている。

要は、反則減点をとられたとしても、勝ち切るためには
己がスタイルの徹底であり、
未だアントニオは相手に合わせてしまう点があるため
その徹底的な解消も課題になってくる。

さほどでもないレベルの相手と闘う場合も
相手に合わせてしまい接戦を演じてしまうアントニオ。
見ているこちらが<あれ?>というシーンが多々ある。

一方でニッポン代表との闘いになると
別人のようにハイレベルなパフォーマンスをする
アントニオ。

いずれも相手に合わせてしまう/相手に合わせることができる
<器量>を持っている、と好意的に言えるのだが、
ネガティヴに言えば、
未だ勝ちに対するこだわりが薄いとも言えるわけである。

<イヤな奴になれ>

<勝負においては鬼になれ>

と言っても、本質的な"一人っ子"気質=ふだんから競争がない
という部分と共に、
猫やぬいぐるみをかわいがる女のコのような"優しさ"があることで
その部分はネガティヴに見ればマイナスに作用している面は否めない。

且つ、どちらかといえばプロレス的なダモシ・イズムの
それは根幹を成しているから、
ダモシのせい、ともいえる。

どんな相手とでも

<相手の3の力を8にまで引き出した上で闘う>
<ロープに飛ばされたら返ってきて相手の技を受ける>
<闘いをスイングさせる>
<噛み合った闘いをする>

というダモシ・イズムである。

これをアントニオは善くも悪くも徹底しているのだ。

他の有力選手は、
一回戦、二回戦など最初の頃は流している。
さっさと勝負を決めて余力を残している。

が、アントニオの場合は、
どんな大会でもどんな相手でも
一回戦からフルスロットルで、
しかも相手を引き出すからエキサイティングな接戦になる。

<疲れちゃうだろうよぉ・・・>と、ほとほと呆れる。

ラフ・ファイトを仕掛けて来られれば応戦し、
ケンカ・ファイトで仕留める等、
スリリングな、スイングした痺れる試合が多い。

まさに<魅せる要素>を体現しているのだ。

それがまた1ファンから見れば、実に面白いのだが、
親としても指導者としても
<勝って欲しい>となるとまた、違ってくる。

そのあたりは、こちらもまた常に考えさせられるのだ。

だから、面白いのだが。

実のところ、
<押し><掴み>など裏技的/ケンカ・ファイト的作法は
ダモシ自身が教えてしまって、
しかもそういうワルな部分が男の子だからか
直系遺伝子だからか、奇妙なほど吸収されてしまったのであるから、
自業自得であり、
まさに米が育てたアルカイダという世界である。

先の全日本選手権での顔面殴打のケンカ・ファイトや、
先般道場で二学年上の四年生とのスパーリングで
エキサイトして柔道のように道着を掴んで投げ倒す等に
それらは顕著に出てしまっているわけで、

とどのつまり、昨日も反則負けなわけで、
一方で、だからこそ
<バチバチ・ルールで彼らとやりたいわな>と感じてしまったり
するわけであるが、

それもそれで許容しつつも、だが、いわゆる異種格闘技ルールでも
勝ち切れる万能型は目指しているところであるからして
内容はどうあれ敗北はまた許容して、
それらをすべて受け止めてさらにレベルアップすれば良いのである、と。


明るく楽しく元気に。
そして男なら細かいこと気にせず
めいっぱい暴れて、全然負けてないぞ、
反則くらいいいぜ別に、で

本人もさっぱり、ダモシもさっぱり、すっきり。
思う存分自分の力と持っている技を出せば、
そんなに良いことはないのである。

自分を出すことが出来ずに負けることを最も嫌うのであり、

本人が奔放に暴れて納得・満足・爽快であれば、
なにより嬉しいのである。

結果は、必ず後からついてくる。

毎度のことだが、
そこに勝負があり、山がある限りは、
勝利を、そして頂上を。
目指すのは当たり前の前提である。

が、勝ち負けがすべてではない。

着実にフェーズアップ、レベルアップが見える。
そして課題も常に見えている。

それで、良いのだ。

皆、大満足の中での遠征で終わり、気分良く、
ダモシも熟睡した10月最初のウィークエンドと相成ったわけである。


*****


最後に、
観る限り同階級ではアントニオだけが出来ているスタイル。

それこそが、ゴッドハンド・イズムの根幹の一つである
<点を起とし、円を終わりとす。線はこれに付随するものなり>
である。

これをさらに本番まで磨きたい。
このまずは追究である。
本人も少しづつだが確実に点と円と線の戦術を理解しつつある。

10.15の前には久しぶりに総裁の墓参へ行く。

ダモシ軍は極真ではないが、ほとんどが極真になる。
出場選手中、アントニオ含め他流からの乗り込みは、わずかに4人。
一回戦の相手も、二回戦のターゲットも、むろん極真からの代表選手。

我等は極真ではないが、イズムは同じだ。
ダモシは、総裁の墓参へ行き、久しぶりに語る。

<アントニオ君いいよぉ、きみぃ・・・>と言ってくれるか。

10.15前はまた"バカ親"になり

例の三点セットである

・総裁の墓参
・東京カテドラル聖マリア大聖堂
・関口芭蕉庵

へ、久しぶりに詣でる。

そして本番は、<ゴー・フォー・ブロック>である。



posted by damoshi at 23:17| スポーツ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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